貫くものと鋼鉄の鴉―6
ナツミ:「従う気は毛頭ないって感じね。―――舐めてくれてるわね」
ショウジ:「どうします?」
警告を無視した様子を見せる【ゴブリン】に若干の苛立ちを見せるナツミ。
ショウジは後方の指揮車に待機しているミユキに指示を促す。
ミユキ:『応じる気が無くても破壊活動をしている以上は仕方ないわ。
周囲の避難を完了させるまでどうにか押さえつけて!』
ショウジ:「了解っス」
ナツミ:「わかったわ!」
ミユキの指示に応えた2人は機体を動かし、
【ゴブリン】の動きを封じる為に【ピースキーパー】を動かす。
【ゴブリン】側もナツミ達の動きに気付き、ミカサ達から目標を変える様に
【ピースキーパー】2機に向き直し、戦闘態勢を取る。
ナツミ:「やる気ね、上等じゃない!!」
向こう側の動きに合わせる様にナツミの【ピースキーパー】も
またファイティングポーズを取るも先に動いたのは相手側だった。
特に武器を持っていなかった【ゴブリン】はマニュピュレーターを
振りかざし、それを鈍器の様に勢いよく振り下ろす。
ナツキはそれを冷静に見切り、相手の攻撃側とは反対の方へと回避する。
攻撃を外した相手は勢いもあってかバランスを崩す。
その隙を見逃さない様にショウジの【ピースキーパー】が機体を押さえ付ける。
マキナはその様子を見て、ミカサに逃走を促す。
マキナ:「ミカサ、この機にこの場から更に離れるぞ」
ミカサ:「大丈夫なの?」
マキナ:「大丈夫、既に手は打ってあるようだから」
不安がるミカサを余所にマキナはふと顔と視線を上へと向ける。
上空にはロングスカウターの小型ドローンが滞空していた。
ソレに頷く様に一瞥した後、マキナはミカサの手を取り、その場を後にする。
ゴブリンオペレーター:『逃がすか!!』
ショウジ:『いーかげん、観念するっス!!』
ナツミ:『さあ、レイヴンから降りてお縄に付きなさい!!』
抵抗する【ゴブリン】を押さえ付けてコクピットを開けようとするナツミと
ショウジ。
その時、突然ナツミの【ピースキーパー】に何かがぶつかり、吹っ飛ばされる。
ナツミ機は吹っ飛ばされた勢いでそのままお店の壁へと激突しする。
ナツミ:「キャアアアアアアアアアアアア!!」
ショウジ:「ナツミさん!?」
あまりの突然さに驚きを隠せないショウジは拘束の力を一瞬緩めてしまう。
それを見逃さない様に【ゴブリン】は押さえ付けられていた拘束を解いて
ショウジ機から離れる。
ショウジ:「しまった!?グアアアアアア!!」
隙を突かれ、【ゴブリン】の反撃を受けてそのまま背中越しから倒れてしまうショウジ機。
ナツミ機を襲ったもう一機の【ゴブリン】が助けた方の【ゴブリン】から通信を
受け取る。
ゴブリンA:【すまない、助かった。】
ゴブリンB:【すぐに追うぞ。他のは予想外な連中のせいで対応ができん】
そう言いながら援軍の【ゴブリン】はマキナ達の逃げた方向へと踵を返して移動する。
助けられた方の【ゴブリン】もその後を追う様に移動を開始した。
ロングスカウターは小型のドローンを上空から見てそれを本部に報告していく。
ロングスカウター:『こちらロングスカウター。小鬼共が予定通りに追跡を開始した。マキナ少尉に例のポイントへと誘導する様指示する。【ガンクロウ】も予定通りに』
本部オペレーター:『了解。引き続き状況報告をお願いします』