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貫くものと鋼鉄の鴉―7

襲撃現場から更に走るマキナとミカサ。

ミカサの方は普段の生活もあってか長距離の全力走りを

短時間もやっていたのもあってか会話もままならないほど

息が上がっていた。

マキナもミカサを連れてではあるが多少肩で息をする程度だが

疲労を見せ始めていた。

マキナはふとスマホとは異なる端末を取り出し、受信されていたのか

そちらに視線を落としていた。

ミカサは全身で疲れを取る様に息を吐きながらもマキナの姿を見る。

そんなほんの少しの安息もすぐに打ち破る様に先ほどの機械の巨人たちが

ガシャンガシャンと近くに来ていることを知らせる揺れと音が聞こえるのを

感じた。


ゴブリンA:『見つけたぞ!!』

ゴブリンB:『もう逃がしはしねぇ!!』


こちらを見つけた【ゴブリン】たちはそう怒鳴る様に言いながら

ミカサとマキナへジリジリと近づいていく。

万事休す、とミカサは不安な表情を抱きながらマキナの裾を無意識に掴んでしまう。

それに気づいたのか安心させる為なのかマキナはミカサの掴んだ手に己の手を重ねる。

同時にマキナはその口を開く。


マキナ:「――――来た!」


マキナがそう言うと同時に空から音が聞こえてくる。

それに気づいたミカサと【ゴブリン】のオペレーターはほぼ同時に上へ視線を向けた。

空から軍事用とも云えるヘリコプターが頭上に姿を見せていた。

ほぼこちらの真上に達していたヘリコプターの機体に延ばされていた先に何も付いていないワイヤー状の物体が何か切り離したかの様に少し揺れると“ソレ”はこちらへ向けて投下されていく。

着地音と同時に擬態を解除して白いレイヴンがその姿を現す。

ミカサはその白いレイヴンに覚えがあった。

それは彼女―――マキナと最初にあった日の夜にマキナが

乗っていた機体だ。

その白い機体からマキナに向けて声が聞こえた。


クロウ:『すみません少尉。遅くなりました』

マキナ:「いや、タイミング的には申し分ない。搭乗する!」

クロウ:『イエス・マム』


搭乗者であるマキナに応えるべく、白い機体【ガンクロウ】は

操縦席のハッチを開き、マキナは速やかに乗り込む。

搭乗と同時にシステムの主導権をマキナへと預けた【ガンクロウ】は

センサーの光を更に強め、本格稼働を開始する。


マキナ:『ミカサ、頭を抱えてしっかり捕まって・・・!!』

ミカサ:「――――う、うん・・・!!」


【ガンクロウ】の腕に抱えながらその指に捕まるミカサ。

それを確認したマキナは機体を立ち上がらせ、その後、地面を蹴って跳躍させる。

キャアッと小さく悲鳴を上げるもグッと堪えた。


ゴブリンB:『逃がすか!!』


その後を追う様に機体を視線へと収めようとする時、信じられない光景を見る。

ターゲットを抱えた白金のALが片手と片足だけとはいえ、ビルの壁に貼り付いていた。


ゴブリンA:『な、ALが壁に貼り付くだと!?』


驚愕の声が上がるのも無理もない。

如何なレイヴン特に戦闘用に特化されているアームズレイヴンと云えど

“壁に貼り付く”に特殊な行動が出来るなど前代未聞だからだ。

Abyss(エイビス)】という重力制御を行うことができる装置が

存在しているとはいえ、壁に貼り付くということはそんな容易とは行かないのだ

その様なことをターゲットを有している白いALは容易に行えている。

それがまさしく奇想天外として見られるのも仕方ないことである。

そしてそんな様子に唖然としている【ゴブリン】達の虚を突く様に

もう一つの白いレイヴンが姿を現していた。


ナツキ:『さっきもよくもやってくれたわね!!』


ゴブリンB:『なっ、いつの間に?!』


反応が遅れたのもあってか対処できずに【ゴブリン】は成す術もなく、

【ピースキーパー】に捕まり、そのまま持ち上げられてしまう。


ナツミ:「うおりやあああああああああ!!!」

ゴブリンB:『う、うわあああああああ!?』


【ゴブリン】のオペレーターは悲鳴を上げながらナツミの怒りの叩き付けを受ける。

その様子見を見た【ゴブリン】の片割れに対峙している銀色のALから通信が入る。


ゴブリンA:『ぐっ・・・』

マキナ:「チェックメイトだな。これ以上は無意味で無益だ。素直に投降を推奨する」

ゴブリンA:『だ、黙れ・・・!!』


投降を促されたもう片方のゴブリンオペレーターは

マキナからの提案を拒否し、無謀かつ自棄とも云える突撃を仕掛けていく。

だが、それを冷静に対処する様にマキナは【ガンクロウ】を最小限のみ機体を動かす。

その際、片足だけをわざとゆっくりと出す。


ゴブリンA:『――――――あ!?』


素っ頓狂な声を出すと同時に【ゴブリン】は機体のバランスを崩し、すっころびそのまま転倒した。

転倒した影響か、そのまま機体はうつ伏せのまま動かくなってしまった。



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