“エッグ”という名のギフト―6
イカルガ:『――――実を言うとよくわからないんだよね・・・』
ミカサ:「わからない?」
イカルガ社長の言葉に疑問符を浮かべるミカサ。
それに答える様にイカルガ社長は言葉を続ける。
イカルガ:『言葉通りの意味だと受け取ってくれて構わないよ。
割って見ないとわからないってことさ。復活祭に用いられるエッグの様にね』
ミカサ:「つまりは電子用語と復活祭のイースターエッグ双方の要素があるって
ことで良いんですよね」
イカルガ:『いい着眼点だね。まさしくその通りだ』
肯定の言葉を紡ぎながら頷くイカルガ社長。
イカルガ社長から変わる様に今度はメルクーアがミカサに向けて話しかける。
メル:「ここから本題になりますが私たち【ブリューナク】は【エッグ】の内容を
回収するべく、イカルガ社を母体として設立し、活動しています」
ミカサ:「回収って―――具体的には?」
リチャード:「大体は【エッグ】を内包した人物の保護ないしはデータとしての
記録回収が主な感じですな」
ミカサ:「――――【エッグ】の中身はどうやって回収されるんです?
あと回収された人はどうなるのですか?」
恐る恐る怖い内容であることを自覚しつつミカサは質問をしてみる。
その言葉にマキナを始め、周囲の空気は一瞬重い感じを抱かせた。
沈黙を破る様にリチャードは口を開く。
リチャード:「必ずしもではないが――――無茶なやり方をされて助からなかった
人間も少なからず居たとされている――――」
ミカサ:「――――――」
話を聞いたミカサの表情はどんどん暗く青ざめていく。
もし、“あの時”に自分が連れ去られたら・・・と不意に考えてしまった。
アニメやマンガの様な有り様が実際にあるかどうかはわからないが
【エッグ】に関わる人間からの言葉にどこか信憑性の高さを感じてしまい、
それでふと考えてしまった。
まだ高校生になったばかりの少女には重すぎるとも云える。
そこに不意にミカサの肩に触れる手があった。
ミカサ:「?」
おもむろにミカサはその手の人物の方へと振り向いた。
気付けばマキナがこちらの方へ顔を向けている。
その表情は一見すると無表情に思わせながらも真剣なミカサを案ずる様な感じさを
思わせる意思の強さを抱かせている様子を見せたものだ。
長い銀髪を伴った彼女にどこか不思議と安心感を感じているミカサ。
ミカサ:「マキナ―――――」
マキナ「―――――――」
透き通った吸い込まれる様な青い瞳をじっとミカサに向けるマキナ。
そんなマキナの無言の励ましが不安になっていたミカサの感情を冷静にさせた。
ミカサもまた彼女に無言の頷きをする。
メル:「大丈夫ですか?」




