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世界樹の下で  作者: 瀬織菫李
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21.旅の仲間が現れた!②

「いや、宰相が言った魔法の習熟度が見たいというのは、嘘では無いよ?どの属性のどんな魔法が使えるのか。三属性なんて僕の知る限りでは居ないからね。とても興味があるね」


「はぁ……」


 まあ、ここに来ちゃった以上は腹くくるしかないかなあ。でも、気になるのはさっき言った聖女と同じの様ってどういう事なんだろ?


「言葉通りだよ?君も聖女と同じ世界からやって来たのではないのかい?」


「え。ど、どういう意味ですか!?」


「僕の顔を知っている様だったからね。僕は弟と違って聖女の馴れ馴れしい態度には辟易していたけれど、彼女の話す異界の様子には興味があった。だから出来る限り話を聞いたよ。彼女はこの世界を『乙女げーむ』と呼び、弟を『攻略対象』と呼んでいた。僕の事は、『攻略対象じゃないけど『いけめん』の王子だから』ってすり寄ってきていたね」


 なにやってんだ聖女様は。イケメンならなんでもいいなんて、それはもうヒロインじゃなくてウザインだよ。


「『乙女げーむ』とは一体何だと思ったが、彼女の話から推測すると、どうも何か基本的な台本があって、時々選択肢により流れが変わる芝居のようなものらしいね。この世界は彼女にとって舞台であり、彼女はその芝居の主役兼選択者、そして弟はその芝居の『登場人物』だったという訳だ。まあ、結果をみればただの妄想の様な気がしなくもないけれど」


 ここまで話してランクス殿下は、口が渇いたのか一口お茶を飲む。憎たらしいくらい様になってるなあ。というか、イケメンはなにやっても似合うってやつかしらん。


「この国は王太子が継ぐし、既に王子も居る。僕は元々人前に出るのがあまり好きではなかったから、いずれ継承権を放棄する方向で、『塔』で魔法の研究の道を選んでいたんだよ。何故人から魔法の力が消えていくのか、とかね。故に僕は夜会や茶会にほとんど出ていなかったから、貴族でも僕の事を忘れている者も居るくらいなんだ。なのに、聖女も君も、僕の顔を見てすぐに誰だかわかった様だった。だから君の反応や、君の能力を鑑みて、君は聖女と同じなのでは?と推測したんだが」


 ……おかしいなあ。現宰相様といいこの人といい、なんでこんなに能力ある人達がモブだったんだろう。女の嘘に騙されて野盗にまで成り下がる様な男共より、よっぽど『登場人物』に相応しいんだけどなあ。まあ、聖女様が『シナリオ攻略』に失敗したせいなのかもしれないけど。私、あのゲームでバッドエンド見たこと無いからなあ。


 ここまで聡い人に、全部誤魔化せる自信ないなあ。


「えーと、同じ、というのは多分ちょっと違います。聖女様は向こうの世界から『やって来た』んですよね?私は向こうの世界で色々とあって死んじゃって、こっちに生まれ変わったんです。まあ、記憶が残ってるんですけど」


 あはは。流石に、『あんたんとこの世界の神様にうっかりで殺されたんで、代わりにチート貰ってこっちの世界に生まれ変わった』とは言えないわ。

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