祝福されざるもの―5
時間は少し遡り、その日のお昼頃。
夏休みに入り、ミカサとマキナは自宅であるマンションで夏休みの宿題に没頭していた。
既に理数と英語に関しての課題は二人とも終わり、国語と社会と歴史に関しての課題に取り掛かっている所。
ミカサは難なく進めているがマキナはやはり苦戦を強いられており、珍しく苦悶の
表情を浮かべている。
社会と歴史に関してはミカサのフォローと【クロウ】からの講釈によってある程度は大丈夫になってきているが国語に関しては“作者の気持ちを述べよ”といった感じの問題文にはどうしても理解が追い付けず、悶々と頭を抱える姿を何度かミカサが目撃しており、本人には悪いが少し笑ってしまったのは内緒。
悪戦苦闘しながらも終業式を終えてすぐに開始して夏休み初日から三日ほどである程度の課題を終わらせることに成功した二人であった。
ミカサは固まった身体を伸ばす様に両腕を上に伸ばしていく。
ミカサ:「ううーん、大体終わったね~課題・・・!」
マキナ:「――――ハイ」
疲弊した様子を浮かべながらミカサの言葉に答える様に力なく声を漏らすマキナ。
相当、苦労したのか今まで見たことない様な焦燥した表情で椅子の背もたれに力なく身を委ねていた。
それを見かねたミカサは冷蔵庫から炭酸ジュースと氷の入ったコップ二人分を持ってくる。
カシュと音が鳴らし、封を切った炭酸ジュースのキャップを外し、コップに注いでいく。
ミカサ:「ハイ、マキナ。ジュース入れたよ」
マキナ:「ありがとうございますミカサ」
礼を言ってコップを受け取り、それを一口飲む。
開けたばかりということもあってか炭酸が溜まっているジュースが疲労した身体に
効いていく。
美味しさを伴った息を吐くマキナ。
マキナ:「フゥ~・・・これが生き返るというヤツですね」
ミカサ:「比喩表現だけどね~でもよかった。だいぶ疲れてたモンね」
ハイ、とミカサに答えるマキナの声はまだ元気がないのか少し細い感じがした。
時計を見ると時刻は12時を15分ほど過ぎていた。
ミカサ:「お昼、どうしようか?」
マキナ:「そうですね、ミカサも疲れてるでしょうから簡単なものでいいですよ」
ミカサ:「じゃあそうめんにしようか。実家から送ってきたのがあるし、大量に茹でればマキナも満足できると思うし、具材は・・・カットネギと揚げ玉(天かすとも
呼ばれている)ぐらいしかないか」
マキナ:「それで構いませんよ。そうめん、美味しいですよね」
ミカサ:「まさかマキナがそうめんにハマるとは思わなかったわ」




