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カタツムリ  作者: みかん
美咲
1/7

おはよう

要領得ぬまま一旦終わらせてしまいますが、

気が向いたら再開します。

 薄く白い雲が空を覆っている。9月29日午後2時。


アルバイトに向かう準備のためにカーテンを開けた。


目を刺すような太陽は身を潜めここ何日か振りに過ご


しやすい気温だ。ああ、暖かい。目覚めの心地よさに


しばらく身を任せる。


「おはよう。」


と昼間の太陽に挨拶した。一日の始まりが1人きりなん


て寂しすぎるので太陽と会話する。

 

美咲は床に投げ出された毛布と掛け布団を拾いあげ、


丁寧に畳んだ。一度身に付いた習慣は洗わなきゃとい


う思考よりも先に体に動くよう命令。なんて命令に従


順な体だ。結局畳んだものを洗濯に持っていくのが面


倒になり今日も洗うのを諦めた。夏と冬の間の涼しく


心地よい風が美咲の髪を後ろにたなびかせる。美咲の


目線は年中咲くハイビスカスに向かった。

 

 


 花を見て心安まることを知ったのはいつのことだろ


うか。美咲は幼少期、花の美しさをかんじられなかっ


た。いや、正確には母と祖母の植える花々や整然と植


えられた花を可哀想だと感じていた。

 

 母や祖母たちは「綺麗でしょ」というが正直分から


なかった。持ってこられたハーブやコスモスたちは生


き生きと生きること捨て固まっているように


思えた。しかしこの場は綺麗だと言わないといけない


と判断。だから2拍子開けてうんと間延びした声


で口も開かず答えると「嘘。」と返される。表情


に出ていたらしい。嘘をつくのは気持ちのいいもの


じゃない。


特にいい子に見られようとしてつく嘘は自分の下腹に


何か黒いしこりができたように気分が悪い。そのこと


に毎度嘘をついた後で気づく。反省のないやつだ、と


思いながらも素直な気持ちを無くしていないことに安


心している自分もいた。

 


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