73匹目 VSサモナー軍団(ストーカー)
酷い難産だった。短いうえに面白くないかも。
やっぱりぼっちに会話シーン書かせるなんて無茶やったんや・・・
《クエスト『麻痺毒針の納品』を受理しました》
あの後、フィアちゃんに麻痺消しドロップの材料の納品依頼をお願いされた。
砂漠の第二層で出るマヒサソリが落とすらしい。名前まんまだな。ポイズンスネークもだけど。
「さて……じゃあ、山に向かおうか。思ったより時間掛かっちゃったからダッシュでね!」
「きゅい!」
「ホー!」
「メェエ」
「~~!」
「……にゃぁん」
「あ!いた!見つけたよ、ノア!」
「ダッシュ!!」
「あっ!逃げた!!」
突然後ろから声が聞こえてきたがこの手の声かけは慣れている。無視して振り切るに限る。
「アカリちゃん。ウサたんさん見つけたのぉー?」
しかしまわりこまれてしまった!
いや、道を完全に塞いでいるわけでも無いから横を抜けようと思えば抜けれるんだが俺達の正面に出てきた少女の隣にいる存在を目にしたら逃げる気が無くなってしまった。
「ノア、ナイス!捕まえたわよ、ウサたん!ていうか、なんで逃げるのよ!!」
「いや、追いかけられたから逃げたんだが……というかウサたん言うな。俺の名前はユウだ」
最初に俺達を見つけた少女も俺達に追いついてきた。その子の隣にも目の前の少女が連れているのと同じ。非常に見覚えのある存在が居た。
「さぁ!おとなしくその強いウサギの育て方を教えなさい!何か特別な事をしたんでしょう!?」
「は、はぁ?」
「アカリちゃん。まずは皆に連絡しないとぉー」
「むぅ、じゃぁノアがやっておいてよ。私はコイツが逃げない様に見張ってるから!!」
いや、人の頭を飛び越えて話を進めないで欲しいんだが……。
ちょっとぐらい付き合ってあげようかなー。って気分になったから逃げずに待ってるんだけどいい加減時間も無いし帰っていいかな?
とか思ってたらなんかゾロゾロと人が集まってきたんですけど!?何!?なんなの!?
「さぁ!もう逃げられないわよ!観念しなさい!」
「きゅい?」
逃げようともしてないし追われる理由も無いと思うんだが?とりあえずその悪者っぽい発言は、ボーパルさんがアップを始めたからやめた方がいいと思うよ?
「私達はお願いに来たんだからそんな言い方はダメだよぉー」
「むぅ。じゃあノアがやってよ。私そういうの苦手だし」
「うん。分ったぁ……えーとユウさん?私はノア。あっちで騒いでるのがアカリちゃんで。後は知らない人だけどー。皆、闘技大会の動画を見てサモナーになったのー」
闘技大会の動画?……あぁ、そういえば闘技大会の打ち上げにテトとメトが乱入してきてそんな話をしていたような気もする。俺が出ているわけでもないから対戦相手の変態が許可すればホームページに載せてもいいって言ったんだが載ってたんだ。今度見に行こう。
「それでねぇ、私達みーんなウサギを召喚したんだけどぉ」
うん。知ってた。だって、プレイヤーと同じ数のウサギが狭い路地にひしめいているんだもん。
なんだここは。天国か?
「どうやったらボーパルちゃんみたいなウサギに育つのか教えて欲しいのぉ」
「「「お願いします!師匠!!」」」
「師匠!?」
「きゅい?」
あれ?いつの間にか俺に弟子が大量に出来てるんだが……どうしてこうなった。
「えーと?ノアちゃん?」
「はいー」
「ちょっと!私のノアを勝手に呼ぶんじゃないわよ!」
「……」
俺にどうしろと。
「あ、アカリちゃんの事は気にしなくてもいいですぅー。話に入れなくて寂しかっただけなのでぇー」
「べ、別にノアに構って欲しかったわけじゃないわよ!」
誰もそんなことは言ってない訳だが……。勝気少女とほんわか少女のコンビなのにほんわか少女の方が主導権を握っているのか。
……何故か脳内に鬼畜という言葉が浮かんできたが錯覚だろう。
「イマイチ質問の意味が分らないんだが何が聞きたいんだ?いやしウサギのクラスチェンジ条件か?」
「いいえー。そうではなくぅー。どうすればボーパルちゃんの様な強いウサギになるのかということですぅー。私達の召喚したウサギはぁー。みんな臆病でラブリーなウサギさんでぇー。極力戦闘を避ける極一般的なウサギさんだったんですぅー」
「はぁ?」
んなバカな。
……いや、それが普通なのか?……普通かも。モンスターのウサギもプレイヤーのレベルが上がれば逃げるし。
……あれ?ボーパルは生まれた時からずっと敵をみたら即、突撃からの蹴り殺しだったような気が……。
「あー、そこらへんは個性としか言いようが無いんだが……」
「なるほどー、分かりましたー。どうぞ通ってくださいー」
「なんでよ!通しちゃったら逃げられるでしょ!」
「最初に説明したはずですぅー。アカリちゃんの望む答えがあるとは限らないしー。あったとしてもユウさんに喋る理由はないのでー。一応聞くだけにするってー」
「そんなこと言っても強さの秘密を隠してるかもしれないんでしょ!話すまで絶対に逃がさないんだからね!!」
喧嘩するなら他所でやって欲しいんだが……
「えー、と。保護者さん?俺、昼のうちに山に行って封印したいんだが」
「……アカリちゃんは、一度思い込んだらなかなか意見を変えられないからぁー……やっちゃていいですぅー」
「ボーパルGO!」
「きゅい!」
「へ?何……キャァアアァァァァアアアア」
ボーパル式フリーフォールに1名様ごあんな~い。
街中でダメージを食らわないからいつもより高く飛んでおりま~す。
「からの。ピッポッパっと」
こんな事があったら押すようにと言われていたボタンをポチポチと押す。
確かこれでよかったはず。
『はいはい~い。メトだよ~。ユウさん?どうしたの~?』
「あ、メトさんお久しぶりです。実はボーパルの強さの秘密を教えろとプレイヤーに囲まれてまして」
『……それはつまり、ボーパルちゃんに迷惑をかけているプレイヤーがいるってことでいいのかな?かな?』
「ですです」
怖いので声の抑揚を消してかなを繰り返すのはやめてください。
「イタタ……ちょっと!私を無視して誰と話してるのよ!」
「ゲームマスターみたいですよぉ~。邪魔しないほうがいいですぅ~」
『ん~、よし。見つけた。あ~新しくサモナーになった子達だね~。ボーパルちゃんの強さを見てサモナーになったのに思ったより強くなかったから、ボーパルちゃんがインチキしてるんじゃないかーってことかなー?』
「大体そんな感じです」
「ゲームマスターって誰よ!私より偉いって言うの!?」
「そうですぅー。ゲーム内ならアカリちゃんのパパより偉いですぅー」
「……」
『これはちょっとやり過ぎかなー。うん。とりあえずここにいるプレイヤーにはバインドかけるからユウさんは行ってもいいよー。初犯だし厳重注意ってところかなー。一人空飛んでるみたいだしー』
「ありがとうございます」
メトさんの言葉に合わせて地面から光の帯が伸びてきてサモナー達を拘束していく。
ここまでやる必要も無いような気はするんだが、また来られても嫌だしな。とっとと行こうか。
余計な時間をまた掛けてしまったので山狩りの時間が本当に無くなってきたぞ。いっそのこと明日にしようかなぁ。
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。




