日本の核武装について
核武装を考えるときには、どの程度の射程、要は、日本がどのあたりの地域までの政治をコントロールするのかという問題を考える必要がある。
必要になる項目は以下の三つ
1・コミット能力
核武装により生じる射程圏内において、政治、軍事、民生の多分野で支援や政治介入。軍事介入をどのようにやるか。
2・抑止能力
核保有にあたってどこの国を仮想敵国として核武装するのか。
核ミサイルの配備方法や数をどうするか。
3・継続能力
核武装に伴う費用。財政事情により核兵器が急激に増減したり、整備不良が出ない数量であること。
規定されたコミット能力を発揮できる通常戦力を維持し、常にコミット能力を発揮できる状態である事。
これを基準にやらないといけない。
でも、今出回っているものは、1を完全にすっ飛ばして、いきなり2だけを主張しているのが目立つ。
敵だけを想定して、「抑止力」や「外交力」だったり「発言力」を向上させるために核武装するのだと。
その耳障りの良い主張には支持や賛同が集まるが、誰も足りないものには目を向けていない。
皆が皆、その視野を東シナ海と日本海程度に狭めて「核武装!」と叫んでいる。
だが、核武装はそんな視野狭窄の中で行うことなど不可能だ。
日本はイスラエルの様に自国の生存の為に目の前の敵だけを攻撃すれば良いのか?
確かに、そのような考え方をすれば楽だし、話しとして解りやすい。
が、日本にはそんな一国主義など求められてはいない。
東南アジアや太平洋、インド洋まで影響力を行使することが求められている。
こんなことはあまりにも簡単な事。
東シナ海だけ見つめる視野狭窄な核武装支持者には理解できないかもしれないが、対中国を考えるなら、太平洋からインド洋まで、この広範囲な地域を日本側が優位な立場で影響力を行使することが出来なければ、中国に席巻される。
いや、安易に核武装に飛びついて視野狭窄に陥り、コミット能力を持てなくなるくらいなら、核武装よりも、現在の「国際貢献」とか言う意味不明な政策をちゃんとしたコミット能力へ昇格させた方が、実質的な外交力、抑止力は格段に上がる。
コミット能力が無い、或は「国際貢献」程度の能力では、核武装など「豚に真珠」にしかならない。