第10話 夜、部屋にて・・・。
誰かが・・・。
誰かが・・・。
僕の部屋に入った!!!
僕は、とっさに耳を壁につける。
すーはー。
すーはー。
自分の呼吸がわかるくらい動揺しているのがわかる。
ぎ・・・。
ぎ・・・。
ぎ・・・。
部屋を移動している。
とその次の瞬間、
ドス、ドスという音が聞こえた。
何をしているんだ。
そのあとまた部屋を歩く音が聞こえた。
ガサガサ・・・。
なにやら布をこすり合わせたような音が聞こえる。
そのあと、おもむろにゴトッという音が聞こえた。
・・・。
・・・。
僕の荷物を探っている!!!
いったい何者なんだ???
そのあと、鈍い何かが壁にぶつかった音が聞こえた。
そしてまた何者かはゆっくりと部屋を歩きだした。
その音は一通り歩いた後、部屋から出ようとしたのか
ドアを開けた。
僕はあわてて、ドアの方へ移動した、そして、また音が聞こえる。
音は向こうへ行った・・・。
・・・。
・・・。
・・・。
いや・・・。
ギ・・・。
違う・・・。
ギ・・・。
音は・・・。
ギ・・・。
ギ・・・。
ギ・・・。
こっちへ来ている!!!
僕は、あわてて部屋を見渡した。
窓がある・・・。
窓から逃げよう。
そう思った僕は、急いで窓に近づいた。
そして下を見る・・・。
だめだ!!
下にはちょうど農業機械がおいてあり、
それが着地地点をふさいでいるのだ。
もしこのまま飛び下りれば、大けがをしてしまう。
その時だった。
ガチャ、ガチャ・・・。
ドアノブをひねる音が聞こえる。
んーーー!!!
危うく声が出そうになったのを
自分の手で必死に抑える。
僕は、死ぬのを本能的に覚悟した。
ガチャ・・・。
ガチャ・・・。
ガチャ・・・。
三回ぐらいドアノブをひねった後、音が止まった。
そして、
ドン。ドン。ドン。
と強くドアをたたく音が聞こえた。
僕は、この奇妙な状況を飲み込めないながらも
今、命の危険にさらされていることは本能的に感じた。
ガン!!ガン!!
続いて、二度明らかにドアを壊そうとするような金属をドアにぶつける音がした。
・・・。
その時だった・・・。
ピシュ!!
ピシュ!!!
と空気が抜ける短い音がドアの外でした。
連続してドン!!とドアに重いものがぶつかった音がする。
そして、何やら外で暴れるような音がした後、
その後、なぜか足音がどたどたと遠ざかった。
なんだ・・・
僕は思う。
すると、ガチャガチャとドアノブを誰かが回そうとする音が聞こえた。
なんだよー!!!
まだ終わってねーのかよ!!!
そして
カチリ
とドアの鍵が外される音がした。
こいつは鍵を持っている!!!
そう思った僕は、死を覚悟した。
「コータ大丈夫???」
そこに立っていたのは何と、恵だった。
僕は、まったく状況が飲み込めず、ぼーっと恵の顔を見た。
「なによ!!その死んだ人を見るような顔は!!!」
そう言って恵は、ドアから顔を出し、外の様子をうかがった。
そして、こちらを向き直り静かに言った。
「こうなってしまった以上、コータには全部話をしないといけないわね・・・」
と。
その後僕の腕を持ち、
「ちょっと来てちょーだい」
と言った。
僕は、キツネにだまされたような顔つきのまま、恵に腕を引っ張られるままついていった・・・。