85匹目 VS妖狐③
おかしいなぁと思ったらまさかの投稿ミスってました。すみません。
わりとあるから困る。
「「「コン!!」」」
ボーパルにしっぽを1本切り落とされたキツネちゃんが3匹に分裂する。
3匹とも分裂前と同じ3本しっぽだからダメージは引き継いでいるんだろうけどさっきまで1対6だったのが急に3対6になるのはキツイなんてもんじゃない。なにせうちのパーティで前衛が出来るのは2人だけだからな。
ザコ相手なら俺が前にでてもいいんだが流石にキツネちゃん相手に俺が前に出てもあっさりやられるのがオチだ。
さて、どうするか……。
「アイギスは死ぬ気で1匹を押さえろ!ボーパルは無理に攻撃しなくてもいいからなるべくダメージを食らわないように残った2匹の注意を引き付けてくれ!ノゾミは狙われないように神社にでも隠れててくれ。んで、ミズキとティーニャは俺と一緒に魔法でボーパルの相手しているキツネちゃんを倒すぞ!一匹倒してしまえばこっちのもんだ!気張っていくぞ!!」
「きゅい!」
「ホー!」
「メェエ!」
「~~?」
「……にゃ」
俺の指示に従いボーパルとアイギスが前に飛び出しノゾミが下がる。さらに俺とミズキと……何故かちょっと迷っていたようだったティーニャが魔法の詠唱に入る。
……キツネちゃんには魔法が効きにくい。この選択が最善かは今の俺には分からないが。少なくとも最悪では無いと信じて戦うしかないか。
「ホー!」
同時に詠唱を始めた俺とミズキだが、先に詠唱が終わったのはミズキだ。
ボーパルが小さな体を僅かな隙間に捻りこむようにして攻撃をかわし続けているキツネちゃん2匹のうちの1匹へと背後の死角から風の刃が叩き込まれる。
が、
「コン!」
キツネちゃんは背中に目でも付いているかのようにこれをあっさりと回避し、ミズキに火の玉で反撃までしてきた。
明らかにさっきまでとは動きが違う。2対1の上にボーパルから反撃が来ないから余裕があるのか……?
にしても背後からの攻撃をあっさりとかわせるもんか……?
「『ウォーターカッター』!!」
「~~!」
俺の放った水の刃はさっきミズキが攻撃したキツネちゃんへと迫り、ティーニャの光球がアイギスが抑えているキツネちゃんに迫る……。
「メェ!?」
なんで!?皆でボーパルが避けている方のキツネちゃんを先に倒そう。って作戦だったよね!?俺には従いたくないってこと!?反抗期なの!?
「~~!!」
「コン!!」
という俺の心配はキツネちゃんの目の前で光球が炸裂した瞬間に吹き飛んだ。
一度ティーニャの光球を見ているキツネちゃんは光球が炸裂する前に動きを止めて顔を逸らせる。
と、同時にボーパルが相手をしていた2匹の動きが止まり俺の放った水の刃がキツネちゃんを切り裂いた。
ミズキの攻撃はあっさりと避けたのに俺の攻撃には当たったのもおかしいがそれよりもおかしな事がある。
アイギスの相手をしているキツネちゃんは問題ない。問題があるのはボーパルが相手にしている2匹のキツネちゃんだ。
ティーニャが出した夜闇を切り裂く光球に照らされているというのにこの2匹のキツネちゃんには……
「影が……無い……?」
あー、あるある。分身とか幻影とかで作った偽者の方には影が無くって本物だけ影があるパターンとかよくあるよね。
……ん?じゃあ、ボーパルの相手しているキツネちゃんは幻影……?えーと、『鑑定』!
モンスター 妖狐 Lv30
状態 アクティブ 欠損 火魔法ダメージ軽減(小)
モンスター 妖狐 Lv30
状態 アクティブ 欠損 火魔法ダメージ軽減(小)
モンスター 妖狐 Lv30
状態 アクティブ 欠損 火魔法ダメージ軽減(小)
んー?俺のウォーターカッターが当たったキツネちゃんが他のキツネちゃんよりもHPが減っている事以外は変らないな……なら。
プレイヤー ユウ Lv23
状態 幻惑 火魔法ダメージ軽減(小)
召喚モンスター ボーパル Lv23
状態 幻惑 火魔法ダメージ軽減(小)
召喚モンスター ミズキ Lv22
状態 幻惑 火魔法ダメージ軽減(小)
召喚モンスター アイギス Lv21
状態 幻惑 被魔法ダメージ軽減(小) 火魔法ダメージ軽減(小)
召喚モンスター ティーニャ Lv20
状態 被魔法ダメージ軽減(小) 火魔法ダメージ軽減(小)
召喚モンスター ノゾミ Lv15
状態 幻惑 被魔法ダメージ軽減(小) 火魔法ダメージ軽減(小)
《スキル:鑑定がレベルアップしました》
おー、見事にかかってるわ。ティーニャ以外全滅だわ。
だからティーニャはボーパルの相手をしているキツネちゃんを攻撃してくれっていわれて戸惑っていたのか。幻惑にかかってなかったからボーパルの相手をしているキツネちゃんが見えなかったんだな。
それは……恐ろしく滑稽だったろうな。
相手がいないのに必至に避け続けるボーパルと何も居ないのに攻撃魔法を放つ俺とミズキ……滑稽というかむしろホラーだな。だってボーパルは幻影のキツネちゃん相手にダメージ食らってたし。ティーニャ視点だと突然傷が発生した感じか?怖っ。
んーじゃあ、キツネちゃんのボス能力は実体のある幻影で決まりかね?
まぁ、幻影だと分かったところで普通に攻撃を受ける以上。幻影のほうを無視するわけにもいかないんだけどね。
「攻撃対象変更!アイギスの相手をしているキツネちゃんを攻撃するぞ!ボーパルは2匹の相手がきつくなったらすぐ教えてくれ!!
「きゅい!」
「ホー!」
「メェエ!」
「~~!」
「……にゃあ」
「さぁ……張り切って行こうか!!」
「「「コーーーーーン!!」」」
俺達の叫び声に対抗するようにキツネちゃんトリオも高く吠える。
……いまさらだけどキツネちゃんは俺の言葉は理解してないよね?ボーパル達が召喚モンスターだから特別なんだよね?
まぁ、攻撃対象の変更ぐらい言葉が通じて無くてもすぐ分かるけど作戦全部筒抜けとか嫌じゃね?こっちは相手がなに言ってるかは分からないんだしさ……
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「コ……ン……」
《スキル:水魔法がレベルアップしました》
《スキル:回避がレベルアップしました》
《スキル:夜目がレベルアップしました》
《スキル:杖がレベルアップしました》
《プレイヤーがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
《召喚モンスター:ボーパルがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
《召喚モンスター:ミズキがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
《召喚モンスター:アイギスがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
《召喚モンスター:ティーニャがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
《召喚モンスター:ノゾミがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
ユウ ハイサモナー
Lv23 → 24
体力 15
筋力 13
敏捷 20
器用 14
魔力 28 → 29
精神 28 → 30
スキル
杖Lv14→15 蹴りLv19 召喚魔法Lv24 火魔法Lv12 水魔法Lv16→17 鑑定Lv12→13 ダッシュLv14 回避Lv10→11 防御Lv5 耐寒Lv8 耐暑Lv5 夜目Lv5→7
《スキルポイントを2点獲得しました。SP22→24》
ボーパル いやしウサギ
Lv23 → 24
体力 10
筋力 31 → 32
敏捷 31 → 33
器用 14
魔力 12
精神 10
スキル
索敵 気配察知 跳躍 ダッシュ 蹴り 溜め蹴り 立体機動 空歩 回避 回復魔法 武器破壊
ミズキ マジックアイ
Lv22 → 23
体力 12
筋力 11
敏捷 22
器用 12
魔力 31 → 33
精神 17 → 18
スキル
飛行 奇襲 索敵 夜目 高速飛行 風魔法 麻痺の魔眼 高速詠唱 回避
アイギス ナイトゴート
Lv20 → 21
体力 37 → 38
筋力 15
敏捷 16
器用 13
魔力 10 → 11
精神 12 → 13
スキル
危機察知 悪路走破 怒り ダッシュ 鉄壁 全体防御 毒耐性
ティーニャ ティターニア
Lv20 → 21
体力 12
筋力 1
敏捷 16
器用 14
魔力 31 → 32
精神 24 → 26
スキル
浮遊 火魔法 風魔法 土魔法 水魔法 光魔法 属性魔法耐性 高速詠唱 隠蔽 回避 耐寒
ノゾミ ミソラキャット
Lv15 → 16
体力10
筋力16
敏捷18
器用26 → 27
魔力4
精神8 → 9
スキル
隠蔽 気配察知 夜目 登攀 歌 回避 耐寒
《エリアボスを討伐しました》
《新エリアが解放されました》
つ、疲れた……
キツネちゃんしぶとい!幻影の見極めかたさえ分かったら余裕かと思ったのにぜんっぜん削りきれない!!
どうも状態異常<幻惑>っていうのは命中率が著しく落ちている状態っぽい。
確実に当たったと思った攻撃がキツネちゃんの半歩横を通過していったりかすり傷にしかならなかったり。
なんか距離感がズレているかんじだな。
そして本体のHPが一定値減るごとにかけ直される実体のある幻覚のキツネちゃん。
一回合体してから分裂するもんだからどれが本物なのか全く分からなくなる。
そのたびにティーニャの光魔法で影を確認するんだが最後の方とか3匹のキツネちゃんが絡まるようにクルクルと立ち位置や攻撃する相手を変えながら戦うものだからどれが本物のキツネちゃんなのかさっぱり分からなくなる。幻影のほうも攻撃は普通に喰らうから適当にあしらうわけにも行かないし……
あれだな。カップを3つ並べてそのうちの1つの中にコインをいれてシャッフルして、どこにコインが入っているでしょう?っていうゲームみたいな感じ。
こちとら動体視力鍛えに来てるんじゃねーんだぞ!!
まぁ。もふもふのしっぽが絡み合ってもふもふもふしてるのは見ててほんわかしたけどさ。
……もふもふに見惚れていて見失っていた可能性も微レ存。
最終的にはミズキにカンテラをつかんで空から常時照らしてもらうことで解決した。先に買っておいて良かった。
んで、ミズキを打ち落とそうとキツネちゃんの火の玉が空に集中したから地上部隊は楽になったな。ミズキは死にそうになってたけど。すまんミズキ。
次にキツネちゃんと戦うときは昼に来ないとダメだな。昼なら明かりを作らなくても影が分かり易いだろうし。……いや、もう一回戦うかは決めてないんだが……
「きゅい……?」
さんざん苦労させられたボーパルが地面にへたり込みながら、匍匐前進で倒れるキツネちゃんへ近づきどうするのかと、俺に判断をあおいでいる。
ボーパルには今回。徹底的に回避に専念してもらったからな。お疲れ様だ。
んで、問題はキツネちゃんだ。封印するか、解体するか。いつもならボスは解体一択なんだが。ネタが完全に割れているキツネちゃんは百回倒すのも不可能じゃないし。他のプレイヤーも森じゃ殆ど見ないから独占も出来るだろう。
でも一回戦うのでもこれだけしんどかった上にボーパルとアイギスは完全にMP切れ。俺やミズキ。ティーニャも半分をとっくの昔に過ぎている。から回復の時間探索が出来ないとなるとメチャクチャ時間が掛かる。
でもそれだけの労力をかけてもキツネちゃんには召喚するだけの価値があるよう気がする。主にしっぽ周りに。というのは2割冗談だとしても、前衛が出来る子がもう1人は欲しいと今さっき思い知ったばっかりだしな。
んー、どうするべきか……
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
戦闘シーンを書くとどうしても筆が進まないなぁ。
やっぱ適度にふざけないとダメだね。
・・・適度の値は個人の主観によって変動しますのであしからず。




