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草むしり
他の人に迷惑をかけないという観点から伸び放題の
草木に手をつける理由はない。しかし、美咲自身がハ
ブが怖いのと家を守るため。何より森に飲み込まれな
いように人間の生きる領域を確保しておかなければな
らなかった。長い黒髪をお団子にし、日避けの長袖
にばあちゃんの麦わら帽子を被って外に出た。よし、
と気合いを入れて玄関周りの包丁葉っぱを手に持ち鎌
で刈っていく。見よう見まねでやってみるがなかなか
力の要るものらしく、美咲の口からは定期的に踏ん張
る擬音が漏れていた。