194話・ダメですよ
絢ちゃんは最強だけど、絢ちゃんの組織も最強にしたいのです。
3つ目の試練は終了までに約230時間、予定よりもそれなりに長い時間がかかってしまいました、さて、すぐに4つ目へ進みましょう……。
そうして唯達に次の試練へと進ませようとすると、勢いよく、訓練場の扉が開く。
「やっと見つけました、さすがに500もダミーをばら撒かれると、見分けをするのも大変ですね」
「な……ん、で……」
「私がここにいるのが不思議ですか?」
なぜか訓練場に入ってきたのは絢だった、3人は不思議そうな顔をするが、その心の中にあるのは絢が二人いることに対する疑問ではなく……
「何故、絢さんがここに来るんですか?」
同じ場所に絢の体が2ついることに対する疑問だった。
「最近『普通』や『欲』と言ったものを研究しているんですが、その過程で少し異質なものが幾つか生まれてしまいまして、しっかりと隔離していたはずなんですが……、恐らく先日の一件で私の魔力操作が不安定になった隙に一つ逃げ出してしまったんですよ」
「つまり……、この人は……」
「私ではない……と言えば嘘になりますね、私を基本として作っていますから……、ただ、完全に私だとも言えませんが」
「わ……の……、私の……、私の唯達に、おかしなことを吹き込まないでください!!」
「『貴方の』ではありません、あの子たちは、あの子たち自身のものです、私たちがどうこうするものではないですよ」
「それでも、私達が居なかったら、誰が唯達を……」
「そんな状況にはさせません、右か左かどちらかしか救えないような状況も、私の大切な商会の子たちも、全て生かします、誰一人犠牲にせずに、全員を助ける……あなたも私ならわかるでしょう」
「でも……」
「でもじゃないです……今まで研究成果として残していましたが……」
私が、私に対して、少し怒りを表していると急に泣き声が聞こえてくる……
「先生……、いったい何を泣いているんですか?」
「いえ、絢さん、成長したんですね……」
「何を言っているんですか?」
「よかった、絢さんにも、そういう感情があったんですね……」
「先生?」
「ここまで……、生きててよかった!」
「先生!?
……、はあ、まあいいですとりあえず……」
そして、私は目の前のそれを消そうとすると、急遽先生からストップが入る。
「ちょっと待ってください!!」
「……何ですか?」
「この子だってちゃんとしていいことと行けないことを教えられていなかっただけだお思います」
今回の題名は絢ちゃんの分体に言ったものなのか、それとも先生に言ったものなのか……




