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白狼  作者: kazuyaX
4/21

第4話 部屋にて

「じゃあ恵もここが浜田家の屋敷だって知ってたの?」

僕がベッドに腰をかけながら言った。

「うん」

恵は、部屋にひとつしかないイスに座り、こっちを向いている。

窓からは、日差しがやさしく部屋を照らしている。

僕たちは、お昼を食べた後、みんなと別れ僕の部屋でしゃべっていた。

「でも私は、謎にはあまり興味ないの」

「え・・・そうなんだ。んじゃあなんで僕をここに連れてきたの?」

僕は、食事のときからずっと思っていた疑問を言った。

彼女は、少しとまどった表情をみせ、そのあと、笑顔になりこう言った。

「ちょっと気分転換にいいかなって思って・・・。しかもいつもコータから遊びに誘ってくれるじゃない。だからたまには、私の方から誘ってもいいかなって思って・・・。でも私、仕事柄世間の事に疎くて、気分転換になる場所とかあまり知らなかったの。でここを選んだってわけ」

と笑顔で恵は言った。


ふーむ

本当にそうなのか・・・。

なんか腑に落ちない。


まず、どれだけ場所を知らないと言っても

わざわざ、こんなところに連れてくるだろうか。

それから結局、僕たちは、午後5時から外に出て何もできないというのに

そんな状態で、気分転換などできるというのだろうか。


また、時期も時期だ。

なぜ、今なんだろう。

僕たちの他に、12人もいる時を選んで。

仮に今回がたまたま12人も宿泊する予定だったとしても、今が、一般開放できる1か月だったとしても、なぜこの時期にこんな変わったところに来たのか・・・。

それはやはり、気分転換という理由だけでは、なんとなく片付かないような気がする。

僕の直感が、ガンガン伝えてくる。


何かある。と・・・


「僕を、ここに連れてきた理由は、本当にそれだけなのかい?」

僕は、恵の目をじっと見ながら言った。

「うん、そうよ」

彼女も僕をしっかり見つめ言った。

僕は、それ以上彼女を問い詰めることをしなかった。

特に、今は何が起こっているわけでもないし、そうする理由も見当たらない。

しかも本当に、恵は気分転換に来ているだけかも知れない。


「信じてくれないの?」

恵は少しさみしそうな顔をした。

日が、恵の顔をやさしく包んでいる。


きれいだ・・・。


僕は、その光景に一瞬、我を忘れそうになりながら言った。

「いや、そういうわけじゃ・・・」

「んじゃあ信じて」

恵は急に笑顔になり言った。


「うん」


僕は言った。

今考えると、そんなに不信感を持たなくてもいいような気がする。

恵は、本当に好意で誘ってくれているのかもしれないし

もし、何かあったとしても、それが僕の命に関わるような大きな事に繋がる事はないだろう。

そんなことが起こるのは、映画の世界の話だけだと思う。

ここは現実世界だ。

そんなことは、起こるはずがない。

少なくとも、日本の平凡な僕の周りでは・・・。


話に間が空いた。

ふと彼女を見る。

すごく、形のいい唇に、整った輪郭。

きりっとした目が、一見きつそうに見えるけど

実は、話すとかなり気さくである。


僕は、そういう恵の魅力に加え

時々ふと悲しそうな顔をする所にもすごく魅力を感じている。

僕は恵が大好きだ。


「ねえ・・・。コータは私のことどう思ってる?」


急に、恵がそう言ったので

僕は一瞬彼女が言った言葉を理解できなかった。

「どうって??」


僕は、少しだけ何故か鼓動が早くなるのを感じた。


「うーん。だからーー。なんていうかー。」

彼女が考えている。


「そうねーー。私達知り合って1年ぐらいじゃない」

「うん」

「色々遊んだりもしたけど、私はコータの事を頼りにしてるし、はじめは、そんなにだったけど、どんどんコータの存在が大きくなってきた感じ。」


・・・。


もしかして・・・。

もしかして・・・。

もしかして!


もしかして!!


僕に告白????


顔が熱くなっているのを感じる。

やばい!

鼓動がすげーーはやい!!


ついにくるのか!!


しかも彼女から!!!


そして恵が静かに口を開く・・・。


カモーーン!!!


「友達としてね」


・・・。


・・・。


・・・。


・・・。


ふーー・・・。

・・・。

・・・。

・・・。

一度、死ぬかい???

恵ちゃん。


「何顔赤くしてんの?」


あんたのせいだろ!

ふつーあんな事言われたらドキドキするだろ!!

「で、コータはどうおもってんの?私のこと」

くーー!人の気もしらないで!!


!!!


そうだ!!

ここで、告白しよう!!


今ならベストタイミングじゃないか!

誰もいないし、私のことをどう思ってんのと聞かれている。


さあ・・・。


言うぞ!!!!


ついに・・・。


言うぞ!!!


「ぼ・・僕は恵の事・・・」


「恵居るーー???」


えーーーーー!!!!!

ベストタイミングで幸子さん登場かよ!!

しかもノックなしだぜ。


ここには、プライバシーもないって事ですか!!

ねえ幸子さん!!

ちょっとぐらい僕に告白の時間をくれてもいいんじゃないんですか!!!


「やっぱりここにいたんだ」

幸子さんが、言った。

「うん。どうしたのおばさん」

「ちょっと手伝ってほしいことがあったの。よかったら今来てくれない」


今???


今はいいとこだったん・・・。

「いいよ」


えーーー!!

恵!!

今いいとこだったじゃないか!!

「ごめんなさいねーー。たのしくお話をしているところに水を差しちゃって」

幸子さんが申し訳なさそうに僕に言った。


僕は、出来るだけ笑顔で言った。

「べ・・・別にいいですよ」

「そう。ありがと!」

そう幸子さんが言うと、恵の方を向いた。

「じゃあちょっと来てくれる?」

「うんわかった!!」

そして手を上げ、恵は僕の方を向いた。

「んじゃ、また後でねん。ばいばい」

そういって手を振った後、部屋を出て行った。


僕は、あっけに取られていた。

なんだそりゃ!!!

なんなんだよ!!この寸劇は!!!

僕のドキドキを返してくれーーー!!!


僕は、少しの間、ぼーっとさっき恵と幸子さんが出て行ったドアを見つめていた。

そして、ふーっと一息つき、ベッドに寝転んだ。


天井が見える。少し、くすんでいる。

やはりかなり年季が入っているのだろう。

ところどころ、真っ黒になっている箇所がある。


浜田財閥か・・・。


僕は漠然と思った。

確かに謎だらけだ。


まず・・・。

第1に、何故彼はこんな場所に屋敷を建てたのか?

第2に、何故午後5時になると橋を通れなくしていたのか?

そして、第3に地下室で行われていた、人体実験とは一体どういうものなのか。

第4に、彼は特に、外国と交友があったわけでもないのに、外国人を招待してのパーティーを行っていた。

第5に奥さんの変死・・・。

第6に全てをそのままにしてこつ然と消えた理由・・・朝食もそのままだったらしい。


数え出すときりがない。


ふー・・・


僕は一息ついた。

別にどうでもいい事だけど・・・。


そうして、静かに目をつぶった。


・・・。


・・・・。


・・・・・・。


・・・ごごご・・・。


ごごごごご・・・・。


遠くから音がする。僕は、静かに目を開けた。

なんかだるい・・・。


そして目をこする。


うーん、寝てたらしい。


遠くから地響きみたいな音がする。

窓を見ると少し日が傾いている。


そして・・・


ズウーン。

一度、大きな音がしたかと思うと

音が完全に止まってしまった。


そして、なんとなく腕時計を見る。

そこで、僕は、気付いた・・・。


橋か・・・。


そう、橋が上ってしまったのだ。

今は、午後5時4分・・・。

これで、僕達は、明日の朝9時までは、ここから出れない。


もう皆きたのかな?

お昼の時には、宿泊する予定の4人がまだ来てなかったようだが

もう来たのかな。

窓から外を見てみる。

僕達の車以外に6台止まっている。

仮に、白井さんの車を含めグループ1台と考えると、1台多い計算となる。

しかもさっきまでは止まっていなかった大きなワゴンが止まっている。


来てるみたいだな。

僕は、そっと窓から離れた。

そして、さっきまで恵が腰掛けていた椅子に座る。

なーんかひまだなー。


机に片肘を付き、なんとなくここに来た時の事を考えてみた。

そして・・・。


ナイトの事を思い出した。

あの時、入り口付近にあるナイトの鎧の目元あたりが、確かに光った。

それは、間違いない。


それも、浜田財閥と関係があるのかな?

ふと、腕時計を見る。

夕飯は6時30分からだ。

まだ時間はある。


ちょっと見に行ってみるか。

そんなに、浜田財閥に興味があるわけではないが、なんとなく気になる。


そうして、僕は、部屋を出た。

階段を降り、玄関口に向かう。


途中は、不思議と誰とも会わなかった。

そして・・・。

ナイトの前に来た。

さあ・・・ナイトの目元の光の謎を解かせてもらおうか・・・。


僕は、そっとナイトのかぶとに手を掛けた・・・。



カズヤックスです。今回から少しづつ謎が明かされまた新たな謎が発生したりします。乞うご期待ください。、また感想などありましたら、どんなものでもいいので頂ければ幸いでございます。

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