55匹目 フィアちゃんとホットミルク
本日2匹目です。
テトメトはついに気づいてしまったのです。
・・・最近評価上がってるのってティーニャパワーじゃなくて単純に更新ペースが上がっているからじゃね?と。
あ、次回から闘技大会です。やっふー。
「それで、とりあえずコレを見て欲しいんですけど」
そういって取り出したのは普通のイノシシの肉だ。レア度2のやつ。
「!?……レア度2の食材。やっぱりね」
ビックリしつつも予想どおりだったのかほっと一息ついたリアさんには悪いけども次を取り出す。
「後コレと……」
「!!?……れ、レア度3?……コレ未加工よね?純粋に素材としてのレアリティが3なのよね?」
上肉を取り出すと、さっきよりも驚いてビクッと体が跳ねては居るものの、まだ予想の範囲内だったのか多少の余裕はあるようだ。
「最後にコレです」
「……レア度……4……?は、初めて見たわ」
「俺も初めて見ました」
いやー最初に見たときは俺もビックリしたものだ。驚きよりも食欲が勝ったけど。
「それで、コレの買取と料理をお願いしたいんです。ぼたん鍋です」
「メエエ!」
ウサギのシチューを一番喜んでいたアイギスも瞳をキラキラ輝かせてリアさんへと視線を向けている。
多分俺も同じ目をしてると思う。
「……悪いけどそれはちょっと難しいわね」
「な!?」
「メエ!?」
まさかの拒否!?どうしよう他に料理取ってる知り合いなんて居ないんだが。
「えーと、ね。まず……ユウ君このお肉いくつ持ってるの?」
「木材よりは多いです」
トレントのほうが戦闘回数は多いんだが時々ドロップしないんだよな。
イノシシも絶対ドロップするわけじゃないがトレントよりは何かしら落とす可能性は高いみたいだ。
「うん。絶対買い取れないわね。それにレア度3とか4ってまだ私の交易レベルじゃ適正価格が分からないのよ。恐らく買い取ろうとおもったら品質がだいぶ劣化しちゃうと思うの。それに料理のレベルも足りないからレア度4の食材なんて扱いきれないわよ……。レア度3で五分五分って所ね。おいしく作れる自信はないわ」
「なん……だと……」
まさかのリアさん側のレベル不足での調理不可。これはちょっと想定していなかった。
「うー。じゃあ、特上肉は俺が持っていることにします。上肉でぼたん鍋をお願いします!」
「うーん。料理に失敗したら食材を買い取った分私が損しちゃうんだけど……まぁいいわ。失敗しても経験値は入るし、今までも作ったものは自分で食べてたから変わらないしね。上肉は複数あるのかしら?」
「ダース単位であります」
「わーお」
とりあえず上肉全てと普通の肉をいくつか買い取ってもらって残りはまた今度買い取って貰う事になった。
特上肉のぼたん鍋が食べられないのは残念だがずっと食べられないわけじゃないし楽しみは後にとっておく事にして次に行くのはアトリエだな。
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カランコロン♪
「お邪魔しまーす」
「きゅい~」
OPENの札が掛かっている扉を開けてアトリエに入る。足を拭いたり靴を脱いだりしなくても一切汚れないのはやっぱり便利だな。
「……ん?誰もいないのかな?」
「ホー?」
いつもならばフィアちゃんが工房のほうから出迎えに来てくれるか、エルが上機嫌でスキップ&ターンしながら迎えに来るのに誰も来ない。
でも工房の方から物音は聞こえてくるんだよな。もしかしたら調合中で手が離せないのかも。
「お邪魔しますよ~?」
「~~!」
勝手知ったるなんとやらで工房へと入ってみる。いや、玄関と廊下と工房しか知らないけども。
工房では予想通りに調合を、予想外にフィアちゃんが行なっていた。
「ふんふふ~ん♪しろ~いミルクはやっさしいお味♪ふんふ~ん♪あんまぁ~い砂糖はしあわせいっぱい♪ふふん♪まぜまぜまぜまぜ、ぐ~るぐる♪あたっかポカポカ出来上がり♪」
予想以上にかわいらしい歌と共に。
「フィアちゃんはホットミルク好きなの?」
「ぴにゃぁぁぁぁぁぁ!?」
フィアちゃんが自分の身長と同じぐらいの大きさのスプーンでかき混ぜていた乳白色の液体が急速に無くなって調合鍋の底にマグカップに入ったほかほかと湯気のたっているホットミルクが残った段階で調合が終ったのだろうと判断してフィアちゃんに声をかけてみたんだが予想外に驚かれてこっちがビックリした。邪魔にならないようにフィアちゃんの後ろから肩越しに覗き込むような形になっていた所為で耳に息がかかったからかな?フィアちゃんはちょっと赤い顔で耳を押さえてる。
フィアちゃんは耳が弱い。ユウ覚えた。
それにしてもマグカップはどこから出てきたのだろうか。最初から入っていたのだろうか。欠けそうで嫌だな。
「きゅい!」
「あ、ボーパルちゃん……と。あなたでしたか。どうしてフィアの後ろに立っているのですか」
「何故と言われると……納品依頼を達成に来たのに誰も出迎えてくれなかったから勝手に入ったらフィアちゃんが調合していたから邪魔にならないようにそおっと後ろについて覗き込んでいたから……かな?」
「……変態さんっぽいのでやめてください」
「酷い!」
「……間違えました。ユウさんは紛うことなき変態さんでしたね」
「さらに酷くなった!?」
俺が愕然とした顔をすると冷たい目で俺を見下していたフィアちゃんの目元がふっと緩む。
「……冗談です。でも、突然背後から声をかけられるとビックリするので今度からは普通に声をかけてください」
「んー。調合の邪魔になるかなーっと思ったんだけど」
「……それでも、です。耳元に突然声をかけられることに比べればずっとマシです」
「分かった。次からは声をかけずにホッペをプニプニにして存在を主張することにするよ」
「……どうしてそうなったんですか。フィアは離れた所から声をかけてくださいと言っているのです。あなたはときどき日本語が不自由になる病気でも持ってるんですか」
「行間を読んだからな!」
「……1行しかセリフが無かったのですが」
そんなメタい事を言いつつ再びジト目で俺を見るフィアちゃん。うんその顔も可愛いぜ!グッ!
俺の渾身のサムズアップに、「……ハァ」とため息で返したフィアちゃんが頭を切り替えるようにふるふると頭を振ると頭の片方で結んである長い髪がつられてフリフリと動きティーニャがすごいキラキラした瞳で跳ねる髪先を目で追ってる。ネコ並みの好奇心だな。
「……それで。今日は納品に来てくれたのですよね」
「おう。いっぱい持ってきたぞ」
気がついたら拾っている薬草と、毒袋はトレント狩りのついでに出てきたヘビを狩っていたのでそこそこ数がある。
「……本当にいっぱいですね。毒袋はこれだけあればしばらくは大丈夫です。支払いはどうしますか」
「あー、薬草は現物で、毒袋はお金でお願いします。」
「……分かりました。すこし待っていてください」
そう言うとフィアちゃんはホットミルクをストレージにしまって工房を出て行った。
近づくなって言われた初対面と比べると軽口を叩けるほどフィアちゃんと仲良くなっている事実に気づかず口元が緩んでいたらしく工房に戻ってきたフィアちゃんにまた変態さんだと言われてしまった。
……そういうフィアちゃんの口元も少し緩んでいたことは俺の胸にしまっておこう。
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
MFブックスに応募するために主人公属性を設定しなきゃなんですが主人公最強タグを付けていいものか悩んでます。
この物語の主人公はどう見てもボーパルだからつけてもいいと思うんですけど中にはユウが主人公だという人もビレ存ですからね。
評価範囲が最初の10万文字までっていう制約もあるしなー。