32話・彼女が泣く理由
シルキーがとても健気な妖精だと思うのは作者だけですか?
この世界で妖精は特に名前が付けられておらず、すること+妖精という名前の構成になっている、その上特に種族という概念が無く、妖精同士ならば子をなすこともできるらしい、妖精同士で子をなしたとき、親の特徴で、両親の強い特徴をそれぞれから受け継ぎ、見た目は同性の親の見た目をそのまま受継ぎ、目の色は異性の親の色を受け継ぎ、同じ特徴の妖精の姿は変わらないそうだ。
銀髪に赤眼の目、その上によく見ると淡く光っている、何処かの本で読んだ妖精というものだろう、彼女が妖精ならば、家事妖精と泣き妖精のから生まれたようだ、家事妖精は基本的に何世紀も続くような、旧家を好み家に入り込んでは、家事をしてくれる、それからはずっとその家に住み、ずっと家事をして家を守ってくれるくれるそうだ、泣き妖精は、同じく旧家を好み、その家の人間やそこに近い者がが亡くなった時、家族のように哀しみ、遠くにいても、死を知らせてくれるという。
いま彼女は涙を流して泣いていない、しかしとても悲しんでいる、泣き妖精は哀悼のためには涙を流し悲しむが、それ以外のためには一切涙を流さないとも書かれていた。
「ねぇ、何を泣いてるの?」
「……」
妖精は基本的にしゃべらない、心を通わすことが出来ても、言葉話交わすことはできない……か、本に書かれていたけれど、これでは難しいわね、質問をしたらうなずいてくれるかしら。
「一人が嫌なの?」彼女がうなずく
うなずいてくれたこの方法で聞いて行こう、次は何を聞くべきか……、当たりを見回していると掃除用具と少ない家具を見つけた、そう言えば、内見の時もだったけれどほこりや汚れが全くなかった、ギルド所有だったからギルドがしているのかと思っていたけれど、そうではなかったようね。
「このお屋敷の掃除をしていたのは貴方?」彼女はまたうなずく
「今まで此処に来た人たちは貴方に何かした?」彼女は首を横に振った
「家具を持っていこうとしたから追い出したの?」彼女はうなずく
「最初の人たちは帰ってくると思う?」彼女は首を横に振る
「じゃあ、私達のために働かない?」
そう聞くと彼女は私を見つめる、私の目を見つめ、その奥に何かを見たのか、うなずいてくれた。
「ありがと、貴方は名前ってあるの?」彼女は首を横に振る
「じゃあ、シルキーとかどう?」
この名前は地球で、家事をしてくれる妖精の名前、私はそれを彼女につけた、すると、私と彼女の手に魔力の線がつながった。
「まさか、これって名付け……」
私はその光に思わず目を閉じる、光が収まった頃には、バルドルフとレイエスが、何事かと言わん顔で地下室に来ていた、私の隣には、今まで座っていた、シルキーが私の隣に立っていた。
「えーっと、こちらは、曰くの原因で、家政婦になっていただいたシルキーです」
私は一瞬パニックになってしまい、取りあえず二人にシルキーを紹介した。
依頼完了です。




