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25匹目 ウサギのシチュー

 

 ラースベアーを封印して一通り悔しがった後街へと向かうために森を抜けた。

 杖は折れ、ヒールクリームは切れ。とても戦闘を続けられるような状態じゃ無かったからな。いたしかたなしだ、眠いし。

 現時刻は午前2時。フレンドリストを見る限りリアさんもレン君もログインしていないみたいだから一旦ログアウトして寝ようかな。眠くて判断が鈍ってもイヤだしね。


 ……そんな事をつらつらと考えつつ道中の野犬との戦闘をクラスチェンジしたてのボーパル達に丸投げしながら森を抜けた先。そこは……戦場だった。



「きゅいいいいいいいいいいいいいいい」

「一羽そっちへ逃げたぞ!!囲め!」

「どこだ!?どこへ行きやがった!!」

「やったわ!うさぎさんずきんよ!!」

「ウサギ……ウサギはどこだ……」

「なんだと!?野郎ども!気合を入れろ!!先を越されるな!!」

「やった!俺が倒した!触るんじゃねえぞ!!こいつは俺のもんだ!!」


 ……何このカオス……。

 いや、やってることは分かる。ウサギ狩りだ。目的はうさぎさん装備だろう。

 ウサギに逃げられない様に人海戦術で草原にプレイヤーを配置して、どこへ逃げても誰かが仕留められるようにしているのだろう。リアルでは深夜2時だというのにご苦労なことである。


 ……って、今ボーパル連れてここ通るのはヤバそうだな。ボーパルは蹴りウサギに進化したけども見た目はウサギと変わらないし。

 それに殆ど狂気に取り付かれてるようなプレイヤー達の前にうさぎさん装備で出て行った時には……(ガクブル)


 てなわけで、ボーパルとついでにミズキも送還して初期装備を身につけ、丸腰で街まで帰った。

 宿に行ってボーパル達ときゃっきゃウフフしたかったところだが、またしてもお金が無かった為延期に。もうすぐ纏まったお金が手に入るのでそれまで我慢だな。


 では、おやすみなさい。


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 《運営インフォが2件届いています》


 おはようございます……現時刻は朝10時。ゲーム内では丁度夜だけども。


 リアさんもレン君もログインしてるな。

 とりまリアさんの所でフクロウの羽を売りたい所だけどその前に謎の運営インフォを確認するか。


 《アップデート情報》

 モンスターの首が折れた時に行動不能になる不具合を修正しました。


 あっ、これは完全に俺達の所為ですね分かります。やっぱりあの熊の行動不能は不具合だったんだな。

 おかしいと思った。完全にサンドバックと化していたからな。となるとラースベアーを同じ方法で倒すことは出来なくなる訳でやっぱり後99体封印は無理だな。うん。


 《イベント情報》

 エリアボス討伐を祝して、全プレイヤー参加型大型イベント第1弾。「第1回闘技大会」を開催します。

 詳細情報はFWOホームページをご確認ください。


 闘技大会!おら、わくわくすんぞ!詳細、詳細……


 開催日 7/23(日) 


 対戦形式 予選 出場者を8エリアに分けてのバトルロイヤル上位2名が本戦出場

 本戦 予選通過者16名によるトーナメント戦。本戦出場者には報酬有り。


 大会条件 ①出場者は7/22(土)午前10時までにエントリーを済ませていること。

 ②1つの筐体(ゲームハード)に記録されているデータの内出場者は1名まで。

 ③サモナーの召喚モンスターはプレイヤーと同等とみなすため、大会中の召喚魔法は使用不可。


 エントリー方法 メニューの開催中のイベントの項目から第一回闘技大会エントリーを選択。エントリーするキャラクターを選択してエントリーする。


 おいコラ待てや!召喚魔法使用不可ってどういうことじゃあああああああああああ!


 いや、分かるよ?他の人が1人で戦ってるのにサモナーだけチームで戦ってたら勝ち目無いってことだろ?

 だからって召喚魔法縛ったらサモナーなんてただの劣化マジックユーザーだろ!!勝ち目ねええええええええええ!!


 はぁ、当日は観戦かな……タクとかシルフとかは出るだろうし応援がんばるか……


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 《エントリーが完了しました。予選開始は7/23日の午後0時からになります。開始時間にログインしていない場合エントリーが無効になりますのでご注意ください》


 ……あえて何も言うまい。当日は応援がんばろう。


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「おはよーございまーす」


 昨日に比べて何だが人が少ない気がする街中を進んでリアさんの屋台へ向かうと、おいしそうな匂いが朝飯を食べていないお腹を締め付けてくる。

 休日だから朝食が無かったんだよなあ。カップラーメンでも食べるべきだったか


「あら、ユウくんおはよう。丁度いいところに来たわね。毛皮のお金も用意できてるしシチューも今出来た所よ」

「おお!本当ですか!」


 たしか午後6時って約束だったはずだけど、


「ふふ、ユウ君がお金無くて困っているみたいだからちょっと頑張っちゃったわ。それじゃあさっそく受け渡しするわね」


 リアさんがちょちょいと操作して交易のメニューを表示させる。

 俺から渡すのはウサギの毛皮と肉がいっぱい。リアさんから貰うのはウサギのシチューがいくつかとテント。それと沢山のお金。

 うん。シチューは後でボーパル達と食べよう。


「ウサギの素材を売ったタイミングが良かったわね。今はうさぎ狩りの影響でウサギの素材の値段が暴落しているから、今売りに出してもここまでの値段にはならないわねぇ……もっとも暴落の理由はあなたにあるからこれも必然なのかも知れないけれどもね」

「ははははははは」


 個人的には価格暴落させようとかっていう意識は無かったからそんな事言われてもなんて言えばいいか分からんのだけど……まぁ、高く買ってくれたのならそれに越したことは無いわな。


「あ、そうだ。服の耐久値を回復させたいんですけどどうすればいいんでしょう?」

「……服っていったらあの装備よね?布装備ならレン君の所に持っていくといいわ。あの子、木製武器と布装備のマジックユーザー系装備なら大抵のことは出来るから」


「へ~、杖だけじゃなくて、服も作れるなんてレン君すごいですね。ちょうど新しい杖も欲しかったのでこれから会いに行ってみます」

「レン君、昨日自分の工房を買ったのよ。今もそこにいると思うから場所送るわね」


「お、ありがとうございます」

「いいのよ。レン君によろしく伝えといてね?」


「はい、ありがとうございましたー」


 他のお客さんが来たようなのでそそくさとリアさんの所からお暇させてもらう。

 それにしてもレン君の工房か……どんなところだろう。今から楽しみだ。


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