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時は流れゆく

     *     *     *

  *     *     * 



『どうして』


『どうしてなのですか?』


 そう言いながら詰め寄ってくる、名前も知らない奴隷たちの顔は、どれも悲しげに歪んでいた。


『どうして、俺たちを騙したんです』


『あなたを信じていたのに……』


「違う!」


 四方八方から押し寄せてくる彼らを押しとどめるように、両のてのひらを掲げて、声をはりあげる。


「俺は、君たちを騙してなんかいないよ!」


『嘘だ、嘘だ……』


『あなたは、俺たちを、戦場で死なせようとしたじゃないか』


「違う! 俺は、そんなこと考えてもいなかった。あれは、エウバタスが思い込んで、そう言っただけだ!」


『嘘だ……』


『あなたは、嘘をついて、俺たちを戦場に送ったんだ』


「違う!」


 必死にかぶりを振ってもがくが、ぐいぐいと押し寄せてくる男たちの体に、今にも押し潰されてしまいそうだ。


「俺は、嘘なんかついていない! 君たちを騙そうと思ったことなんか、一度もない!」


『死は美しいと、あなたは言ったじゃないか』


 男たちの目が、ぐるりと動いて、いっせいにカルキノスを見た。


『ここは暗い』

『なんにもない。冷たい、冷たい……』

『死ねば永久に忘れられることのない名誉が残ると言ったじゃないか』

『暗いよ……なんにもない』

『俺たちの歌はどこだ……』

『死にたくなかった』

『死は美しいと、言ったじゃないか』

『なんにもない……』

『もう、グナタイナに会えない』


 おおいかぶさってくる男たちの重みから逃れようと必死にもがいていたカルキノスは、その声を聞いて、はっと目を見開いた。


「アイトーン!?」


 首をねじむけると、ほとんど鼻がぶつかりそうな距離に、アイトーンの灰色の顔があった。


『あなたが、俺たちを戦場に送った』


「違うよ! 俺は……君たちが、志願したんだ! 俺のせいじゃない!」


『もう、グナタイナに会えない』


 アイトーンの口がぽっかりと開いて、その奥にある暗闇が見えた。


『あなたのせいだ』


「違う! 俺のせいじゃない! 俺は――」


 君たちに、生きてほしかった。

 その言葉は、喉に詰まって、どうしても出なかった。

 周囲を埋め尽くしていた男たちの姿が急に消えて、無数の亡骸が転がる戦場の光景になった。

 目の前にただひとり立ったアイトーンの手に、投槍が握られている。


(これは、夢だ)


 灰色にぼやけたようなアイトーンの姿と比べて、おそろしく輪郭のはっきりとした投槍。

 不自然だ、何もかもが不自然だ。


(これは夢だ、はやく目覚めろ)


 アイトーンが投槍を振りかぶる。

 盾を持ち上げて受け止めようとするが、盾はない。

 それどころか、体のどこも動かない。


(これは夢だ! だから、あの槍が胸に突き刺さっても、俺は、死なない!)


 本当にそうだろうか。

 夢にしては、ひどく本物めいて見える投槍の穂先の、あの、硬質な輝きは――


『だから、あなたも死んでください』


 アイトーンの手から飛んだ投槍が、まるで運命のように正確に心臓を、貫いて――


     *     *     *


 カルキノスは静かに目を開いた。

 目の前に、突き抜けるように青い空が広がっている。

 音を立てて、息を吸い込んだ。

 それまでは呼吸を止めてしまっていたのだ。

 こわばった喉と胸とをほぐすようにさすりながら、深い呼吸を繰り返す。

 ぴりりとした刺激のある香草のかおりが鼻をくすぐった。


 スパルタの町を一望する丘の上。

 ナルテークスが歌うのを初めて聴いた、あの日と同じ茂みの陰に、カルキノスは横たわり、眠っていたのだった。

 寝転がったまま、額にべったりとはりついた髪をかきのけ、衣のすそで顔を拭く。

 直前までみていた悪夢の記憶はまざまざと残っていたが、衝撃はなかった。

 同じ夢を、数え切れないほど繰り返し見てきた今となっては、起き抜けにひどく気が滅入っていることにさえ、すっかり慣れてしまった。

 寝汗を拭い去るとともに、そんな気分の半分は拭き消してしまえる程度に。


 残る半分の重さを抱いて、カルキノスがじっと動かずに横たわっていると、かすかな物音が近づいてきた。

 慣れない者ならば、聞き落としたかもしれない。

 乾ききった小石が動いて、ぶつかる音。

 固い野草の茎がはらわれ、あるいは、踏み折られる音。

 カルキノスはむっくりと起き上がると、大きく体をひねって茂みの陰から顔を出し、


「ここだ」


 と、小さく手を振った。

 やってきたのが誰であるか、見る前から、彼にはもう分かっていたからだ。


「おお、おいでになった」


「やはり、こちらにいらっしゃいましたか!」


 嬉しそうにそう言ったのは、二人のスパルタ人の若者たちだった。

 二人とも、ようやく戦列に加わるようになったばかりの年齢だ。


「声をおかけしなかったのに、なぜ、俺たちが来たと?」


「うん。君たち、わざと足音を消していなかったからね」


 カルキノスがそう言うと、若者たちは嬉しそうに顔を見合わせた。

 彼らは、音もなく忍び寄って敵を殺すための訓練を受けている。

 足音を消し、気配を殺して近づくということは、闇討ちの意思があるととられてもしかたのないことなのだ。

 だから、彼らはわざと物音をたてながら登ってきた。

 カルキノスがここにいるかもしれないと考えて、彼への礼節を欠かぬためにそうしたのだ。


「カルキノス様」


 若者たちは、威儀を正して言った。


「アナクサンドロス王がお呼びです」


「うん」


 カルキノスは別段慌てもせず、かたわらに横たえていた杖をつかみ、立ち上がった。

 この杖と、特徴的な歩きぶりがなければ、アテナイにいた頃の知り合いは、今の彼の姿を見てもカルキノスだとは分からないかもしれない。

 知り合いどころか、肉親でさえ見違えるかもしれなかった。

 生白かった肌は、陽光にさらされて浅黒くなり、体格は、増してこそいないものの、より引き締まって俊敏な印象を加えている。

 そして、もっとも変化が著しいのは相貌であった。

 つるりとしていた顎には、貧弱ながらもスパルタ風のひげを生やし、こちらの男たちの習慣にならって髪も伸ばしている。

 ようやく肩に届くかどうかの長さだ。


 あの、大掘割の戦いの日から、一年近くの歳月が経とうとしていた。


 カルキノスは、杖を使いながら、黙々と歩いていった。

 同行する若者たちは、もちろん、話しかけて詩人の黙想を破るような真似はしない。

 詩人の心の中は、詩人でない者には、はかりしることなどできぬものだ。

 今この瞬間にも、彼は詩歌女神からの新たな啓示を受け取っており、その胸の内に、何行もの研ぎ澄まされた詩句が書き記されつつあるのかもしれないではないか――

 だが、カルキノスは、詩のことを考えているのではなかった。


(彼は、来なかった)


 半分は失望、半分は、やはり今日もそうだったかという諦めにも似た気持ちで、そう考えていた。

 ナルテークスのことだ。

 大掘割の戦いから凱旋した一同を迎えたスパルタの人々の歓待は、大変なものだった。

 特にカルキノスとナルテークスの二人は、その功績を讃えられ、祭儀につぐ祭儀、祝宴につぐ祝宴の主役として、目も回るほど忙しい日々を送ることとなった。

 これは、個人の事情で飲み食いをして騒ぐこととは、わけが違う。

 神の助けによって辛くも得られた勝利である。

 人間たちが最大限に喜び、それをしかるべき方法であらわさなければ、このたびは神助を垂れたもうた神も、次にはそっぽを向いてしまわれるかもしれぬではないか――


 そんな忙しさに取り紛れ、カルキノスは、ナルテークスと二人きりになる機会を持てずにいた。

 誰にも見られることのない場所で、彼と差し向かいになって、声と文字とで語り合い、このたびのことを振り返ってみたかったが、好機はまったくなかった。

 もはや、二人ともが、道を歩けば誰からも注目され、道の反対側からでもわざわざ近づいてきて挨拶をされるほどの著名人である。

 特にナルテークスは、歌をうたうときのほかは相変わらず石で刻んだように黙りこくっていたから、かえってますます神秘な雰囲気を増し、人々は彼の姿を見るたびに輝けるフォイボス・アポロン神アポローンの御力を讃えて囁きあった。


 二人だけで話をしたいからと、直接、ナルテークスを呼び出すことも考えた。

 だが、兵舎で暮らすナルテークスが一人きりになる時間など、ほとんどない。

 人目のあるところで呼び出せば、人々の好奇心をかき立てることになる。

 ナルテークスが文字を綴ることができるという秘密、ひいては、彼が歌った「奇跡」が本当は奇跡でも何でもなかったということを、今、スパルタの男たちに知られるわけにはいかないのだ。


 だから、カルキノスは、ひとりで何度もあの丘に登った。

 あの場所にいれば、そのうち、彼がやってくるに違いないと思ったからだ。

 大掘割の戦いのあと、初めて丘に登ったとき、ナルテークスが文字を刻んだ岩の表面がめちゃめちゃに叩き潰されて、一文字のかけらさえ残らなくなっているのを見た。


(彼も、来たんだ)


 そう直感した。

 ナルテークスは、ここに来て、秘密を守るために、二人のあいだにやりとりがあったという証拠を完全に消したのだ。

 ならば、この丘の上で待っていれば、いつか必ず彼と会える――

 だが、それから何度、丘に登っても、ナルテークスは来なかった。

 たびたび登るうちに、いくら人目を避けたつもりでいても、どこからか姿を見られていたらしい。


『カルキノス様!』


 ナルテークスを待ちながら青い空に見入っていたとき、急に背後から声をかけられて、心臓が止まるかと思った。


『ここは、たいそう見晴らしがよいのですね』


 こともなげに斜面を登ってきたスパルタの若者たちは、邪気のない朗らかさで言った。


『ずいぶんと探しました。運よく、ここに登ってゆかれるのを見たという者がいたので』


『長老会のメギロス様が、あなたをお探しです。話がしたいと……』


 自分の不注意によって、この場所の秘密がもはや永遠に失われてしまったことをカルキノスは悟った。

 ナルテークスと、ゼノンとの思い出の地。

 ナルテークスが一人きりで歌い、唯一、己を解放することができた場所。

 同じ名を持つ男ふたりが出会い、詩歌を通じて、その運命を分かちがたく結びあわされた場所――


「うん」


 平静を装って、そう答えながら、カルキノスは頭の中が真っ暗になっていくような気がした。

 このことを知ったら、ナルテークスは、どう思うだろう。

 彼は、何と言って怒るだろうか――

 だが、それから幾度か、人前で顔を合わせる機会があっても、ナルテークスは何も言わず、何か言おうとするようなそぶりすらも見せなかった。

 あの場所の秘密が失われてしまったことに、彼が気付いているのか、いないのかすら、カルキノスには分からなかった。


 しばらくすると、カルキノスは、再びあの丘に登るようになった。

 ばれてしまったものは、しかたがない。

 いくら悔んだところで、もはや取り返しがつかないのだ。

 ここで、ナルテークスに会って、直接謝りたかった。

 だが、それからも、ナルテークスは一度も来なかった。


     *     *     *


 カルキノスと二人の若者たちは、丘をくだってからも黙々と歩き続けていた。

 ごくゆるやかに曲がりながら伸びる一本道の左側には、大人の身長ほどの高さの崖がずっと続き、その上は林になっている。

 右側には、一面の畑が広がっている。

 歩きながら、カルキノスは、かつて、この道で起きた出来事を思い出した。

 そうだ……まさに今、歩いている、この場所だ。

 すぐ左手の崖の上から、赤い衣のスパルタの若者たちが飛びおりてきて、自分を取り囲んだのだ。

 あの頃とは、何もかもが変わった。

 カルキノスは、自分のゆく道の前方で右手の畑の中へ折れ込み、細く続いてゆく畦道をちらりと見やった。

 あの道をずっと歩いていけば、ナルテークスの家の近くに出るのだ。


 大掘割の戦いを終えてから、ずっと、あの家に帰っていない。

 カルキノスは、もう、ひとの家に居候する必要のない立場になったのだ。

 戦勝の随一の功労者たるカルキノスのために、アナクサンドロス王は立派な――もちろん質実剛健を重んじるスパルタなりの基準でだが――家を建てさせた。

 カルキノスは、今、その家にひとりで住んでいる。

 家だけではない。

 家付きの奴隷と、土地と、その土地を耕作する奴隷とが与えられ、何不自由のない暮らしができるようになった。


 だが、居候の必要がなくなったからといって、ナルテークスの家に近づいてはいけないなどという話はない。

 むしろ、すぐにでも心尽くしの贈り物をたずさえて行って、これまでさんざん世話になったことへの礼を言うべきであった。

 だが、カルキノスは、そうしなかった。

 怖かったのだ。

 あの家の扉をくぐって、グナタイナと、アクシネの顔を見ることが、怖かった。


 最初は、アイトーンが死んだことを、彼女たちには隠しておこうとさえ考えた。

 戦場で命を落としたスパルタ市民たちの亡骸は、仲間たちの行列に守られて、それぞれの家まで送り届けられる。

 奴隷たちには、そういうことはない。

 だから……アイトーンは、戦場で「行方不明」になったということにしてはどうか?

 そうすれば彼女たちは、はなはだ頼りないながらも、あるいは彼はどこかで生きているのかもしれない、と希望を持ち続けることができるではないか。

 弔いのために戦死者たちの亡骸を並べたけれど、その中にはアイトーンの姿はなかった、と伝えてはどうか?


 だが、そんな欺瞞は何の役にも立たない、また、仮に隠そうとしたところで、決して隠しおおせるものではないと、すぐに思い直した。

 スパルタ市民にはスパルタ市民だけの結びつきがあるように、奴隷たちには、奴隷たちのあいだだけの強固な結びつきがある。

 たとえカルキノスが隠しても、いずれは奴隷たちの誰かが、グナタイナにアイトーンの死を知らせるに違いない。

 将来を誓い合った男が死んだと聞いたとき、グナタイナが味わう悲しみと絶望は、どれほどのものになるか。

 そして、アクシネ。

 ゼノンの死を伝えたときの彼女の狂乱の様子が、頭にこびりついている。

 あんなふうにアクシネが嘆き狂う様を、もう一度見たくなかった。


『あんまり、よくないなー』


 真面目な顔でつぶやく彼女の様子が、繰り返し脳裏に浮かんできた。


 おまえが、あんな歌を歌ったせいだ。


 そう言われることが怖かった。

 アクシネはしょっちゅう出歩いているから、はじめのうちは、ひょっとすると今にも道の横から飛び出してきた彼女と出くわすのではないか、あるいは、彼女のほうからこちらの家に押しかけてきて、自分をなじるのではないかと、落ち着かない日々が続いた。

 だが、アクシネは、一度も来なかった。


 彼女と出会ったらどうしようかという不安は、いつしか、そろそろ出会うことがあってもいいはずなのにという気持ちに変わっていったが、それでも、彼女と出くわすことはなかった。

 ほんのときたま、遠くを走っている姿を見かけることはあった。

 アクシネは、あの長い脚で衣のすそを蹴り飛ばすようにしながら、ぼさぼさの黒髪をなびかせ、風のように荒野を駆けていた。

 小さく見えるその姿に、大声で呼びかけたいと思うこともあった。

 息を吸い、口を開けるところまでいったことも何度かあった。

 だが、本当に声を出して呼びかける勇気を持てたことは、一度もなかった。

 アクシネはいつも、遠くから見ているカルキノスに気付いた様子もなく、野生の獣のようにどんどん走って見えなくなった。

 そういうときはいつも、大きな安堵と、言うに言われずさびしいような気持ちがないまぜになって、彼女の姿が消えた後も、長いことその場に立ち尽くすのが常だった。


 もちろん、あれだけ世話になっておきながら、彼女たちに恩を返す手立てを打たなかったというわけではない。

 最近は、家付きの奴隷たちに命じて、小麦や豆や、アクシネの好きな無花果を持っていかせている。

 こちらで紡がせた糸や、布を届けさせることもあった。

 恩を返すという目的もあったが、ひとつには、これを受け取ったアクシネか、あるいはテオンが、何か言ってくるかもしれないという思惑があってのことだった。

 だが、家付きの奴隷たちがことづかってくる、丁寧ながらも通り一遍の感謝の言葉の他には、何の返事も来なかった。

 懐かしい家へと続く細い道の真横に、さしかかる。

 通り過ぎる。


(いつか、訪ねていこう)


 もう何十度、何百度目かになる決意を、カルキノスは心の中で呟いた。

 彼女たちに会って、顔を見て、その言葉を聴いて、話すのだ。

 いつか、その時が来たら。


(ゼノンの、家にも……)


 そうだ。

 グナタイナとアクシネのことのほかにも、ひどく、気にかかっていることがある。

 ゼノンの妻、キュニスカのことだ。

 大掘割の戦いを終えるまで、カルキノスは彼女のことをほとんど忘れかけていたが、アクシネやグナタイナのことを思ううちに、はっと思い出して、それから忘れることができなくなった。


 ステニュクレロスの戦いで夫を亡くしたキュニスカは、実家に戻ったが、両親や親族たちの説得をはねつけて、再婚もせずにいるという。

 彼女は、まだ、自分を恨んでいるだろうか?

 ゼノンは、他でもない、カルキノスを守るために死んだのだ。

 夫が死んだ責任はカルキノスにあると、キュニスカが考えたとしても無理はない。


 だが、カルキノスは、ゼノンの死を無駄にはしなかった。

 将軍として大いに働き、大掘割の戦いで、スパルタに大勝利をもたらした。


『スパルタを、頼む』


 ゼノンの最後の言葉に、カルキノスは確かに応えたのだ。

 キュニスカは、許してくれるだろうか。

 自分は、責任を果たしたのだから。


(本当に? ……いいや、まだだ。まだ、終わっていない……)


 ゼノンとの約束を完全に果たすためには、スパルタをおびやかす災禍の芽をすっかり摘み取り、その根を断ち切ってしまわなくてはならない。

 そのための会合が、これから持たれるのだ。

 黙々と歩くカルキノスの顔は、いつのまにかひどく固く、険しく、余人には近づきがたいほどに厳しいものとなっていた。

 スパルタの若者たちは、詩人であり将軍である男のそんな表情を盗み見ては、憧れと畏怖のまじった視線だけをそっと交わしあった。

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