⑤
日が落ちる少し前に、運び出した木片を焚き木にして火を起こし、この国初の晩餐会と言う名の夕食会が始まった。
その頃には遊び疲れて満足したのか、全ての子供達が両親の待つ天へと帰って行き、楽しげな声は無くなり、虫の鳴き声が晩餐会のBGMになっていた。
「それではこれより、新たな国の建国を目指し集った仲間と共に、晩餐会を始めたいと思います! かんぱーい!」
「かんぱーい!」
石垣に囲まれた砦の庭で、綺麗な星空の下ハーブティーを入れた木製のコップを掲げ、リリアが嬉しそうに開会宣言をした。
フィリアとジョニー、見張りを続ける団員達にヒーまでもが声を上げ、ジョニーと団員は剣を、フィリアとヒーはコップを鳴らす。
木の皿には目玉焼きとパンとベーコンが並び、酒の代わりにハーブティーを飲み、焚き火の灯りで照らされた晩餐会場はただの野営と変わらなかったが、楽しそうにするリリアにとっては、晩餐会に代わりないようだった。
「リリア様、この国の名前は決まっているのですか?」
フィリアがこの機に名前の発表を求めた。
「……いえ。まだ正式な名は決めてはいません……折角ですから皆で考えましょう!」
小考したリリアは目を輝かせて提案した。
「よろしいのですか? 私達が口を出して?」
「もちろんですとも。すでにフィリア達はこの国の建国者の一人なのですから。ジョニー達もそうですよ」
「まぁ! そう言って頂けると光栄です!」
「有り難きお言葉。身に余る光栄です!」
フィリアは両手を合わせ拝み、ジョニーは跪き頭を下げた。
それを見て、お前らは一度冷静になった方がいい! と思ってしまった。
「ちなみにリリアの考えてた名前は何なんだ?」
「いえ。正直に言うと、何も考えてはいませんでした」
リリアらしい答えに納得した。リリアは名前や肩書きには興味がない。
「ですから、今ならリーパーが考えた名前が、この国の名になるかもしれませんよ?」
実際俺もどうでもいい。全くここが国になるとは想像もつかないのだから。
「そうなの? ……じゃあパトロクロスでいいんじゃねぇの?」
「それは駄目です!」
リリア、ヒー、フィリアの三人は声を揃えて言った。
「なっ、何でだよ? ここは元々アーロ王が作ったパトロクロスの砦だろ? 別に同じでもいいじゃねぇか?」
「貴方は何も分かっていないようですね?」
リリアは呆れたように鼻で大きくため息を吐いた。
「いいですか。もし私達のような愚民がその名を名乗れば、ルキフェル様の怒りを買い、この国どころか、私達は二秒と持たずに処されてしまいます」
「……あ、そう……」
この地域は初代魔王ハデスの忘れ形見“ルキフェル”が支配する。と言われている。
ルキフェルはその昔、アーロ王にこの地を与え、国を作らせた。民は弾圧などの差別を受け逃れて来た種族が多く、強力な力と合わせて、悪魔にも関わらずこの地方では神より崇拝されている。
現在ではその姿を見た者や声を聞いた事がある者はおらず、神話的存在だが、城はまだ存在し、危険な悪魔や魔物が住み着く。このことから未だに健在だと信じられている。
そのお陰もあり、魔王でさえこの地を我が領土にしようとは考えず、今まで戦争とは無縁の生活が出来ていた。
「全く。自国の置かれている状況も分かっていないとは……」
リリアは意外と勉強して来ているようだ。
「はい!」
ヒーが軽く手を上げ、意見を述べる許可を求めた。
「どうぞ! ヒー伯爵!」
待っていましたとばかりにリリアはヒーに手を差し伸べた。
ヒーは早くも伯爵という爵位を与えられている。
「リリアはこの国に、どういう想いを捧げるのですか?」
いい質問だ。それが分かれば皆考えやすいだろう。
「私の理想は、全ての民が差別される事も無く、皆が仲良く平和に暮らせる国を作りたいと思っています!」
パンツをチラつかせながら胡坐をかいて腕を組み、鼻息荒く言うリリアは、もうおっさんだ。
「はい!」
今度はフィリアが手を上げた。その手は高く真っ直ぐ伸びていた。
「はいどうぞ! フィリア子爵!」
リリアは嬉しそうにフィリアに手を差し伸べる。
フィリアは子爵なのかと分かると、俺は男爵なんだなと思った。
「私は国にはおか、いえ富も必要だと思います。そこで、富に恵まれるよう意味を込め、ゴルゴーンというのはどうでしょうか?」
「なるほど。なかなか力強い名前ですね。ほかにはいませんか?」
フィリアは絶対お金と言おうとした。フィリアを子爵にして大丈夫だろうか?
「ジョニー、貴方の意見も聞きたいです。遠慮せずどんどん言って下さい」
「はっ! 有り難きお言葉」
ジョニーはいちいち跪かないと気が済まないようで、一人だけ完全に浮いている。
「では、僭越ながら私めが団を代表して、意見を述べさせて頂きます。私どもパープル騎士団の使命は、この国に平和をもたらす事でございます。そこで、この国から平和を広げるという意味を込め、ピースウォーという名はいかがで御座いましょうか?」
「平和と戦い。いえ、平和の戦い。素晴らしい名です! とてもいい意見をありがとう御座います」
「私の言葉など、リリア様に比ぶるば皆無に等しいです。そのお言葉有り難く頂戴致します」
堅い。堅過ぎる! ジョニーはずっとこのキャラを守っていくつもりだろうか?
「はい」
「どうぞリーパー委員!」
俺は議員ですらないようで、一気にやる気が失せた。
「俺に爵位はないのか?」
リリアは、えっ! 何を言っているんだ? という顔を見せた。
「何その顔? なんで俺だけ委員なんだよ!」
「今日の働きを見れば当然でしょう? 貴方今日活躍しました?」
「したよ! 片付け手伝っただろ!」
「それは全員がしましたよ? 貴方だけの活躍は何かありましたか?」
傷だらけのリリアの手を見て、何も言い返せなくなった。
「分かったよ。じゃぁここでいい名前言ったら爵位をくれよ」
「いいでしょう」
鼻で大きく息を吐き、俺は今考えた名前を発表した。
「今ここで、こうやって皆でこの国の将来について考えてるだろ? それをこの先忘れないためにって意味を込めて、ファースプレイスなんてどうだ?」
リリアは腕を組んだまま目を閉じ、何かを考える仕草を見せた。
「う~ん……いいでしょう。貴方にひいひいひいひい孫爵を与えます!」
「もう誰の子孫かも分かねぇだろ!」
「ではいらないのですか?」
「……もうそれでいいよ!」
無いよりはマシと考え、そのひいひいひいひい孫爵の爵位を有り難く頂戴した。
「はい!」
「どうぞヒー!」
もう伯爵と付けるのが面倒なようだ。
「私は、この地を御守り下さるルキフェル様に敬意を込め、フェルエルという名を推奨します」
「なんと神々しい名ですか! さすがはヒーです!」
リリアに褒められたヒーは、少し恥ずかしそうに下を向いた。
「皆とても素晴らしい名を述べてくれました。今それをまとめてこの国の名を決めたいと思います! 少し時間を下さい」
それをまとめて? 結局皆が考えた名前を、王はお気に召さなかったようだ。
腕を組み、目を瞑り、焚き火の前で顔を赤く照らされながら、リリアは首を振り子時計のように左右に振りながら考える。
その間、俺達は黙って王の言葉を待つ。
「う~ん……う~……うっ! う~ん……」
うちの王様は決断力と頭の回転があまりよろしくないようで、しばらく唸りながら考え続ける。
あまりの長考に、次第にそれぞれが食事の続きを始め、「ヒーちゃん、おかわり要りますか?」「ではリリアの分もお願いします」というやり取りまで始めた。
あまりに長い王の唸りに、黙って立っているジョニーが気の毒になり、声を掛けた。
「ジョニー、もう仕事に戻っていいぞ? 別に俺達に無理に付き合わなくてもいいから」
「いえ。これも私の務めですから、どうぞ御気に為さらないで下さい、ひいひいひいひい孫爵様」
こいつは馬鹿にしているのかと思ったが、俺にまで跪く姿は完全に真面目だ。
「ジョニーその言葉遣いと、いちいち跪くのは何とかなんないのか?」
「それはさすがに無礼に当ります。騎士としてそれはご勘弁願いたい」
三百年アンデッドになってまで騎士をやっていただけの事はある。ひいひいひいひい孫爵では説得できなさそうだ。
そこで唸る王に進言してもらおうと声を掛けた。
「おい……おいっ! おいリリア!」
「なっ、何ですか急に?」
よほど集中していたのか、俺の声に驚いたようにリリアは答えた。
「ジョニーにもう少し、接し方を軽くするよう言ってもらえないか?」
「えっ! あっ、いいですよ」
かなり位の低い孫爵の陳情にも、寛大な王は簡単に聞き入れてくれた。
「ジョニー、一つお願いがあります」
「はっ! お願いなどでよろしいのでしたら、如何なるものでもこの命、お捧げ致します」
こいつはお願いの意味を知っているのだろうか? 命を捧げたら命令に匹敵するお願いになってしまう。
「ジョニーの、いえ、騎士団全員の私達に対する接し方を、もう少しだけ緩くしてもらえますか?」
跪いたジョニーはほんの少しだけ黙り込み、どうすればいいのか訪ねた。
「では、どのような言葉遣い、礼拝を致せばよろしいのですか?」
今お前がしている姿勢と言葉遣いを止めて、普通の人に話すようにすればいいだけのことだ。
「先ず跪く事はしなくていいです。それと、顔を見せて話して下さい」
「リリア様がそれをお望みとあらば、例え打ち首になろうとも、団員全員が喜んでお受け致します!」
そんなに⁉ 一体俺達を何だと思っているのか。アホだこいつは。
「これでよろしいでしょうか?」
ジョニーは立ち上がり、最敬礼をして頭だけをリリアに向けた。
横で見ていた俺は、開いた口が塞がらなかった。
「ジョニー、その姿勢では、私達に突然矢が飛んで来ても対処できませんよ?」
そんなに⁉ 俺達はそんな危険に晒される立場なのか⁉
「貴方達は騎士団でありながら私達の同志なのですよ。同志にはそのような接し方をしませんよ?」
「くっ! なっ、なんとお心の広い王なのですか! 私の王に対するご無礼をお許し下さい!」
王の度量を見誤っていたジョニーは深く傷ついたようで、土下座をした。
それに気付いた団員たちは、決して職務を放棄することなくじっと見張りを続けているが、騎士団長の土下座に王の怒りを感じたようで、畏怖でカタカタと頭が小刻みに揺れている音がした。
その音に気付き目を向けると、僅かだが人骨の上にうっすら人の形が浮き出ている事に気付き、驚いた。
「わぁっ!」
「どうしました⁉」
突然の俺の声に、フィリアは驚きハーブティーを零した。
「いっ、いや、兵士達が……」
俺が骸骨兵士を指差し皆に見ろと教えると、リリアが説明してくれた。
「あぁ、アレですか? 夜になれば魔力も高まりますからね。とくにここに残った彼らは、今やこの国の為という強い想いを持っていますから、生前の肉体がより鮮明になったんですよ。さらに夜が進めば生者と見分けがつきにくくなりますよ」
アンデッドについてほとんど知らない俺には、衝撃の事実だ! もし本当に生きた人間と区別がつかなければ、夜の街を歩こうとは思わない。
「安心して下さいよ。彼らは私達を襲ったりしませんから。それに、この時間でアレだけの姿を保てるのは相当上位の証ですから、数は減っても前以上に堅固な守りをしてくれますよ」
喜ばしい事なのかそうでないのかは分からないが、今夜は安全に眠れそうだ。
「じゃあ、ジョニーもさらに人間の姿に近づくのか?」
「いえ。ジョニーは元々最上位クラスの力を持っていますから、外見は変化する事はないです」
「……外見は?」
外見意外に何が変化するのか恐ろしくなった。
「えぇ。その代わり、今まで以上の魔力を有する事になると思います。見てください、魔力を高めているわけでもないのに、すでに酸素の欠落した、血のような赤黒い魔力が体から立ち上っているでしょう?」
確かに言われて見れば、先ほどまで気にならなかった魔力が、酸素の欠落したようなドス赤黒い色をしている事に気が付いた。
「今のジョニー達なら、砦の外でも十分力を発揮できますし、並みの冒険者では太刀打ちできないでしょう」
それはすでに魔物ではないのかと思ってしまう。
「しかし人形にでも入らなければ、小石も拾う事が出来ませんけどね」
冗談のつもりで言っているリリアの言葉に、ジョニーは少し面目なさそうな顔をして和んでいるが、俺にはとても笑える話には聞こえない!
「あっ、赤い魔力は何とかなんないのか?」
「無理ですよ。ジョニー達はすでに、悪魔種に属しているのですから」
赤い魔力は悪魔の系列の証しで悪しきものと位置づけられ、青い魔力は天使などの天族の証しとして聖なる力とみなされる。ちなみにそれ以外はどちらかの色に偏る。人間はもちろん青で、高魔族の血縁にあるリリアとヒーも青い魔力を出す。ただし瞳の色だけは何故か赤くなる。
「勝手に人とか襲ったりしないだろうな?」
「人が勝手に人を襲うのは凶悪犯だけですよ? 誇り高いパープル騎士団が、理由も無くそんなことすると思いますか?」
いつの間にか跪いた状態になっているジョニーは、はにかんでいる。
その人間味溢れる姿に、それはなさそうだとちょっと安心した。
「体が完全に人の形に包まれれば、私達も団員達と話すことが出来るようになりますよ。そうすれば彼等の性格も分かり、さらに親しくなれるので楽しみにしていて下さい」
「それは少し楽しみだな……」
三百年前はどんな生活を送っていたのか、聞いてみたくなった。
「それより、ジョニーへのお願いの方に戻っていいですか?」
「あぁゴメン」
俺のせいで話が中途半端になっていた。
「ではジョニー、話を戻します」
「はっ!」
「先ず跪くのをやめてもらえますか?」
ジョニーはゆっくり頭を下げたまま立ち上がり、再び最敬礼をしようとした。すると、「敬礼も駄目です!」と空かさずリリアが注意した。
それを聞いてジョニーはピクッと一瞬動きを止めたが、ゆっくりと立ち上がり、直立不動の起立を始めた。当然顔を夜空に向け目を合わせない。とても面倒臭い奴だ。
「起立もやめて下さい」
すると今度は、頭の向きはそのままで休めの姿勢をとった。
「休めも駄目です」
リリアが一つ一つ詰んでいく。さすがにもうないよ? と思いつつも、次の一手が気になる俺達は黙って見ていた。
ジョニーは少考の後、尻を地面に着け体育座りをし、膝を抱えた。何故か顔だけは決して合わせまいと星空を見上げている。
ここでさすがのリリアも限界が来たようで、正座をして説教を始めた。
「ジョニー。貴方はどれだけ尺を取れば気が済むんですか! さすがに皆も飽きてきましたよ!」
そう思うのなら、もう少し早い段階で止めるべきだ。
ジョニーは怒られ、箪笥の間で涙が零れない様にしている子供のようになっている。
「私達は家族です! ジョニーは家族にそんな態度を取るんですか!」
部屋壁に落書きし、説教される言葉を知らん顔する子供を叱るようにリリアは地面を叩き、教育する。
「何故黙っているんですか! 私の目を見て答えなさい!」
黙っているのは王が喋っていいと言わないから。目を合わせないのは偉大なる王と目を合わせるのが無礼に当ると知っているから。それくらいは俺にも分かる。だが、今のリリアには無理だろう。
「申し訳ありません! 決してリリア様を、王を侮辱している訳ではありません! 私めの行いそのものに嫌悪を抱かれましたのなら、どうぞこの首を御刎ね下さい!」
ジョニーはリリアとしっかり面をつき合わせ、はっきり言った。
ジョニーは決して悪気があるのではない事は分かっている。騎士として、団長として、そうあるだけで何も間違ってはいない。ただ一つ間違いがあるとすれば、顔と声の凛々しさとは吊り合わない、今の体育座りだけだ。
「それほどまでの覚悟があるのなら、私達を家族として守りなさい! 貴方の手は他人の為にあるのではないでしょう!」
リリアはいい事を言っている。ただ魔力を込めた手でジョニーの手首を掴み、「悪いのはこの手!」みたいに乱暴に揺することをしていなければの話しだ。
「リリア様……私達のような者が、本当に家族などと呼ばせて頂いてよろしいのでしょうか?」
「当然です。王にとって、民とは家族です。そして民を守る兵士も同じです」
もう面倒臭いやり取りは十分だ。さっさと終わらせてほしい。
「さぁ立って下さい。家族に遠慮は入りませんよ」
「はい。喜んで御受け致します」
この二人は馬鹿だ。何も言わず見ているフィリアとヒーもそう思っているだろう。
「では、リリア様。これからは家族として接しさせて頂きます」
「家族に敬語など必要ありませんよ」
お前は妹にも敬語を使っているだろう。
リリアと見つめ合い何かを通じ合わせたジョニーは、兵士達に向かい叫んだ。
「パープル騎士団全員に告げる! 今この刻より、我ら騎士団は、リリア様! ヒー様! フィリア様! リーパー様! 四人の王族様と家族となった! これからは互いの間には遠慮は要らん! 存分に家族のため命を貫け!」
全然分かっていないジョニーは腕を高々と上げ、勝ち名乗りのような宣言をした。
それを受けて団員達は剣を天に掲げ、俺にもはっきり聞こえる声を上げた。すると、うっすらしていた生前の姿が一気に人に変わった。
「素晴らしい……」
それを見てリリアがボソッと声を零した。
「なぁ? 何でいきなり体がはっきりしたんだ?」
いい雰囲気を台無しにしないよう、ヒーに小声で訊いた。
「アンデッドは思念の塊だと、先ほどリリアから聞きましたよね?」
「あぁ、言ってたな」
「今までは一兵士として、守れなかった国の変わりに私達の国を守る、という償いの不純が混ざっていました。しかし、今それは償いから新たな家族を守るという使命に変わりました。迷いのない覚悟と、後ろめたさという償い、どちらが強い力か分かりますよね?」
「あぁ、分かりやすい説明ありがとう」
生き物は想いの強さで変わるというが、こんなにも違うものかと思うと、彼らがどれほどの想いを抱きこの砦を守っていたのか、切なさを感じた。
「ではジョニー、これからは私達を王族としてでは無く、家族として呼んで下さい」
「分かりまし……いや、よろしくお願いする、リリア殿」
ジョニーはあまり変わっていない気がするが、リリアは差し出された手を握り、受け入れた。
しかし、家族で握手はおかしくないか?
パープル騎士団を家族として受け入れたリリアは、砦の中全員に聞こえるように叫んだ。
「今からこの国はグリードガーデンと名付けます! 全てを受け入れ、平和に貪欲にという意味です!」
「平和に貪欲?」
「平和のためなら貪欲くらいで丁度いいんですよ! だから私達は、平和への想いも、願いも、全部受け入れます!」
庭の方は謎だが、こうしてリリアの、俺達の国はグリードガーデンに決定した。