祝福されざるもの―2
しかし、堺の顔は一瞬で職人としてそして警察に従事する者の表情を変わった。
堺:「少し気になってたがここ最近のWLの暴走事件。アレは原因がわかっているのかい?」
加藤:「―――断言は出来ないですが、搭乗していたオペレーターの証言は全員口を揃えて『突然、WLが操作を受け付けなくなった。これといった心当たりはない』と」
現場での聴取において立ち会った加藤は他の隊員や警官らと共に暴走した機体の
オペレーターから詳細を聴いていたが皆こぞって口を揃える様にそう証言したらしい。
堺:「―――――例えそうだとしても“機械である”【レイヴン】が“自分で”好き勝手に
動くことはまずあり得ねぇからな・・・」
加藤:「ええ、意図的な細工もしくは人為的な操作じゃなきゃ、オペレーターからの操作も受け付けないってのはまずメーカー側の信用問題にもなりかねませんからね」
堺:「それでなんか手がかりでも見つかったかい?」
加藤:「本格的な操作はまだで科捜研からの報告待ちでしょうけどもこうも多発ばかりしているとただの操作ミスとして片付けるにはね・・・」
堺:「どっちにしろ、それなりの証拠がないと満足に動けねぇのはままならないモンだな」
加藤:「いや全く・・・」
頭を掻きながら困った様子を浮かべる加藤に後ろから声を掛ける人物がいた。
????:「加藤さん」
加藤:「シノブさん、どったの?」
声を掛けられた加藤と堺は後ろから来た八雲シノブの方へと振り向く。
八雲:「課長が呼んでるから課長室まで来てくれる?」
加藤:「課長が?なんかあったの?」
八雲:「詳しくは来たら話すらしいわ」
堺:「こっちはやっとくから行ってきな。出動になってもすぐ出来るようにしとくよ」
よろしく、と堺に返事すると加藤は八雲に連れられて2階の課長室へと足を運ぶ。
それを見届けた堺は再び整備員達の機体を整備している様子に怒号を鳴らす。




