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プロローグ
「――さん! お客さん! 大丈夫ですか!?」
地面が冷たい。
ヒュオオ…… 風も少しばかり強いようだ。
「お客さん! 地面にキスしてないでおーきーてーくーだーさーいー」
先程から聞こえる声は、どうやら僕に向けられているらしい。
少女の声。
重い目蓋を開くと……白。
視界に広がるのは白一色。
これは……雪、か。
こんな所で僕は寝ていたらしい。
「あっ! 起きましたね! 立てますか? 早く『中に』入ってあったまりましょー!」
少女は僕の腕を肩に回し立たせてくれた。
この銀世界の中……目の前にはぼんやり、【洋館】が見えた。