5匹目 VS野犬
「あっ、そうだレベルアップしたときにスキルに火魔法があったんだが。魔法ってどうやって使うんだ?」
「お?サモナーは初期で魔法が入っていたのか。召喚魔法だけかと思っていたぞ」
「お姉ちゃん。魔法は魔法リストから魔法を選択したら詠唱が始まって完成したら発動するんだけど、詠唱中にダメージをくらったら確率で詠唱がキャンセルされるんだよ。ダメージが大きいとキャンセル率が上がるから詠唱中はクリティカルは絶対貰ったらダメだからね。まあ最も詠唱中じゃ無くてもクリティカルは貰ったらダメだけどね。ちなみに火魔法のレベル1魔法はファイヤーボールだね」
「そうか。なら試しで……」
ファイヤーボール発動!
魔法リストからファイアーボールを選択するとと口が勝手に動いて詠唱を始める。自分の体が勝手に動くのはなんかくすぐったいな。
「ああ。まってまって。ストップ、ストップ」
「ん?どした?」
あ、詠唱が止まった。なるほど喋ったら止まるのね。
「火魔法はなぁ……威力は他の魔法より高いんだけど色々デメリットもあるんだよなあ。まず射程が短いし、水中では使えないし洞窟とか密閉空間だと酸欠判定受けることあるし。ここみたいな森だと燃え広がってダメージ受けたりする」
「後は暗い所で使ったら超目立つね!まぁこれは一長一短だけど」
「なるほど」
火魔法はあまり使い勝手は良く無さそうだな。まぁ召喚魔法メインだろうし何も無いのに比べれば遥かにマシだな。
「オススメは風魔法だよお姉ちゃん!射程が長いし攻撃自体が見えにくい分避けにくいからね!」
「威力は低めだけど当たりやすいってのはいいよな。当たらなければどうということはな……」
「きゅい!」
ボーパルが体を起こして鳴き声を挙げる。その鳴き方は何回か聞いた敵を発見した時のものだ。
とりあえず火魔法が使い物にならないことは分かったし無駄話はやめて3人と1匹でボーパルが見つけたモンスターのほうへと向かう。果たしてそこにいたのはもっきゅもっきゅと草を食んでいる一抱えはありそうな大きさのイモムシだった。
モンスター キャタピラー Lv1
状態 食事中 パッシブ
《スキル:鑑定がレベルアップしました》
「キャタピラーだな。高確率で落とす糸が防具作成の材料になる」
「かわいい!」
「そうか?」
かわいい発言をしたのはシルフだ。確かに食事する姿は愛嬌があるかもだがあのサイズのイモムシはちょっと……
「えー、可愛いじゃん。ほら成長したら綺麗なちょうちょになるかもよ?」
「こわい蛾になるかもだろ?」
「ぶー。じゃあキャタピラーは封印しなくてもいいんだね」
「あ、いやそれはお願いします」
てなわけで、戦闘かいs……戦闘終了。食事中のイモムシの背後からタクが接近。一刀両断にして終わった。
これ、火魔法じゃなくても魔法使う必要性ないよな。シルフもおそらく風魔法持ってるだろうけど使ってないし。
キャタピラーの封印率はウサギと同じ20%つまり後4匹で封印完了だな。
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「きゅい!きゅいきゅいきゅい!」
「「「「「ぐるるるるるるるる」」」」」
モンスター 野犬 Lv2
状態 アクティブ
次の獲物を探して森を散策していたら突然ボーパルが警戒の鳴き声をあげた。
その声にあぶりだされたかのように5匹の犬が姿を現す。
「ちぃっ」
まだ互いの攻撃が届くほどの距離ではないがその輪を徐々に縮めて来ている。
「……野犬。常に3匹以上で行動していて挟み撃ちや包囲もしてくる。隠蔽のスキルがあるみたいで奇襲を受けることも多い。この時間の森では一番厄介な相手だな。牙や爪を落とすことがあるけど使い道はほとんど無い」
「あたしとタクさんで2匹ずつ仕留めるから援軍に行くまで一匹押さえられそう?」
ボーパルのHPは4割ほど。魔法が使えない以上俺に戦闘で使えるスキルは無い。だが、タクとシルフの戦闘力を考えると耐えなければいけない時間はそれほど無いだろう。なら、
「無理だっていってもやらなきゃいけないんだろ?」
「まーねー」
「んじゃ、サクッと仕留めるからそっちは任せた」
そういうと野犬を威圧するように剣を振りつつ近づくタクと軽装を活かし矢の様に飛び出していくシルフ。そして俺のところには、
「ぐるるるるるるるるる」
「行くぞ。ボーパル!」
「きゅい!」
体力の無いボーパルは速度を活かして側面に回りこみ遊撃を、正面は俺が担当する。
「がるう!」
横に回りこんだボーパルにちらりと目を向けながらも前に陣取り武器も構えていない俺へと飛び掛ってくる野犬。
突然飛び掛かられたのならともかく来ると分かっているのをかわすだけならば俺でもできる。
「うおっ!」
そう思っていた時期が俺にもありました。
大きく横へ跳びよけた俺は思いっきり足を木の根に引っ掛けすっ転んだ。
「がるるぁ!」
そんな絶好のチャンスに野犬が追撃を仕掛けない訳がない。
野犬は倒れる俺へと一目散に駆け寄る。そう、周りを気にもせずに
「きゅいーーーーーーーーーー!」
「ぎゃおう!?」
駆ける野犬の横っ腹へとボーパルが弾丸のような速度で突っ込む。
ボーパルの突撃で機動が逸れた野犬はボーパルともつれるように俺の直ぐ隣へと転がり込む。
「ナイスだボーパル!」
「きゅい!」
飛び起き上た俺は起き上がりかけている野犬の腹をサッカーボールの様に蹴り飛ばす。
「ぎゃん!」
蹴り上げられ吹き飛んだ野犬が背後の木へと激突しさらに木と自分の体で押しつぶす様にボーパルが体当たりをし野犬のHPバーを消し飛ばした。
《プレイヤーがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
「きゅいいいいいいい!!」
勝利の雄たけび?を上げるボーパル。よしよし良くがんばった。
ユウ サモナー
Lv2 → 3
体力12
筋力10
敏捷12 → 13
器用13
魔力15
精神15
スキル
召喚魔法Lv1 火魔法Lv1 鑑定Lv3→4
《スキルポイントを2点獲得しました。SP12→14》
ステータスはもう一度敏捷を上げておいた。今の戦闘でもすっ転んだ所為で危なかったしな。もうちょっと機敏に動きたい。プレイヤースキルの問題だろうという意見は受け付けません。
《召喚モンスター:ボーパルがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
おっ、ボーパルもレベルアップだ。まぁ大活躍だったしな。
ボーパルウサギ
Lv1 → 2
体力10
筋力7 → 8
敏捷15
器用12
魔力4
精神7
スキル
索敵 気配察知 跳躍
ボーパルは敏捷は高いから筋力を上げておいた。ボーパルは戦闘位置的には基本遊撃の接近戦だろうに後衛の俺よりも筋力が低いからな。最低でも10に行くまでは筋力特化だな。
今夜もう1匹投稿予定です