95話・主人公VS戦闘用ゴーレムー1
機械と戦える人間……それはもう人間じゃない。
私にゴーレムの強さを見せるために、アイシャが乗ったゴーレムは素振りをしていたのだが、おかしなことを言い出した。
「直接……ですか?」
「そうそう、見てるだけじゃわからないでしょ」
もう十分だが、まだ隠された機能があるとかなら知りたい……色々と天秤にかけた結果、私が出した結論は……
「そうですね、やりましょうか」
その回答に同伴しているバルドルフは驚いた表情をしているが、一切気にしないことにした。
そのまま『ドラゴノイド』と私が向かい合い、東の大陸の本にあった『気術』という技術を使う、気術は東の大陸でも、更に東の一部で使われているものらしく、魔法が原油を精製してできたガソリンや軽油などを使うのに対し、気術は原油そのものを使う、空気中の魔素をそのまま肺で取り込んで練りこみ、心臓で全身に回し、その先で使う、そのせいで体、主に肺と心臓に多大な負担がかかるのだが、そこは魔法でどうとでもなるので問題ない。
肺で周囲の魔素を取り込むと同時に、肺が通常以上に膨張し、心臓の鼓動が何十倍にも早くなる、文字どうり息が詰まるような感覚と共に、肺に穴が開いたような感覚がする、そして息を吐くのと同時にそれらが元に戻り、身体中に今までに感じたことのない力が回る、二回目からは肺の膨張の感覚こそなくなったものの、心臓の鼓動は速くなり、体温が急に上昇し、身体能力の上昇を感じる。
私の準備が終わったことを確認したのか、アイシャは私に開始の合図と言わんばかりに、背中のあたりに隠していた大剣を左手で引き抜いて大きく振りかぶり、そのまま振り下ろした、その速度自体は最大倍率の思考加速をしてゆっくりに見えているが避けられる速度ではない、今までの事を思い出すと防御をせずに耐えられる威力ではないだろう、魔力を使って身体強化をし、少しだけ左手を動かして、指でつまむようにして受け止める。
「え!!うそ!?受け止めた!!」
「次はこっちからですね」
右手を強く握りこみ、『ドラゴノイド』に向かって突き出す、普通ならば届かない距離だが、何故だか届くような気がした……、その謎の気持ち通り、右手の突きは届き自体は届かなかったものの、攻撃に威力は届き『ドラゴノイド』を少し押し込んだ、『ドラゴノイド』の攻撃が当たった場所を見ると少しひびが入っていた。
「うそでしょ……」
まだまだ私と『ドラゴノイド』の戦闘は続く。
絢ちゃんのゴーレムはどうしようか……




