特訓1日目
「やってんね〜」
「······たすけて」
「おう」
シンの一閃で私を啄み続けていたペンギン達が霧散する。幸いにもペンギンのクチバシは丸くなっていたため四肢がちぎられることは無かったが、いかんせん打撃は痛いのだ。全身に痣が出来ている。
「まあ今日はこのくらいにしておくか」
「ほんとに痛かったわ」
「どんくらい突かれてた?お昼寝中にサエが速く行けって起こしてきたんだよ」
「······半刻くらいかしら」
「大分だな。戻ったらティータイムにするか」
「そうね」
庭の端に着くとシンが紙を切るように空間を開き、元の場所に戻ってくる。
「私の部屋に繋がってるのね」
普通に使うドアの隣に全く同じ形のドアが設置してあった。
「間違えて入るなよ」
「はーい」
普通のドアを開けて、廊下を抜けサエの部屋に辿り着く。
「おかえりー、はいこれ良い軟膏ね」
「ありがとう」
「サエ、食べていいお菓子ある?」
「昨日貰ったマカロンならいいよ」
「いつもの紅茶入れてくんね〜」
そこら辺にあった木製の椅子に座り、軟膏を塗る。両腕を塗り終わり、脚に取り掛かったところでサエが口を開いた。
「今日の動物達はどうだった?」
「んー終盤のシャチからちょっとキツかったかも」
「そっか、じゃあ明日はミーアキャットくらいの強さから始めるけどいい?」
「うん、大丈夫」
「おっけー。······あと1週間くらい続ければいい感じに仕上がるんじゃない?」
「そうなんだ?」
「半身の使い方と身のこなし方、あとは基礎体力さえ付ければシンの力で強くなれるから」
「え、なにそれ」
「シユ聞いてないの?ならいいか」
なんかすごい重大なネタバレを食らった気分で嫌なんだけど。
「ただいまー」
「おかえりシン、マカロン見つかった?」
「中々美味かったよ」
「えぇ······」
「いくつ残ってる?」
「1人2つずつだから6つかな」
「残りは私とシユで食べるから今のうちに紅茶入れいて」
「······はーい」
まあシンが教えてくれてないことはたくさんあるだろうし、気長に待つとしようかな。
来週もまたしばらく休みます。
次はぼんやり28くらいになるかなーって思います。
それではまた次の機会に。