14・あと一歩
文章構成が無茶苦茶になってきた気がする。
魔力の線がさらにまばゆい光を放ち、視界を奪われる。
〈まぶしい、目が痛い……〉
光が収まり、視界が元に戻ってくると、そこに鳳凰や黒竜の姿はなく、黒い燕尾服を着た執事風の青年と絢に寄りかかる赤い服を来た少女がいた。
「えっと、黒竜……でいいんですか?」
「はい、黒竜でございます、主従契約は主となるものが従者となるものに名前をつける事で完了します、我らに名前を」
〈名前……名前ねぇ、私名づけの才能だけは一切ないのよねぇ、何か元をそのままってもの嫌だし……〉
「私どもはもとより名前が無いので名前が付くというだけでも光栄なことです。」
〈でもそれっぽくそれっぽくがいいよね……〉
その少ない名づけのボキャブラリーの中で必死に考えた結果、つけた名前は……。
「ではバルドルフとかでどうですか?」
「とてもいい名前だと思います」
気に入ってもらえてよかった、もう二度と自分で一から名前を考えることはあるまいと強く決心した、その経験から、フェニの名前はもう素直にフェニックスを基に考えた。
「この子の方はフェニ……かな」
名前が付けられたことに反応しているようだが、まだ眠っている。
「じゃあもう少ししたら進みましょうか」
「その件なのですが、転移をなされてはいかがでしょうか」
「私はこの外の地形は良く知りませんし、どうしても101階層よりも上に転移をしようとしてもはじかれますし、私はこの下の地形をよくわかりませんし、この状況では転移は無理では?」
「転移場所は私が把握しております、主従契約を致しましたので我らの記憶も引き出せるようになっているはずです」
「少し試してみます」
そう言い、自分の記憶の中を探ると確かに自分の物で無い記憶の一部がある。
〈これかな……ここよりもずっと下の、大きな扉の前、この中は、無い〉
「見つかりましたので、フェニを起こして行きましょうか」
フェニを起こし転移を行う、フェニは起きた後自分が人間の姿になっていることを何とも思ってい無い様だ、自分自身は知らない場所に流石の絢も少し手間取ったようだが直ぐに転移は成功した。
「此処が最後の扉ですか……中には何があるのでしょうね」
「そこまでは伝えられていないので何とも……」
「まぁ、入ればわかるでしょう」
そういって絢は扉に手をかける。
あと一話でついにダンジョン攻略完了です。




