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「あの子は大丈夫かしらぁ?」


仕事が終わり、村から出て下山を始める僕達。

その道中、ふと、 ゴエティアさんがそんな事を呟く。

因みに、今の彼女は本来の黒本の姿。

喋る本。


「ミヤコちゃんの事? まぁそこはアフターケア上手くやっとくよ」

「むっ! ミヤコちゃんって誰ですか!? 知らない女の名前! (むきー)」

「てかゴエさん、契約至上主義の悪魔(みたいな存在)なのに、既に契約を(強制)解除した雇い主の事が気になってるだなんて意外だよ」

「そりゃあ、数世紀を共にした一族最後の巫女だからねぇ。思う所もあるわよぉ」

「不幸にした元凶の癖に」

「契約通りに動いただけよぉ? そも、私と契約してなかったら今頃ガルシア家……現神代家は滅んでたからあの子は生まれて来れなかったわよぉ」

「どっちが幸せだったかって議論は水掛け論になるから置いといて……ま、今言った通りしばらくはこっちも『監視の目』は付けとくよ」

「具体的にわぁ?」

「(ポンッ)ミヤコちゃんが通う学校にこの子も通わせます」

「え!? その話に繋がるんです!?」


クノミがびっくりした。


「だからもう学校の件は良いんですっ。瓏さんとの時間を大事にしたいんです!」

「(プルルルル)あ、モリちゃん? (クノミ妹)今良い?」

『なによ』

「ちょっと瓏さん! どこに電話掛けてるんですか!」

「今度クノミをモリちゃんとこの学校に通わせるから準備等よろしく」

『マジ? ……まぁ、一応母さんに話しとくから』

「モリちゃん! 待って! ……ああ」


クノミがガックリ肩を落とした。


「そう絶望するなよ。君だって、散々通学を催促してたモリちゃんを受け流して来た事、悪いと思ってたろ?」

「そうですけどぉ……離れるのやだぁ……」

「ちょっと、大丈夫なのぉ?」

「うーん……仕方ない。なら特別に、毎晩『同じお風呂』のオプション付けてやるから」

「ぐぅ!? ……ぐぬぅ」

「よし、落ちたな」


クノミが落ちたのと同時に、スタート地点である登山道に戻って来た僕達。


「もう夕方前かぁ。思ったより時間掛かったなぁ」

「日帰り感覚で私の数世紀が潰されたのねぇ……」

「まぁまぁ……ん? 狐ちゃん、もう帰るの? お疲れ様会やろうと思ったのに」


今日一日案内役をしてくれた功労者が何も言わず去ろうとしていたのでそう訊ねると、彼女は『ふんっ』と鼻息を漏らし、スタスタと離れて行った。

うーん、最後まで塩対応だったな。

次仕事する機会があったら久し振りに人間形態を見たいものだ。


「そういえば、私今度、狐鏡こきょうさんとお茶しに行く約束したんですよ」

「狐鏡って……まさかあの狐ちゃんの名前? 僕だって教えて貰えなかったのにっ」

「あ、これ言っちゃダメなやつでした」

「ぐぬぬ……クノミの癖にっ。僕も冷やかしに行きたいっ」

「私もそう提案したんですけど、瓏さんは絶対に呼ぶな、と。いやぁ、瓏さんへの愚痴大会で意気投合しちゃって」

「なにィ! 居候の分際でっ(グリグリッ)」

「ギャー! 浮気者な瓏さんが悪いんですよっ。……ぅぅ、しかし、狐鏡さんにはどうしてここまで嫌われて……?」

「嫌われるような心当たりないんだけどな。『油揚げ爆破事件』? 『古龍誘爆事件』? 『狐の里地雷事件』? どれかかなぁ?」

「爆ぜる系が多いですね」

「ねぇ、この後どうするのぉ?」


「ああ、そうだ。ごめんねゴエさん。今から依頼主のとこに『連れてく』から」

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