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白狼  作者: kazuyaX
2/21

第2話 山荘についた

「さあ次の曲を行ってみましょう」

車のラジオから、アップテンポなMCの声が響き渡る。

横では、恵が、すやすやと寝息を立てている。

この車は、彼女の物だが、いつも彼女と乗るときは、僕が運転をする。

やはり、女の子に運転をさせるというのは、どうも僕の性に合わない・・・。


ふと、彼女の顔を見る。

ちょーーかわいい!


僕は、彼女とあって、一年ぐらいになるが、こうやって彼女が寝ていても二人だけの時間を過ごすのは、すごく楽しい。

事故を起こし、一時的記憶障害という後遺症が残る結果となってしまったものの、彼女と会う事ができたのは、事故のおかげというのは事実である。


事故以前にも、僕には恋人はいなかった様だし、家族が見舞いに来てくれた時も、彼女の評判はすごく良かった。

つくづく、恵が本当に彼女になってくれたらなあと思う。


恵は僕の事をどう思ってるんだろう・・・。


今回の旅行で、実は僕は、密かに彼女に告白を考えている。

今までは、中途半端な告白めいた事ばかりをしていたけど

今回は違う。


しっかり、目を見ながら告白をしようと思っている。


告白の言葉はこうだ。


「恵、僕は君を、海よりも深い愛で、包み込みたいんだ。だから僕と付き合ってくれ」


・・・くさい・・・。


我ながら、こんなセリフしか出てこないのが寂しい・・・。

じゃ、こういうのはどうだ。


「恵、君のためなら死ねる。だから付き合って欲しい」


・・・。

・・・。

ダメ!

僕が、こう言うと多分恵は、じゃあ死んでみてと言うだろう。

なんて僕は、センスが無いんだ。

んじゃこれはどうだ。


「君の瞳は、100万ボルト」


・・・。

・・・。

・・・。

ふー・・・もはや告白じゃない・・・。


そんな事をずっと考えている内に、ナビが目的地周辺の案内をした。

僕は、恵をやさしく起こし、目的地周辺に来た事を告げた。

「うーん。まだ眠いよ」

そういいながら、恵は目をこする。


ああああ、かわいいーー。

普段は強気の彼女も、眠たくて目をこする時は、子猫ちゃんみたいになるんだね・・・


「なによ、その顔、気持ち悪いわよ」


は・・・つ・つい見とれて、にやけてしまった。

「な・なんだよ!もうすぐつくよ。」

僕は、急いで顔を切り替え言った。


そして・・・

ついに、山荘に着いた。


僕たちは、車を降り、荷物をおろし、改めて山荘を見上げた。

でかい・・・。

僕は普通の別荘みたいな物を想像していたのだが

ここは、別荘というよりは、お城に近い。

多分中も相当ひろいだろう。


外側は白く、真正面にある扉はとても大きい。

まるで、中世の映画に出てくるお城のような山荘である。

「はい」

「おばさん!恵よ。ちょっと早いけど、もう着いちゃった」

恵は、いつの間にか、扉の横にあるインターフォンを押し

中の人と会話をしていた。

「ああ!恵ちゃん、早いわねーー!ちょっと扉を開けるからちょっと待っててね。」

そういうと、インターフォンからピッと電子音が聞こえた。

しばらくして大きな扉が、大きな音を出しながら外側に開いた。

中には、すごくやさしそうな、初老の男女が立っていた。

恵が、その人を見るなり言った。

「おじさん!おばさん!!久しぶり」

「おお、恵、ひさしぶりだなあ」

男が言った。

そして視線を僕の方に向ける。

「この方が恵の言っていた、友達の本庄くんかい?」

「うんそうよ」

「はじめまして、恵のおじの白井宗司です。」

そういうと、白井さんは僕に丁寧にお辞儀をした。

僕もあわててドーモと頭を下げる。

「おばの幸子です。」

次に女の人が、僕に挨拶をしてくれた。

続けて、僕はドーモと頭を下げた。

二人は、笑顔がとても素敵な印象を受ける。

やさしいんだろーなー。

「さあさあ、入った。入った」

白井さんが、中に入るように促した。

中は思ったとおり、すごく広く扉自体は建物の真ん中にあるのだが

はしからはしまでは、3、40メートルくらいはあるだろうか。

とにかく広い。

天井からは、豪勢なシャンデリアがある。

「大きいでしょう。」

恵が言った。

僕は、ただただうなずいた。

「ここは、昔、浜田財閥のお屋敷だったの。」

おばの幸子さんが言った。


浜田財閥・・・


その名前は、よく知っている。

確か、江戸時代末期から

昭和にかけて、栄えた財閥の名である。

教科書では、あまり記載はされてはいないが

歴史マニアの中では、相当有名である。


というのも、浜田財閥自体、外国との繋がりが強く

夜な夜な外国人を呼んでは、盛大なパーティーをしていたらしい。

そのパーティーも普通のものもあれば、かなりアブナイものもあったと僕は聞いている。

また、浜田財閥は、屋敷に地下室を持っており、その地下室で

様々な人体実験を行っていたとの噂もある。

そして、第2次世界大戦後、全ての財をそのままにしたまま

こつ然と姿を消してしまったというのだ。

そういった謎が多い事で、浜田財閥は

歴史マニアの中では、知られている。


どちらにしても気味の悪い話である。

「浜田財閥って知ってる?」

幸子さんが僕に聞いた。

「はい、一応うわさは、よく聞いてます」

僕は、周りを見渡しながら言った。

「そう・・・。噂は大方ホントらしいの。今は、地下室は埋め立てられてもう無いんだけど

こつ然と姿を消したっていうのは本当らしいの。で、私たちは、まあ国との縁があって、この屋敷の管理を任されてるんだけど、毎年、この時期になると、一ヶ月だけ一般開放するの。それで、大学のミス研とか、歴史好きな人たちが、ここへ、泊まりに来るの。浜田財閥の謎を解きにね。今年も、12名の方が今日泊まりに来る予定よ。」

そこで、幸子さんは、話をやめ歩き始めた。

「恵たちの部屋はこっちよ」

幸子さんが歩きながら言った。

僕と恵は、急いで、幸子さんの後に続いた。


その時・・・。


・・・。


今確実に、扉の横に立っている西洋の騎士の鎧の目元辺りが光った。


うん・・・?。


僕は、幸子さんの後ろを歩きながら、その騎士の鎧を見ていた

が結局、僕達が、一番壁側にある階段を上るまで、特に変わりはなかった。


その後、僕達は部屋まで案内され、幸子さんはお昼ご飯は12時だからと告げ

そのまま、部屋を出て行った。

部屋は、恵と別々である・・・。

まあ当然といえば当然だけど・・・。

一緒だったら・・・ムフッ

そんな事を考えていると、恵が部屋をノックした。

「ちょっと散歩しに行かない?」

「うん」


そして、僕達は山荘の近くを散歩した。

今日は、天気も良く散歩してると

とても気持ちいい。

近くに小川があった。そこで僕達は少し立ち止まり

川を、なんとなく眺めていた。


今だ・・・。

今が告白のチャンスだ・・・。

言うぞ・・・言うぞ。


言うぞ!!


「恵・・・実は、俺、お前の事が好きなんだ・・・だから、もしよかったら付き合って欲しいんだけど・・・」

恵は、僕を見ながら、一瞬度肝を抜かれた顔をしたがすぐに顔を伏せた。


そして・・・


「いいよ」


何・・・。


僕の鼓動が一瞬にして、ボルテージを上げる。

張り裂けそうだ・・・。


恵が目をつむる。

え・・・何・・・キ・キス?

そして僕も、目をつむ・・・。


「あんた、一人でなにしてんのよ」

え・・・。

げ・・・また妄想しちまった。

「急に遠くを見つめ出して、目をつむるんだから」

言わないで!!

言わないで!!

すげーー恥ずかしい!!

僕は、顔がすごく熱くなるのを感じた。

その時、

「おお、恵!!」

という声が遠くから聞こえた。

「信二兄ちゃん!!」

恵が男の姿を捉えると言った。


男は、川沿いにこっちへ向かって歩きながら手を振っている。


恵は、信二兄ちゃんと呼ばれた男の方に向かっていった。

僕も、後を追う。

男の人は、見るからにスポーツマンといった画体をしており

顔もかなりの男前である。

また髪の毛も短く刈り込んでおり

一目見ただけで、好印象を与えるだろう。

実際、僕も、この人を見たとき、負けたと思ってしまった。

「恵、この人は?」

「この人は、私の友達の本庄コータよ」

「はじめまして。僕は恵のいとこの白井信二です」

と言いながら、軽く、会釈をした。

僕もあわてて、挨拶をする。


その後、3人で話し込んだ。

信二さんはすごく、話も面白いし、顔もいいし、さぞもてるんだろーなーと思いながら

僕は、話をしていた。


そうこうしている内に、昼飯の12時になり、僕達は山荘へと足を向けた。




























これから物語は、様々な展開を見せていきますが、もし、よろしければ感想などを頂ければ幸いです。

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