30話・曰く付き
実質絢ちゃん初めての依頼です。
私が買った物件は一般家庭の一軒家ではなく、貴族の大きめの屋敷といったもので、その上曰くがあるという、私は曰く付きと言われる理由を調べていた、何故かというと、物件購入の手続きのため、ギルドに戻ると、『この物件の曰く付きの理由を調べろ』という、ギルド名義の依頼が、Aランクで張り出されていて、そのままこの屋敷を購入し、依頼達成すると、報酬として金貨15枚と、屋敷の購入金も返却してもらえるという、好条件の依頼を受けたからだ。
昼も調べていたのだが、昼は一切の手掛かりは見つからなかった、しかし、夜になっていきなりぶつぶつ、シクシクという泣き声が聞こえてきた、どうやら屋敷中に反響しているようだ、屋敷のどこからでも同じ大きさで聞こえる、これでは場所を特定することは不可能だ、取りあえず今日は寝ることにした。
翌日、ギルドに行き、あの屋敷に住んでいた人間の経歴を見せてもらった、今まで住んでいた人は、私が受けた依頼と同じものを受けた人が、あの屋敷に無料で数日住み、期限を過ぎる前に追い出されるように出てきて、そのままあの屋敷に近づこうとしないらしい、そしてあの屋敷の話題に触れると何もしゃべれなくなるくらい怖がって、屋敷について話を聞くことが出来ないらしい、そのまま記録の限りさかのぼり、どうにか一番最初に住んでいた人の情報を見つけた、記録によると一番最初に住んでいたのは、やはり爵位を持った貴族のようで、かなり昔から続く名家だったようだ、そして、この曰くは、この名家が途絶えたとたん始まったようで、それ以前にはそんな噂は一切なかったようだ。
調べ物をしている最中クラウストさんが近くに来ていたようで、調べ物が終わるとすぐにに話しかけてきた。
「なんの調べ物をしていたんだい?」
「曰く付きのお屋敷に過去住んでいた人と依頼の記録についてです」
そう話すとクラウストさんは少し不思議そうな顔をした。
「君があの屋敷の依頼を受けていることは知っていたが、なぜ過去の住人を?」
「いつから依頼が出されていたのか、いつから曰くが出たのかを調べるためですね」
「もう、心当たりはあるのかい?」
「はい既に答えは二つ程に絞れていますよ……、あっ、あのお屋敷って、大改装してもいいですよね」
「あぁ、いいけど、何かあるのかい?」
「いえ、今後のためにですね……、それより魔物の商材の許可まだおりませんか?」
「後2,3個依頼を受けてくれたらと思っていたけど、その依頼を解決できたのならいいよ、私の前任からの持ち越しだからね、その依頼は長い間ほったらかされて依頼料が上がるのに、ギルド名義だから、正直辛かったんだ」
ギルド長であるクラウストから言質を取り、私は依頼を解決するために屋敷へと帰る。
絢ちゃんの名前まだ絢とヤミリシアの二つが混在してるけど、どちらも使う場面があるのだよ。




