“普通”の終わり、“日常”のはじまりー1
美神ミカサは“彼女”との出会いを思い返して後にこう述懐する。
ミカサ:(今思えば――――彼女には不思議な魅力があったのかもしれない、と
初めて会った時から無意識に思ったのかもしれません・・・)
?????:『対象の沈黙確認及び周囲に敵性反応、ナシ』
?????:『周囲の索敵はそのまま、装備はセミ・オート・セイフティに移行』
?????:『ラージャ。セミ・オート・セイフティ移行後、周辺索敵を継続します』
敵対していた者達の撤退を確認しながらALに搭載されている
AIと少ないやり取りをした後、
機体の搭乗者である彼女は機体の頭部を含めて“護衛対象”の少女に視線を向け、
外部スピーカーの音声を入れて自身の声を外に出力する。
マキナ:『――――ケガはないか、美神ミカサ』
ミカサ:「う、うん――――(この声、まさか・・・・・?)」
己の目の前に姿を現した鋼の巨人―――【アームズレイヴン】
その巨人から発した聞き慣れ始めていた声にミカサは戸惑いの色を見せながら
頷く。
彼女の返答に反応するかの様にかしずき、跪く姿勢を取った白の巨人の胸が開き、
そこから彼女の知っている少女の姿が現れた。
ミカサは少女のことを知っていた。
しかし、その格好はミカサの知る少女の姿むしろ衣装ではなかった。
所謂軍人を思わせるパイロットスーツと表現するには些かSFチックな近未来的なアニメなどの2次元を彷彿とさせるようなピッチリとしたボディラインを強調させ、
ハッキリと見せてくるその姿は自分からしたら恥ずかしい格好とも云える外見。
姿はともかく、その少女は間違いなくこの前転校してきた秋桜マキナその人である。
ミカサ:「貴女は、一体・・・・・・」
マキナ:「――――今は多くは言えないが、これだけは云える。キミはワタシの
“マスター”だ」
状況が理解できずおもむろに疑問に対して、表情変えずに答えるマキナ。
夜空に浮かぶ月光をバックに照らされる彼女と白いALの姿はどこか神秘的な雰囲気を感じさせた。
そんな1人と1機を見やるミカサ。
ミカサ:(これが私と彼女との出会いの最初の一週間であり、同時に私、美神ミカサの“普通”の高校生活は終りを告げた。そしてこの少女、秋桜マキナとの不可思議で
ドタバタとした“日常”が始まるんだとそう思うのであった)
アームズレイヴンという鋼の巨人から姿を現した少女マキナを呆然として見ていた
ミカサは無意識にだがそう実感させるのであった。