ウクライナ戦争と日本
開戦前から解り切っていた事だが誰がどう見てもウクライナが不利である。
元々ロシアの方が国力が圧倒的に上であるし、ウクライナはロシアの核兵器が恐ろしくてロシアの国土に攻め込む様な決定的な攻撃が出来ない。頼みの綱のアメリカも止めてくる始末。
ウクライナの味方の西側諸国というのは民主主義国家が大半で指導者は国民の顔色を伺わざるえない。だから一貫した国家運営方針が難しい。独裁国家はその逆であり、戦争の様な非常時には国家体制として有利だ。
そして西側諸国の指導者は経済や国家運営に対する理解は東側諸国の指導者より優っているが、軍隊や戦争に対する理解や経験は東側諸国と比べて劣っている。
私が個人的に尊敬している宰相は管仲とマキャベリだ。管仲は自給自足の大切さを説いていたし、マキャベリは国家の防衛を他人任せにする国は滅びると言い切っていた。
ロシアは2人の宰相のこの2つの教えも忠実に守っている。
よほどの事が無ければウクライナは敗北する。
日本はどうすべきか?
よく見かけるのが鈴木宗男を筆頭にロシアにつくべきだと言う意見だ。勝馬に乗ろうと言うわけだ。
私はこれは豚の鳴き声以下の馬鹿丸出しの愚かな意見だと思っている。以下にその根拠を述べる。
①歴史的、地政学的にロシアは宿敵である
秦は遠方の国と同盟を結ぶ一方で隣国を攻め領土を広げ遂には中国史上初の中華統一を成し遂げた。
この事からもわかる様に隣国は国防上では現在交戦状態では無くても、たとえ友好国であろうと第一の仮想敵国であり、又実際に敵国になり得る地政的な要因を孕んでいる。
実際にアメリカとメキシコ、アルメニアとアゼルバイジャン、インドとパキスタン、中国とインドなどなど隣国同士で交戦の歴史の無い国の方が珍しい。友好国が隣国である事も又同じである。
そもそも文化的、人種的に異なっていたり仲良く無いから近くにあっても他国なのだから当たり前の事ではあるが。
そしてロシアは歴史的に一貫して日本の仮想敵国どころか現実に宿敵であり続けている。つまりロシアの肩を持ってウクライナの敵になると言う事は秦の逆を行くと言う事、脅威を肥え太らせ国防上の懸念を肥大させると言う事に他ならない。
勘違いしないで欲しい。私は日本が隣国と敵対すべきだと言っているのではない。用心を怠るなと言いたいのだ。隣国と仲良くしてお互いに盛んに交流する事が理想だし、経済的にも正しい。共存共栄する事は莫大な経済効果をもたらす。だが友好的である事は媚びる事では無い。そして友好国である事と国防上の仮想敵国である事は矛盾しないし、両立する事である。それは自宅の鍵を閉めるが如く当然の用心なのだ。
②日本はアメリカの属国である
自覚の無い日本人やこれに憤る日本人が結構いるがこれは当たり前の事である。アメリカ人になったつもりで考えてみて欲しい。日本が全くアメリカの顔色を見ずに時にはアメリカに歯向かえる本当に完全な独立国であるなら何の為にアメリカは日本と戦い数多の犠牲を出したのか?日米戦争で戦い亡くなったアメリカ兵は他ならぬアメリカ合衆国の為に死んだのであって断じて日本の為ではない。
アメリカは地政学的にも重要な日本における自国の権益を決して手放さない。
実際に竹島、北方領土といった日本の領土問題もアメリカ軍が日本に駐留する大義名分をえる為にアメリカが画策した事である事からも解る様に彼らは極力矢面に立たず巧みに日本を統治してきた。
敗戦国であり、属国の日本が宗主国を無視して勝手な外交は出来ない。
又するべきでも無いだろう。もしすれば日本は最低でも2つの敵をつくる事になる。即ちロシアとアメリカである。
たとえ幾らロシアに媚びを売ろうとロシアが隣国であり国防上脅威である事も歴史上日本の宿敵であった事も何も変わらずリスクは存在し続ける。またコロコロ宗主国を変える日和見的で節操もプライドも無い行動は世界から軽蔑されど信用される事は決して無い。我々が1番頼りにしている道具である金と言う道具も国家の信用から成り立っている。円も今以上に凄い速さで暴落するだろう。
ただ鈴木宗男の様な経済偏重と言うか国防意識皆無な政治家や国民を生み出した責任はアメリカにあると思う。アメリカは日本を恐れる余り日本国民から国防意識を奪い過ぎたのだ。
日本は確かに敗戦国でアメリカの属国ではあるがその実その立場を最大限に生かし繁栄して来た。国防をアメリカに丸投げして国家のリソースを経済的繁栄のみに注力して戦後の焼け野原から先進国の仲間入りする迄に這い上がってきたのだ。だがそろそろその方法にも陰りが来ている。そろそろ戦後を終わりすべく一歩踏み出しても良い筈だ。それがやがて属国である事から抜け出す道へと続いていくのだ。
ロシアにつくべきだとか中国につくべきとか主張する人、又日和見的であるべきだと主張する人間は国防と日本の立ち位置と言う物を根本的に理解出来ていない。そして不思議な事に独立国家の国民のつもりの癖にどの大国の下につくべきか等と言う属国根性丸出しな考えを恥ずかしげも無く披露するのである。
日本を守るべきなのはアメリカでも中国でもロシアでも無い。本当の独立国家とは自国の軍隊で自国を防衛する国家ではないのか?
例え将来ウクライナが敗れようとも日本がとるべき道は最大限ウクライナの支援をする事しかない。岸田総理は無能な宰相ではあるがウクライナ支援を明確にした点だけは私は評価しているし、歴史的にもこの一点だけは彼の数少ない功績として評価され続けるだろう。
情けは人の為ならず。ウクライナを支援する事はウクライナの為ではなく日本の為なのだ。