46匹目 エリアボス戦前
家のオンボロPCがチノちゃんのあまりの可愛さに照れてしまってCDを再生してくれなくなりました。
車でしかチノちゃんに会えない・・・(´;ω;`)ブワッ
「フェアリーガーデンに行って来たぁ!?」
「タクうっさい」
道の真ん中で人目を憚らずに叫ぶのはもちろんタクだ。
全く。少しは落ち着きをもって欲しいものだ。
「……溺れ死ぬと叫びながら噴水から飛び出してきた奴には言われたく無いんだが?」
「……」
そんな昔の事は忘れました。
「へー、お姉ちゃんもフェアリーガーデン行ったんだ。運が良かったんだね。あそこ、すっごい綺麗だったでしょ?ちっちゃなフェアリーがいっぱい飛んでて可愛かったし。……マジ、フェアリーイーター死すべし。慈悲はない」
「シルフ落ち着け。目からハイライトが消えてるから。怖いから!」
なんでもシルフが、ベータ時代にフェアリーガーデンに行った時には、レベルが足りず、草花に足を取られてる間にフェアリーが一匹食べられてしまった事が軽くトラウマになっているらしい。
……倒したらひょっこり出てきたらしいが。
それ以来シルフは、貰った妖精シリーズの効果もあり、スピードに特化した戦闘スタイルに変わっていったらしい。次に小動物が襲われていたときには絶対助けられるように、と。
ちなみにタクはこの話聞いて「……触手……丸呑み……ふーん」と呟いてニヤニヤしていた。
キモかった。いつも以上にキモかった。壊滅的にキモかった。シルフと2人でそっと距離をとりつつ絶対零度の眼差しで見つめたら取り繕った顔をしていたがタクはもう色々と手遅れだと思う。
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「リアさんこんちわー」
「はい、こんにちは。あら?今日は3人一緒なのね」
「ええ、これから3人でエリアb……」
「「いえ、知らない人ですね」」
リアさんにたまたま目的地が一緒だった知らないキモイ人と一括りにされたのでしっかり否定しておく。
「……タク君今度は何したの?」
「いや、大したことはしてないですよ!」
「この人、あたしがマジメな話をしてしんみりしている時に1人キモチ悪い顔でニヤニヤ笑ってたんです。どうみても変質者でした」
「タク君……」
「ちょっ!リアさんまで距離とらないでください!シルフちゃんもユウも機嫌直してくれよ、悪かったからさ!」
うわぁ……って顔で狭い店舗スペースの中、目一杯距離を取ったリアさんに、また知らない人がギャーギャーと騒ぎたてている。
はぁ……、話が全く進まないな。しゃーない。
「……『サモン・ティーニャ』」
「~~~♪」
「キャ~~!!」
「~!?」
ティーニャをポンっとシルフの前に召喚すると口から怪音波を出しながら電光石火の速さで捕獲されてしまった。
さっきまでの不機嫌さから一転ニヨニヨ、えへへへ、ニマニマと危ない感じで頬を染めながらティーニャを愛でているシルフはこれでよし。
「……シルフちゃんも十分人の事言えないと思うのは俺だけだろうか」
タクも静かになったから無視でいいとして。
「リアさん。俺達今からエリアボス戦に行って来るんです。なのでお金預かってもらっていいですか?」
「あら。もちろんいいわよ?じゃあコレね」
そう言ってリアさんが取り出したのは3枚の……木片?木札?形も揃ってない木の片面を削って平らにした板だな。
「これは?」
「レン君に貰った端材ね。支払い金額を削ってメモも出来るのよ?勿論私の方でも控えてるけど、どこかにメモしておかないと細かい金額までおぼえてられないでしょ?」
「なるほど」
てなわけで、3人とも自分の有り金全てを書いた木札を購入し街をでる。
今日の目標は山のエリアボス。ストーンゴーレムだ。
「みんな出てこい!」
「きゅい!」
「ホー!」
「メエエ」
「~~~♪」
クラスチェンジ組み3人を召喚するとシルフの魔の手から抜け出したティーニャがミズキにひしっ!と抱きついた。
うん。ちゃんと頼るべき相手が分っているな。ボーパルの所に行ったらシルフと3人でまた鬼ごっこでもさせられそうだしな。
「行きで経験値や金を稼ぐのは勿体無いし戦闘を避けつつボス付近までいって、テント張って飯。晩飯後に集合してボス戦ってことでOK?」
「「OK」」
「んじゃ、ティーニャはここまでだな。パーティ組むために1人減らさなきゃならないし」
ティーニャを送還。パーティを承諾。
「あ゛~あたしのティーニャちゃんが~」
シルフのじゃ無いからな?
「……はぁ。なんなら、エリアボス戦後ティーニャのレベル上げに付き合ってくれても……」
「やる!手伝う!そうと決まればさっさと行って速攻でボスを倒すよ!!」
「おう!リベンジマッチだ!派手に行こうぜ!」
「きゅい!!」
ボス戦へ向けてやる気を燃やしている近接アタッカー3人の先導で山頂へとずんずん登っていく。
勿論ボーパルがいるから戦闘は数回バットに襲われただけで、あっさり到着しテントを張って一旦解散になった。
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「うし、全員揃ったな。それじゃ、ストーンゴーレム戦最後の会議を始めるぜ」
「「はーい」」
「きゅい」
「ホー」
「メエエ」
晩飯を終えて再集合した俺達はタクの号令でボス攻略会議を開催していた。
「ボスの攻撃パターン何かは事前に伝えた通りだな。基本的にはイワガメが更に硬くなって、多少早くなったモンスターだな。俺でもかわせるぐらいの速さだったからシルフちゃんとボーパルなら余裕だろう。耐性としては打撃が良く効いて、刺突が殆ど効かないな。斬撃と魔法全般は普通だ。だからシルフちゃんには片手剣を使ってもらう。耐久値的にもアレの相手をレイピアでするのは無謀だしな」
「うー、あたし本サービスで始めて初期装備触ったかも。レイピアでスキルは上がってるしベータ時代に使ってたから、大丈夫だとは思うけど……」
「打撃が良く効くならボーパルの蹴りが効くって事だよな?……何分持つかな……」
「きゅい!」
やるよー?ヤっちゃうよー?って感じでシュシュシュッ!とシャドウキックボクシング?キックの素振りを残像を残す速度で繰り返す ボーパルはいつもどおり頼もしいな。
「はっはっは。確かに蹴りは打撃だけども武器補正の無い体術系のスキルじゃ高いダメージは期待できないだろう?今回は相手の防御力が高くて遅い敵だから手数の多さよりも一撃の破壊力が欲しいんだよな」
「お、おう……」
え?蹴りスキルって武器スキルよりもダメージ少ないの?俺が杖しか使わないから知らなかっただけでタクの大剣とかシルフのレイピアとかってボーパル以上の火力を平然と出すものなの?なにそれ怖い。
「うし!目指すはストーンゴーレム討伐!派手に行こうか!!」
「「おー!」」
「きゅい!」
「ホー!」
「メエエ!」
最後にもう一度気合を入れ俺達は一歩を踏み出す。
タクが引いた一線を越えた瞬間俺達の目の前にあった岩があつまり人型をとって起き上がった。
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
打撃が良く効く・・・蹴りは打撃・・・あっ・・・(察し)
ストーンゴーレム・・・強く生きろよ。




