1.私は魔族でした!
初投稿です。今回は2話連続となります。
5話あたりまでストックがあるので定期的に投稿していこうと思います。
魔王様から放たれたそれは、勇者を亡き者に出来る威力を持っていた。しかし、それが勇者に届くことはなかった。
途端、自分の身体に激痛が走る。
私はいつの間にか勇者の前に躍り出て、それをこの身に受けていた。痛みは一瞬だけで、すぐに全ての感覚を無くしたようにその場に倒れふす。
いくら人間よりも丈夫な魔族とはいえ、魔王様の攻撃を受け無事でいられるわけがなかった。
「ミスティア!」
勇者は崩れ落ちた身体を抱き上げ、必死に私の名を呼ぶ。その場にいる誰もがそんな私と勇者を見て唖然としている中、いつの間にか私の近くに来ていた魔王様が虫の息である私に問いかける。
「何故だ、何故そいつを庇った。」
死が近づいているからだろうか、魔王様の顔が霞んでよく見えない。魔王様にとって私は取るに足らない存在だろうに、何故そんな事を聞くのだろう。
私は最後の力を振り絞り言葉を紡ぐ。
「貴方様が、彼を殺す、…の、みたく…なか…。」
そこで意識はブラックアウト。きっとあれが最後の言葉だっただろう。
というのが前世の私の最期だ。
側から見ればとてもドラマティックな場面だが、私は知っている。これがそんなに大層なものではない事を。
前世の私は今世の私と一緒で、非常に、ひっじょーに!残念な思考の持ち主だったという事を!