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50匹目 うさぎさんの着ぐるみ

久しぶりにフィアちゃんが出ます。

むしろフィアちゃんを出すためにシルフに毒消し丸飲ませたまである。

 

「リアさ~んお金くださ~い」

「きゅい~」

「ホ~」

「メエ」


 翌日木曜日。闘技大会まで残り3日となった今日。とりあえずリアさんに預けていたお金を返してもらうためにリアさんの屋台にきたんだが。お小遣いをねだりに来たみたいになってしまった。


「あら、いらっしゃい。お金を返してほしいのね?木札はあるかしら?」

「はーい」


 木札と全財産を交換してもらって、ついでに有り余るアリのドロップ品も買い取ってもらった。


「と、ストーンゴーレムからいっぱい石が採れたんですけど何かに使えますか?」


 そう言いつつインベントリからとりだした魔鉱石をゴロゴロと屋台に並べていく。


【アイテム:素材】魔鉱石 レア度2

 長い期間魔力を込められ続け、魔力が定着した鉄鉱石。

 武器、防具の材料になる。


「あら、魔鉱石がいっぱいね。魔鉱石は鎧や盾にしたら魔法耐性がついて、武器にしたらちょっとだけど魔法に補正が入るのよ。うーん。でも魔法使いには余り必要じゃないのよね……そうだ!アイギスちゃんの鎧用にしたらどうかしら?」


「なるほど。というかそれ以外に金属製のものって使いませんもんね。それじゃ、お願いします」


「はい。お願いされます」


 持っている魔鉱石を全てリアさんに売って屋台をお暇する。

 アイギスの鎧が出来るのは闘技大会の後って話だったよな。楽しみだな。なぁアイギス?


「メエエ?」


 ----------------------------------------


 カランコロン♪


「お?ドアにベルが付いてるな」

「きゅい!」


 シルフの所為で毒消し丸を大量に消費したので森にトレント狩りに行く前にアトリエにやってきた俺達はドアに新しくついたベルの音色に迎えられた。


「いらっしゃいデース!およよ?誰かと思ったらユウじゃないデスか!!ささっ!早く入るデス!」


 珍しくアトリエに居たエルに案内されて工房へと入る。工房主はエルだろうから居ても何もおかしくは無いんだが新鮮な感じだな。


「今日は何の御用デスか~?エルとおしゃべりに来たのなら、今日は気分がいいのでとっておきのお菓子をご馳走するデ~ス!」


「~~!」


「およよ!?見たことない子がまた増えてるデス!」


 お菓子という単語に反応して飛び出したティーニャがエルの周りをクルクルと回ってお菓子の催促をしている。シルフに貰ったアメ玉が気に入ったみたいだな。


「おー、フェアリーデスか。珍しいのデス!……んー、角砂糖食べるデス?」


「~~!」


 エルが差し出した角砂糖を両手で受け取り満面の笑みで角からカシカシ食べていくティーニャ。

 ティーニャがいいならそれでいいけど砂糖そのままってお菓子じゃ無いと思う。


「今日は毒消し丸の補充に来たんだ。昨日いっぱい使っちゃったからさ。5個ぐらいもらえるか?」


「分ったのデス!ついでにお茶のセットも用意してくるから待ってるデス!あっ、コーヒーもあるデスけどどっちがいいデスか?」


「あ~、じゃあお茶でお願いします」


「了解デ~ス!」


 すごく話を聞いて欲しいのだろうエルが、スキップをするように奥へと消えていく。

 こぼしそうで怖いな……。大丈夫かな?


 ……今さらだがこういうお茶とかシルフに貰ってたアメ玉とかって対価払ってないけど大丈夫なのだろうか?ストーンゴーレムのドロップ品を山分けしたときは、所有権が倒したパーティにあったものを個人に振り分けただけだから問題ないとしてもインベントリから取り出したアメ玉はダメじゃね?そもそもの価値が低いから品質の劣化を少なかったのかな?


「うーむ……うむ?」


 ギィ……


 考えても答えが出ないことを考えているとアトリエの奥へと続く扉が開いた。エルかな?ずいぶんと早かったな……


「……姉さん。フィアの日記帳を知りませんか。どこを探しても見つからないのです」


 アトリエに入ってきたのはフィアちゃんだった。


 寝る準備をしていたのだろう。うさぎさんのきぐるみの様なパジャマを着て髪を下ろしたフィアちゃんが、扉を開けた姿勢のままビックリした表情で俺を見ていた。


 うん。とりあえず。


「その格好超可愛い!どこで買ったの?」


「……はぁ。あなたでしたか。家の中に知らない人が居ると思って驚きました……それと、このパジャマはフィアの手作りなので非売品です」


 グッ、と右手の親指を立てながらの俺の叫びに呆れたようにため息をついた後。いつもの無表情に戻ったフィアちゃんが淡々と喋る。……って!


「手作り!?マジで!是非俺の分も作っていただきたく!」


「……非売品です」


「せめて、もふもふさせて!」


「……意味が分りません」


「ちぇ~」


 フィアちゃんのけちんぼ。

 ……まぁいいや。もうすぐエルもお茶を持って戻ってくるだろうし。フィアちゃんとおしゃべりしながら待っていようかね。


「……それで、今日はどんな御用なのですか?」


「……フィアちゃんに服を作って貰おうかと思って」


「……む、非売品だって言ってるじゃないですか。しつこい人はキライです」


「すみませんでした!!もう言いません!」


 きぐるみは可愛いけどフィアちゃんに嫌われてまで欲しいとは思わないな。うん。


「本当は毒消し丸を買い足しに来たんだ。昨日知り合いの口に纏めて突っ込んだら手持ちが心もとなくなっちゃって……」


「……なんて惨いことを……」


 胸の前で手を合わせてシルフの冥福を祈っているフィアちゃんは苦いのが苦手なのかな?最初に毒消し丸を買った時も苦さをすごく強調してきたし。実際苦かったけど。

 後シルフは死んでません。


「おっまたせデ~ス!ウサギさん達にはクッキーっで良かったデスよね?」


 ドバン!と扉を蹴破って両手でお盆を持ったエルがクルクル回りながらアトリエに戻ってきた。


「およよ!フィアもきたですか!カップをもう一個取って来るデス!」


「お、おう」


 そしてそのままテーブルの上にお盆を置いたかと思うと反転してピューっとアトリエから飛び出して行ってしまった。フィアちゃんが一言も喋る暇のない程の早業である。


「……姉さんの話を聞く約束をしてしまったのですね。姉さんは最近新しいレシピを仕入れたらしくて誰かにその話をしたくてたまらないみたいです。フィアも何回も同じ話を聞かされました」


 いつの間にかイスに座って膝の上に乗せていたボーパルへとエルが持ってきたクッキーをあげながらフィアちゃんが言った。

 ちなみにティーニャは勝手に食べてるしアイギスはミズキにとって貰ってる。


「……かなり長い話になる上に錬金術師じゃないあなたには分らない話だと思いますが頑張ってください。姉さんは話したくてしょうがないだけなので空返事でも気にしませんから」


「……長いの?」


「……長いです」


「お願いします2人きりにしないでください。あのテンションに長時間付き合える自信はないです」


 短時間ならともかく長時間あのテンションで理解できない話をされたら確実についていけない自信がある。


「……はぁ。姉さんがフィアのカップを取りに行った時点で巻き込まれるのは確定していますから大丈夫です」


「なんかすいませんでした」


 今日はフィアちゃんに謝ってばかりな気がする。


 その後直ぐに戻ってきたエルがフィアちゃんの言っていた通りマシンガントークを炸裂させ俺達は適当に相槌を打ちながらお茶とクッキーを楽しんだ。なんとこのクッキーはフィアちゃんが作ったらしい。

 ……服が作れて料理も出来るとかフィアちゃんマジ女子力高すぎる。


 クッキーぐらいエルだって調合出来るデス!とか言ってる人とは違うな。

 調合て、錬金術で作るって事なんだろうけど、調合して出来たお菓子とか変な薬とか入ってそうで不安しかないな。

もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


一時期マイナスまでいっていた日刊評価がまた最近上がってきて嬉しい限りです。

何故だろうか。ティーニャが出てきたあたりから上がってるから妖精効果かな?

ハッ!つまりはティーニャを出すほど評価が上がるということか!!

でも闘技大会が始まったら出番0が続きそうなんだよな~。


あっ、勿論読者の皆様にも感謝してます。ありがとうございます。

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