表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界樹の下で  作者: 瀬織菫李
11/30

11.聖女様がやって来た①

 そうして私は王の菜園にて農婦デビューを果たした。初めはなんでこんな小娘が?と他の農夫達に不審がられたけど、私が魔力でスプリンクラーしたり(知らなかったけど魔力を含んだ食物は味が変わるらしい。美味しいってことは魔力の質が良いのかな?)、丁寧にぼかしを作って撒いてる(これまで農園では牛糞や馬糞と刻んだ藁で作った堆肥を撒いてたそうだ。だから畑がめちゃめちゃ臭い)のを見て、お主出来るな状態になった様だ。それからはあれこれ教えてもらえるようになって色々と助かった。何せ世間知らずの田舎もんなんで。


 そんな風に真面目に畑を耕していたある日、何気なく教えて貰った事に驚いた。何をかと言えば作物の生育が悪くなっている原因だ。


 世界樹が枯れてきている。


 勿論遠い所にある伝説の樹で、伝言ゲームの様に主観的な噂混じりだから、何処までが本当なのかはわからない。ただ、原因の一環である事は間違いない様だ。


 ただ、この事を初めて聞いた時は確かに驚いたけど、「え!?そうなの?ふーん」的な感じで完全に他人事モードだった。何故なら世界樹は伝説ではこの世界の恵みとして神様が植えたもの、とされているからだ。神の恵みに感謝をする事によって、大地の恩恵が与えられる、と言われているらしい。だけど私には願い事その3で神様を敬わなくても罰が当たらない。つまり世界樹の影響を受けること無く作物を育てられるのだ。


 勿論別に自分さえよけりゃ、という訳じゃない。噂になるくらいだから、そのうち偉い人がなんとかするでしょ?的な他力本願だ。だって私は、ちょっと他の人とは違う能力があるだけの農婦Aだもんね。


 なんてのんびり考えてた数日後、王宮に激震が走った。王宮の庭園に眩しく輝く光の柱が立ったと思ったら、一人の女の子が現れたと言うではないか。噂好きのメイド雀さん達から聞いた話だと、黒目茶髪で、はしたない程短いスカートの変わった服を着ていたのだという。


 ……?何処かでなんかこんなようなシチュエーションを見たことがあるような無いような?


 女の子はそのまま王宮で保護され、慌てて現れた教区の大司祭様から、聖女様であると認定されたらしい。なんでも、神様が世界樹を世の穢れから救うために異界から遣わしてくれたのだというお告げがあったそうなのだ。


 やがて気が付いた聖女様は、暫く王宮に滞在してこの世界の事を学ぶ事になったそうだ。世界樹救済の旅は長期間に渡る。しかしながら、距離が距離なので、大部隊を編成して行こうと思ったら資金がいくらあっても足りない。となれば、少数精鋭で行くことになるため、聖女様にも色々と慣れてもらわなければならない、という事だ。


  なんでも聖女様は教会の属性判定で、聖と光の魔法が使えると診断されたそうだ。一度に二つ、しかも聖属性の魔法が使えるとあって、判定に立ち会った人達が大興奮だったらしい。


 ただ、それを聞いた私は、多分顔色真っ青だったと思う。ええっ!?属性って調べたり出来るの!?と。どうやら相当高価な魔石が必要らしく、王都や大都市の大きな教会でないと調べる魔道具が無いらしい。なんせ私ってば二つどころかいっぱいなのだ。調べられたら超ヤバそうだ。信仰心がまるで無いし、罰も当たらないので、生まれてこの方まともに教会でお祈りなんかしたこと無い。なんの拍子で判明するかもわからないので、これからも教会には近づかないでおこう……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ