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90匹目 東エリア第三層

本日2匹目です注意してください

 

「これは……すごいな」


「きゅい……」

「ホー……」

「メェエ」

「~~!~~~!!」

「……にゃあん……」


 キツネちゃんの祠を素通りし、第三層へと足を踏み入れた瞬間またしても文字通り空気が変わった。

 ひんやりしていて清らかな空気。

 空気の清らかさが呼吸しただけで分かる日が来るとは思わなかった。これがマイナスイオンと言うやつなのかね?森林浴なんてする人の考えは分からないと思ってたけど、こんな空気に包まれるのなら意味も無く歩き回りたくなる気持ちも分かるってものだな。


「……にゃぁあん……」


 相変わらず俺をタクシー代わりにしているノゾミが俺の耳元で感嘆の吐息を漏らしている。

 まぁ、その気持ちも良く分かる。俺も似たような状態だしな。

 第三層に生えている木は第二層に生えていた木よりも更に黒味を増した大木ばかりで重々しい見た目をしている。

 だが、大木が放つ暗い雰囲気を一緒に生えているキノコが打ち消している


【アイテム:素材】光キノコ レア度2

 森の奥地にのみ生える淡い光を放つキノコ

 薬や、明り、錬金術の素材として使われる他、光属性を付与する際の触媒にも使われる


 柄の長いマッシュルームの様な白いキノコが木々の根元を中心に森中に生えており、まん丸な笠の部分をぼおっと光らせている。また、光キノコから分離した胞子の様な小指サイズの光る物体がふわふわと宙を漂いながら照らしており、まるで深海を自由に泳ぐクラゲのようにも見える。


「きれい……」

「きゅい……」

「ホー……」

「……にゃぁん……」


 この幻想的な雰囲気に見とれているのが俺を含めた4人。

 後は……


「メェエ!」

「~~~!~~~!!」


 もしゃもしゃとキノコを食べて吐き出している花より団子なアイギスと、空飛ぶ胞子を突っついて遊んでいる花より玩具なティーニャだ。


 ……うん。まぁいいんだけどね。感性は人それぞれだしそれを否定するつもりは無い……って、あー!アイギス!マズイからってキノコを踏み潰すな!!それ貴重な素材だから!!光属性付与とかかなり有用そうだから!!なんなら家のインテリアに飾りたいから!!


 -------------------------------------


 まぁ、アイギスが多少蹴り潰したところで見渡す限りの大木の根元にキノコが生えているので潰し尽くす事など出来るはずもなく、とりあえず100本ほどキノコを採取して、キノコの生えていない空白地帯を森の中に作っていたらアイギスのMPが全回復していたので慌ててキツネちゃんの祠へと戻ってきた。


 HPよーし!MPよーし!服と武器の耐久度よーし!カンテラよーし!お賽銭よーし!


 ちゃりんちゃりん。パンパン


「コーン!」


 さて殺り合おうか!


「きゅい!」

「ホー!」

「メェエ!」

「~~!!」

「……にゃぁん」


 -------------------------------------


 《スキル:鑑定がレベルアップしました》

 《スキル:水魔法がレベルアップしました》

 《スキル:杖がレベルアップしました》

 《スキル:夜目がレベルアップしました》


 あっれ~?誰もレベルアップしなかったんだけど。どうなってんの?

 んー、よく考えたら前回キツネちゃんを倒してからろくに戦闘してないな。

 前回全員レベルが上がったし今回上がらなくてもおかしくはないか。

 でもボスを倒したのに誰もレベルが上がらないのは違和感があるな……


「きゅい~」

「メェエ~」


 ボーパルとアイギスは今回も2人で3匹のキツネちゃんを抑える大活躍だった。

 ボーパルはキツネちゃん2匹を抑えながらも隙あらば本体のキツネちゃんに斬撃を飛ばしてきたし、アイギスも受けるだけじゃなく自分からちょっかいをかけて行く事で注意を自分から離れにくくして挑発を発動させる回数を抑える工夫をしていた。おかげで前回はすっからかんだったアイギスのMPが今回は3割ほど残っている。アイギスがMPを温存すればするほど回転数が上がるからな。アイギスには頑張って欲しい所だが、スキルの発動を渋ったせいで大ダメージを受けたりしたら本末転倒だからな。そこらへんのバランスはなかなかに難しい。


「2人ともお疲れさん。クッキー食べるか?」


「~~!」

「きゅい!」

「メェエ!」


 2人に聞いたのに何でティーニャが最初に返事してるんだよ……

 まぁ、もともと皆で食べようと思って買ったやつだからいいけどさ。


 当然といったら当然なのかも知れないけどボスエリアにはザコが湧かないみたいだから、安心してピクニックが出来る。これが他のボスエリアならボスのリスポーンを警戒しなくちゃならないんだろうけど今のところキツネちゃんはお賽銭を入れた時しか出てきてないしな。多分大丈夫だろう。


 お、満月だ満月。森エリアにしては珍しくここら辺は木が生えていないから綺麗な星空が良く見えるなぁ。ピクニックシート持ってくればよかった。まぁ地べたに直接座ってもお尻に土が付いたりはしないんだが気分的に。


「ホー」


 満月が照らす森の中ミズキの鳴き声が俺の耳に届く。

 いいねぇ。風流だねぇ。こう、真っ赤なお猪口に注いだお酒に映る満月を見つめたい気分。

 お酒は飲めないけども。気分的に。


 コーーン……


「ん?」


「ホー?」


 突然後ろを振り向いた俺にどうしたのかと首を傾げるミズキをなんでもないと言いつつなでなでして誤魔化す。今薄っすらとキツネちゃんの声が聞こえた気がしたんだが……ボーパルが何も反応してないし気のせいだったんだろう。


 そんなことより明日はお月見ようの団子でも持ってこようかな。ちっちゃな臼と杵を作ってもらってボーパルに餅つきしてもらうのもかわいいかもな。

 満月といえばウサギの餅つきは基本だよなー。器用に手でクッキーを食べているボーパルなら杵だって持てるはず!俺はそう信じる!


 ……なんなら俺が自作してもいいな。本格的なものは無理でも形をマネるだけなら俺でも出来るだろうし。


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【アイテム:素材】月光草 レア度3

 森の奥地の月明かりの届く場所にのみ生える花

 月明かりが届いている時のみ花が咲き、月の満ち欠けによって花の形が変わる

 月の魔力を花弁に蓄えており、薬や、錬金術の素材として使われる。


「や、やっとみつけた……」


「……にゃぁん」


 深夜のピクニックから一時間程。そろそろアイギスのMPが全回復してしまうのでそろそろ祠へと戻らなければ、と言うタイミングでやっと月光草を1本見つけることが出来た。


 あれだな。モンスターを避けながら探索をするのって思ったより大変だな。何もしていない筈のノゾミがため息をつくぐらい大変だ。

 何より敵の探知範囲が分からないっていうのが怖い。

 索敵はボーパルと俺の耳任せだったんだが、微かにでも動く音がしたらルートを変更しながらどこにあるのかも分からない月光草を探すのはなかなかに骨がおれた。


 でも月光草の説明を見る限り、月光草はランダムで極稀に生えているわけじゃなく。決まったポイントにだけ生えているという事が分かったのはでかい。

 つまりは後でまたここに来れば次の月光草が生えているかもしれないって事だからな。ここと同じようなポイントをいくつか見つけることが出来れば、その間をグルグル回るだけで月光草が効率良く集まるわけだ。


「うし。採取完了。それじゃぁダッシュで祠に戻るぞ!!」


「きゅい!」

「ホー!」

「メェエ!」

「~~!」

「……にゃぁ」


 俺の号令に従い全員がダッシュで第二層へと走る。

 そんな事をすれば当然付近にいたモンスターにも見つかるわけだが、モンスターが他の層へと移動できないのは確認済み。たとえ襲われても第二層へと逃げ込めば俺達の勝ちだ。そして今いるのはもともと祠へと帰ろうとしていたときの帰り道の途中。祠までは走れば5分もかからないだろう。


 さて、それじゃあお顔を拝ませてもらいましょうかね

もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


ユウは一時間に及ぶ隠密行動でストレスが溜まっていた上に目標を発見したせいでおかしなテンションになってます。

何時間もかけて積み上げたトランプタワーを絶対に崩したく無いと思いつつも、ひと思いに全部壊してしまいたいという欲求も同時に湧き出てきているようなそんな感じです。

ユウはその欲求に負けて愚かな行動に出た訳ですね。

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