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世界樹の下で  作者: 瀬織菫李
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8.一度目の転機①

 こうして私は記憶を持ったまま、二度目の生へと突入した。願い通り、中央大国の王都にほど近い穀倉地帯の村の一つに私は生まれる事となった。王都に住む人達のいわゆる食糧庫と呼ばれる辺りだ。


 ヴェルティアなんて平民には不似合いのお貴族様っぽい名前を付けられた私は、流石に大人の記憶があるので赤ちゃん時代は恥ずかったけど、なんとかなりきりで乗りきった。前世で実家に帰った時、兄の子の世話をやらされた甲斐があったのかも知れない。


 ただ、幼少期に結構ヤバイ事が判明した。天使様は『剣と魔法の世界』って言ってたから、魔法が当たり前の世界なのかと思ってたら、剣はともかく魔法を使えるのは一部の人間だけだったらしい。


一応魔石と呼ばれる魔力を含んだ鉱石が鉱山から産出されるお陰で、魔法に代わる便利な道具が使えるため、元の世界より極端に不便ということは無いけれど、それに頼る様になってから、次第に魔法を使える人が少なくなってきているのだそうだ。


 そんな事になっているとは露しらず、ある日自分が魔法を使えるという事に気付き、テンションが上がった私は、人前で堂々と披露してしまったのだ。使ったのは水魔法で、何をしたのかといえば畑の水やりだ。井戸はあるし、雨水を貯めてもあるけれど(ちなみに魔石では広い畑に撒くほどの水は出ない)、いちいち運ぶのが面倒だなーと思った私はスプリンクラーの様に水を撒いたのだ。家族だけではなく、近所の人の居る前で。


 村の人口は大体200人くらいで、今までその中で魔法を使えるのは三人だけだった。私が四人目だ。家族に大喜びされた私は、小遣いに釣られて村の水やり係を任命された。そこまで魔力が豊富では無いのでお年寄りの畑だけだけど。まあ歩くスプリンクラーだ。


 で、結局何がヤバイのかというと、使える人が少ないその魔法が複数の属性使える事だった。よくラノベであるステータス画面とかは無くて(こっそりやってみた。出なかった。……恥ずかしかった)、なんとなく頭にこういう魔法が使えるって思い浮かぶのだけれど、水だけじゃなく、土も火も風も、光とか闇とか他にも色々と使える様なのだ。全部簡単な、ランクで言うと初級だけみたいだけど。


 どうも天使様が勝手に付けたチートっぽい気がする。すっごくありがたいけど……ありがたいんだけど、これもなんかこう……ちょっと違う気がするのは何故だろう……まあ、いいや天使様ありがとー(投げやり)


 という訳で複数の魔法が使える秘密を抱えながら、畑を耕したり、スプリンクラーしたりしながら、村の子供Aから村の少女Aに進化しつつのんびり農民生活を満喫していたある日、この人生最初の転機が訪れたのだった。

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