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ごく普通の恋の話

作者: 赤夏

これは「ごく普通な恋」をした、ある男の話。







 俺は恋をした。同じクラスの女の子に。初めは、友達の付き合いだった。友人が彼女と2人きりは緊張するからダブルデートとしてついてきてほしいからという理由だった。その頃は他に好きな人もいたし、なんで俺って思ったけど。渋々了承した。そこからだ、俺と「彼女」が関わり始めたのは。はじめはいるから話す、気まずくならないように。そんな考えだった。学校では話もせず、友達の友達という関係だった。それがいつからか2人でも話すような仲になった。中学生の悪いところだ、すぐに舞い上がってその子が気になり始めた。その頃の俺は、自信家でカッコつけたがりでいじっぱりで。中学校を卒業する頃、俺はその子と結ばれた。たった1ヶ月だったけれど。それでも俺は、その1ヶ月が忘れられずにいる。子供の頃の、昔の話を忘れられずにいるのだ。これが後悔なのか、懺悔なのか、はたまた幸せだった記憶なのか、それは俺にもわからない。ただ、忘れられない。どんなに忘れようとしても、どんなに他の人といても。ずっと心に刻まれてしまっている。こんなに苦しいのに、こんなに胸が痛いのに、子供みたいにはしゃいでしまう、嬉しくなってしまう。それを俺自身は許せないのだ。俺にも今、他に彼女がいる。とてもいい子だ。俺には勿体無いくらいに。いじっぱりで、ドジで、マヌケで、捻くれていて、自信がなくて、こんな俺のことを好きでいてくれる彼女。俺はそんな彼女がとても好きだ。でもこれが、恋愛としてなのかたまにわからなくなる。あの時とは何かが違うのだ。俺はクズだ。彼女がいるのに、他の女性のことを考えてしまう。区切りはつけたはずなのに、忘れたはずなのに。思い出してしまった。男はなんて面倒臭い生き物なのだろう。いい加減に忘れさせてくれ。もう終わったのだあの恋は。終わらせなければならないのだ。それでも俺は忘れられない。忘れたくないと思ってしまう。今の彼女を心の底から愛したい。俺の心にはただ1人しかいないと。そう言いたいのに。


きっと届きはしない。でも言わずにはいられないのだ。



「忘れさせてくれ。」

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