239匹目 第二回闘技大会本選第一試合先鋒戦
おひさ~。テトメトだよっ!
3巻の作業が一段落ついた・・・ついた?うん。ついたって事にしたからこっちの更新再開するぜ!!
やっふー!なんか言いたい事色々考えてたけど忘れた!また後書きで!
「ホー!」
私の名前はミズキ。マスターから頂いた大切な名前です。
みんなで出場した大事な闘技大会の一番槍を、マスターとボーパル姉さんから託されたのです。ホワイト様には申し訳ありませんが、一方的に叩き潰させて頂きます。これが私達のやり方ですので。
『おおっと、ミズキ選手。試合開始と同時に天高く飛び上ったぜ!』
『お空を飛べるのはミズキちゃんの大きなアドバンテージだからね~。飛べる高さにも制限があるから注意してね!!』
「空を飛ぶ敵とは厄介ね。カウンターを当てればいいという訳でもないのでしょうし」
ホワイト様が剣を抜き放つと、明らかに鞘よりも長い刃がジャラジャラと出てきました。
剣を持っていたので、近接戦闘しか出来ない事を少しだけ期待したのですが・・・。難しそうですね。
『ホワイト選手が取り出したのは長剣・・・いや!?あれは蛇腹剣だぁぁぁぁ!!』
『うわぁ~!蛇腹剣って初めて見たよ~!かっこいい!』
「普段の得物と少し勝手が違うけど・・・十分対応できるレベルではあるわね」
ホワイト様が武器を振るうと、勢いよくしなった刃がステージの石畳を弾きました。
刃の付いたウィップの様な武器の様ですね。鞭の攻撃範囲は中距離が基本です。遠距離が得意な私との相性はまずまずと言ったところでしょうか。
『見た事ないのも当然だぜ。制御に高い器用値を要求されるから、今の段階ではドロップしないんだが・・・鍛冶で作る事は出来る。沢山の短剣を繋ぎ合わせて蛇腹剣を形作ってるみたいだな。短剣と長剣と鞭の3つのスキルを組み合わせて戦うみたいだぜ』
『ホワイト選手すっごい器用だね~!ステータスの器用値じゃなくって、本人が器用だよ。ほとんどリアルスキルなんでしょ?きっと凄い沢山修行したんだね~』
「それじゃぁ・・・胸を借りさせてもらうわッ!」
「ホー!」
アクションスキル<風刃鞭>
スキルチェイン<二連打ち>
ホワイト様の鞭が風を纏って私に迫ります。ですがその程度。姉さんにもリーン様にも遠く及びません。必然。彼女達と訓練を共にした私を捕らえるにも一歩足りませんね。
『ホワイト選手の蛇腹剣が唸りをあげてミズキ選手に迫る!が、当たらない!!』
『パッシブスキルで飛行速度を底上げしてるみたいだね~。地上だと避けにくい鞭の範囲攻撃も、空なら避けやすいよ~?』
「くッ、単発では厳しいわね!」
「ホー!」
二度宙を打ったホワイト様が、悔しそうに鞭を引き戻していきます。では、今度はこちらから攻めさせてもらいましょう!
マジックスキル<ストーンシャワー>
ダブルマジック<ストーンシャワー>
土魔法はリーン様に修行をつけてもらって新しく覚えました。影梟であるこの身では土魔法を覚えるのは苦労しましたが・・・。苦労して覚える価値がある魔法です。
『ここでミズキ選手の反撃だぜ!並列詠唱を使っての二倍ストーンシャワーがステージに降り注ぐぜ!!』
『並列詠唱で同じ魔法を二回使っても単純に威力が二倍にはならないけど、量は二倍になるからね~。弾幕系魔法で使うと効果的だよ!』
「この程度でやられてやる訳にはいかないわよ?」
アクションスキル<螺旋鞭>
やはり当たりはしませんか・・・しかしそれも計算の内です。
『しかしホワイト選手の蛇腹剣が渦を描き、降り注ぐ岩の雨を打ち落としまくる!!』
『ステージ全体に降り注いだ岩の雨の中で、ホワイト選手の周りだけが無事だね~。あとは岩のジャングルみたいになってるよ~』
マジックスキル<潜影>
アクションスキル<魔力隠蔽>
「なッ!姿が消えた・・・?」
土魔法は発動後も短時間のみ岩が残ります。つまりは、光源さえあるのならば私の任意の箇所に影を作り出す事が可能なのです。
『おおっと!?岩の雨が降り終わるとミズキ選手の姿が見当たらないぜ!?』
『ミズキちゃんは影梟だからね~。岩に隠れてステージに降りて影に潜んでいるのかもね~』
「ホー!」
「そこッ!」
マジックスキル<影分身>
アクションスキル<疾風打ち>
私が潜む影に繋がっている影の1つから、分身を飛ばすと即座に斬り飛ばされてしまいました。反応から命中までのタイムラグが短いですね。鞭とは中距離で相対すると面倒な武器です。
「分身とは・・・知り合いを思い出させる技を使うわね」
『岩の影から飛び出したミズキ選手を、ホワイト選手の蛇腹剣が串刺しにする!しかし、それは影で作られた偽物だ!』
『び、 ビックリしたぁ・・・心臓にわるいよぉ~・・・』
「ホー!」
マジックスキル<影縫い>
「くッ!次は影縫い!?本当にどこかのだれかを彷彿とさせてくれるッ!」
おや、こちらは効いてくれましたか。
死角から飛ばした私の羽根が、ホワイト様の影ををその場に縫い付けます。どうやら視界外の様子を察知できるスキルは持っていない様ですね。これは僥倖。直ぐに作戦を修正しましょう。
『出たぁ!影縫い!!影系統と言えば影縫いは外せないよな!!かっけぇぜ!!』
『岩の影から飛び出してきたミズキちゃんの羽根がホワイト選手の影に突き刺さって動きを縛ってるんだね!仲間が居れば抜いてもらう事もできるけど、一人だと大ピンチだよ~!』
「でもね。見覚えがあると言う事は、対策もちゃんと考えてあるのよッ!飛びなさいッ!」
アクションスキル<飛剣操術>
ふむ。影縫いからはあっさりと抜け出されてしまいましたか。私達と同じ闘技大会出場者だけあり、手札の数が多いですね。ですが、少しだけでも拘束できたのなら十分です。
『うぉっと、これまた制御が難しいスキルを繰り出したぁ!ホワイト選手の蛇腹剣から分離した短剣がホワイト選手の背後に突き刺ささり、短剣の刃で反射させた光で影縫いの羽根が刺さってる場所の影を消して影縫いから脱出した、だとぉ!?ホワイト選手スキル制御が上手すぎるぜ!?ヤバイな!!』
『・・・確かにもの凄い技術だけど、普通に短剣で影縫いの羽根を斬るのじゃダメだったのかなぁ・・・?』
「しかして、相手は影の中・・・これだけの影を1つ1つ確かめている暇なんてない。ならッ!」
マジックスキル<サンダーチャージ>
ダブルマジック<サンダーチャージ>
相手がこちらを見失っている間にこちらは力を溜めさせてもらいましょう。ですが、何故でしょう。嫌な予感がします。少し身構えていた方が良さそうですね。
『ミズキ選手ダブルでサンダーチャージを発動したぜ!サンダーチャージってのは、次に使う雷魔法の威力を上げる魔法だぜ!言わば充電だな!』
『ホワイト選手がミズキちゃんを見失ってる内に力を溜めてるんだね!ミズキちゃん賢い!ホワイト選手は早くミズキちゃんを見つけないと大変だよ~?』
「影を作っている岩山を全て吹き飛ばせばいいだけの事ッ!!」
奥義<ハリケーン†インパクト>
なっ!?なんて無理筋なごり押しを・・・。まだ第一試合の先鋒戦なのに、こちらの位置の割り出しのためだけに奥義を切ってきますか・・・。
『うおっ!?ホワイト選手いきなり奥義をぶっぱして力技で岩のジャングルをぶっ壊してみせたぜ!!ハリケーン†インパクトは自分の身体を中心に円を描く様に蛇腹剣を回転させ、全方位に衝撃波を放つスキルだぜ!攻撃範囲が広く、当たった対象を吹き飛ばす効果もある優秀なスキルだぜ!ただし味方の巻き込みには注意が必要だぜ!』
『あれ?ホワイト選手テクニックタイプかと思ってたけど意外と・・・』
「これで・・・追い詰めたッ!!」
スキルチェイン<跳躍>
マジックスキル<サンダーチャージ>
ダブルマジック<サンダーチャージ>
なるほど、必要とあらば一切躊躇わない覚悟こそが、ホワイト選手の強さなのですね。もっとも・・・。
『ホワイト選手が全部の岩を破壊して影を無くしたのに、ミズキ選手が見当たらないぞ!?これはいったいどういう事だぁー!』
『ステージの上に残された影は残り1つだけだね~』
「ハァァァァァァッッ!!」
スキルチェイン<迅雷無双>
マジックスキル<サンダーチャージ>
その強さは時によっては弱さとなりえますが。例えば今など。
『ホワイト選手の蛇腹剣が煌めき、自身の影をメッタメタに切り刻む!!しかし、そこにもミズキ選手はいなぁぁい!!』
『影梟の能力は影に潜れたりする影魔法が目立つけど、それだけじゃないからね~』
「居ない・・・!?バカな!ステージ上は全て吹き飛ばしたはず・・・まさかッ!」
『影が無いって言うのも、影梟の大きな特徴だよ~?』
「上か!?」
天を見上げるホワイト選手の視線と、地を見下ろす私の視線が交錯します。過剰なサンダーチャージでパチパチと帯電する私の姿は、気づきさえすればとても目立つ事でしょう。
奥義を含むスキルチェインなどと言う、スキル後硬直の大きい連撃を空撃ちした直後で、身動きが取れない体ではどうする事も出来ないでしょうが。
それでは参ります。今の私の全力。骨の髄までご堪能ください。
「ホー!」
「そんなッ!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
マジックスキル<サンダーピラー>
『ひっそりと上空でチャージし続けていたミズキ選手の雷魔法が発動だぁぁぁ!!天から極太の雷の柱が降ってくるぅぅぅ!!』
『ホワイト選手が影縫いで身動き取れなくなってる間に空に移動してたんだよ~。ミズキちゃん賢い!素敵!』
「かッ!はッ!」
おや、まだHPが残っている様ですね。ですが麻痺の状態異常にはかかっているご様子。ここは一思いにHPを削り切って差し上げましょう。
「ホー!」
マジックスキル<影武器生成>
ダブルマジック<サンダーボール>
『サンダーピラーをなんとか生き残ったホワイト選手だが、麻痺の状態異常を喰らってしまった!!繊細な制御を得意としているホワイト選手にこれはキツイぜ!!』
『思うように動けないホワイト選手にミズキちゃんの容赦ない追撃が刺さりまる~!影で作られた剣や槍がホワイト選手に殺到するよ~!なんとか避けたところには雷球だぁ~!エグイ!容赦ない!でもそんなミズキちゃんに痺れちゃう~!!』
「ホ~」
今度こそ終了。ホワイト選手の残っていたHPも無くなりました。私の勝ちですね。
『そこまでぇ!ホワイト選手のHPを削りきったぜぇ!』
『きゃぁ~!ミズキちゃんカッコイイ~!今回は終始ミズキちゃんのペースだったね!絡め手は決まると強いよ~』
「ふぅ・・・見事にやられたわ。あなた強いのね」
「ホ~」
試合が終わると、HPが0のままのホワイト様が普通に立ち上がりました。麻痺は消えているようです。
なるほど。この闘技大会中はこのような不可思議な状況になるのですね。HPが無くなっても消えないのならば、マスターも本気で戦えそうです。ふふっ。最近は「自分がやられるとみんなの負けになってしまうから」と、優しいマスターは戦いを遠慮されていましたからね。久しぶりのマスターの雄姿。楽しみですわ♪
『本選第一試合先鋒戦!勝者ミズキ選手!!おめっとさん!!』
『おつかれさま~!二人ともナイスファイトだったよ~。次の試合も期待できそうだね~!』




