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226匹目 ミヤヒナの人体実験

シンフォ〇アライブの2日目が当たった~!!

ひゃっふー!行ってくるぜぇ~!

 

「ここはリンゴよりもウサギでしょー!」「ここはウサギよりもキツネだよー!」

「キツネよりもリンゴの方が絶対合ってるよ!」


「えっと……まだ時間かかりそう?」

「きゅぃ~」

「ホー!」

「~~~♪」

「クルゥ~♪」


 リアさんのお店を出てレン君の工房にやってきた俺達は、レン君がミヤヒナと一緒に傘に付けるイラストを考えてる最中だったからここで待ってたんだが……一向に話が纏まらねぇ。というかさっきから同じ話が無限ループしてる。

 俺はお揃いでハムスターなレン君やミヤヒナが一か所に集まって会議してるのをニコニコ眺めてたんだけど、暇を持て余したティーニャが天井でゆっくり回転していた巨大扇風機的な物にじゃれつきに行き、初めて来た部屋に慣れ始めたクゥもふよふよと頼りなくとんで部屋の探検を始め、ミズキが今にも墜落しそうなクゥを心配して後をついてまわってる。

 暇な間はソファーに座っている俺の膝の上に乗ってるボーパルをなでなでして時間を潰していたんだが、ボーパルがお昼寝してしまったからそろそろ俺の相手をしてもらいたいな。ボーパルのお昼寝を邪魔するのも悪いしね。


「あっ、ごめんごめん。つい熱くなっちゃってたよ」

「ごめんね?」「ゆるしてね?」


 なんか傘っぽい物のイラストを囲んで「あーでもない」「こーでもない」「チューチュー」と言い合っていたレン君とミヤヒナが手を合わせて謝罪してきたけど、俺は別に怒ってるわけじゃないから大丈夫。ただ暇になっただけだからね。


「って、アレ!?ユウ君の服が変わってる!?」

「種族も変わってるよ?」「オオカミさんだね?」

「え、今更!?」

「きゅい~?」


 あ、大きな声だすからボーパルが起きちゃった……

 じゃなくって!俺レン君の家に入るときに挨拶したよね!?しかも10分ちょっとぐらい同じ部屋に居たし!何にも反応ないからレン君達生産職にとっては星空装備ぐらい普通なのかと思ってたよ……

 でもパッと見で俺がイヌじゃなくってオオカミだと気づくとは流石だなぁ。


「ふふん。生産職を舐めちゃダメだよ!」「ふふん。器用値特化を舐めちゃダメだよ!」


 むむ。俺だってもふもふの観察力なら負けないぞ!レン君がロボロフスキーでミヤヒナはジャンガリアンでしょ!

 ハムスターもちっちゃくてかわいいよな~。ロボやジャンガリアンはドワーフハムスターとも言われるから生産には向いてるかもな。

 まぁ、ドワーフハムスターの”ドワーフ”は小さいって意味だけどさ。


「観察力は大事だよね。という訳でその服もっと良く見せて!!」

「「見せてぇ~!!」」

「うぇい!?」

「きゅい!?」


 目がキュピンと光ったレン君達から嫌な予感を感じて逃げ出そうとしたが、ソファーから起き上がった時点で目の前まで接近され、そのままソファーへと押し倒されてしまった。


「ふぉぉぉぉ!すっごくかわいいよ!」「ふわぁぁぁぁ!すっごくセクシーだね!」

「何この生地!?シルクみたいにすべすべで気持ちいい!すごい!欲しい!」

「ちょっ!くすぐったいってば!指を這わせないで!!あとレン君!あげないからね!あげても使えないし!!」

「きゅい~」


 星空のドレスは俺専用装備だからな。まぁ、専用装備じゃなくてもあげないけど。


「クルゥ!クルルゥ!」


 スカートの二重生地の手触りを確かめたり、ついでにボーパルをもふったり、すけすけ手袋のあみあみに指を突っ込んだり、オマケでボーパルをもふったり、トランプのマークの刻印の写しを取ったり、これでもかとボーパルをもふったりしているレン君達が職人の目をしていたので何を言っても無駄だろうと判断して好きにさせてると、扇風機モドキに乗って回転するティーニャを追いかけて遊んでいたクゥが突っ込んできた。


「クルルルゥ!クルゥ!!」

「わぁかわいいね!鳥かな?」「わぁもふもふだ!猫かな?」

「ちっちゃくてかわいいけどグリフォンみたいだよ。遊んで欲しいのかな?」


 俺の上へと着地したクゥが足を踏ん張って俺の服へと手を伸ばすレン君達の手を押し返そうとしているが、筋力が全く足りずに逆に「お手!」「おかわり!」と叫んで手を出したミヤヒナに強制的に手を握られて肉球をぷにぷにされてる。


「クゥおいで」

「クルゥ~!」


 両手をミヤヒナに掴まれて困った顔でチラチラ俺を見ていたクゥを救出して既に定位置となりかけている俺の肩へと乗せた。

 しばらくウロウロと丁度良い場所を探していたクゥだが、やがてペタンと肩の上に腰を降ろすと自分の物だとアピールするみたいに俺の頭にスリスリと顔をこすりつけてきた。

 まったくかわいいやつめ~。よしよし。心配しなくても俺はレン君達の物になったりはしないから大丈夫だぞ~。


「フられちゃったね?」「フられちゃったよ?」

「あはは。クゥちゃんはユウ君の事が大好きなんだね~」

「クルゥ!」


 もちろん!とばかりに胸を張るクゥにほほえま~って顔をするレン君達3人と俺。

 クゥがやきもちを妬いているのを見ているのもかわいいくて好きだが、ここは本題に入るとしましょうかね。


「今日レン君のところに来たのは新しい杖を作ってもらおうと思ってさ。材料はこいつでお願いね」

「きゅい!」


 ストレージから取り出した聖魔霊樹の枝(ヤドリギ付き)を「はい」とレン君に手渡した。

 正式なトレードをしたわけじゃ無いから所有権は俺のままだけど、素材の確認には十分だろう。


「へぇ~。なかなか珍しい枝だ、ねッ!?」

「れ、レア度8だよミヤ……」「か、加工難易度上昇だってよヒナ……」


 聖魔霊樹の枝を受け取ったレン君と、そのレン君の手元を後ろから覗き込んでいたミヤヒナがプルプルと震えている。

 流石のレン君達でも聖魔霊樹の枝の加工は難しかったのかな……?


「ボクに任せてよ!!今すぐ加工に取り掛かるよ!」

「ヒナにも手伝わせて!」「ミヤにも協力させて!」

「~~~!」


 しかし、プルプルと武者震いをしていたのもつかの間。絶対に放さないとばかりにレン君が聖魔霊樹の枝を抱きしめて、そのレン君ごとミヤヒナが抱き着いてる。ついでに何故かティーニャも。

 でも良かったわ~。レン君達に断られたらどうしようかと。


「と、言いたいところなんだけど……」

「すっごく忙しいんだよ~」「まったく時間が無いんだよ~」


「忙しくて目が回る~♪」とクルクル回って踊るミヤヒナとティーニャ。

 それ目が回ってるのは絶対忙しいからじゃないよね?実は結構余裕あるんじゃ……


「いやいや、流石にこのレベルの木材を加工するのにはそれなりの時間がかかるんだよ。

 闘技大会が終わった後ならいくらでも時間を取れるんだけど……」

「えぇ~……」


 まぁ、最悪それでもいいけどさぁ。どうせなら闘技大会で使いたかったなぁ……


 あと、顔の前で指をクルクル回されたティーニャのおめめが渦巻きになっるんだけど、ティーニャはトンボだったのかな?目を回して墜落しないようにね?


「予定がミチミチなんだよ~……ちらっ」「用事がギチギチなんだよ~……ちらっ」

「誰かが手伝ってくれれば時間が空くのにねぇ~……ちらちらっ」


「あ~はいはい。俺に出来る事なら手伝うよ~」

「きゅいきゅい!!」


 わざわざ顔を背けてから俺の顔をチラチラ見つつ、口で「ちらちらちらっ!」って言ってたレン君とミヤヒナが、俺から欲しい言葉を引き出せたからかハイタッチしてる。

 まったく、いつの間に打ち合わせしたのかね?即興でやったとしたらめっちゃ仲良いなぁ3人共。


 ……まさか最初から俺を嵌めようと企んでたりしてないよね?


「てへっ♪」「ぺろっ♪」

「えへっ♪」


 ちょっとジト目で眺めてみたらすぐさま愛嬌アピールで誤魔化してきた。

 それ殆ど自白だよね?まぁ、いいけどさ……


「で?俺に何をして欲しいって?」


「傘のイラストのモデルに使わせて~!」「わんたん効果で売り上げ倍増~!」


 ワンタン?中華料理?なんかよく分かんないけどボーパル達をイラストに使いたい気持ちは分かる。絶対かわいい傘になるもん。これは爆売れ間違い無しだな!


 ……あれ?爆売れしたら杖作る時間なくなるんじゃね?ダメじゃん。


「約束は守るよ!」「契約は大事だよ!」


 キリっとした顔で両手で敬礼をしながら宣言されてしまった。

 キリっとしてるんなら大丈夫だな。というか杖を作るメインはレン君だろうしね。レン君も俺に何か交換条件があるのかな?


「いや、交換条件はデザイン料だけで十二分なんだけど……

 う~ん。ユウ君って友達(フレンド)いっぱいいる?」

「……それは俺に喧嘩を売ってるのかな?かな?」


 ど~せ俺のフレンドなんで6人しか居ませんよーだ!

 レン君とミヤヒナを除けばリアさんとシルフとタクで終わりだわ!悪かったな!


「きゅい~」

「クルゥ~」


 うぅ。ボーパルとクゥは優しいなぁ。友達が少なくても2人が居れば寂しく無いよ~。ありがとう~。


 ……それはそれとして、売られた喧嘩は高値で買うのが我が家の流儀だ。利子を付けまくって叩き返しちゃる!物理でな!


「喧嘩は売ってないからボクの家で暴れるのは止めてね!?ネタで付けた防犯トラップの数々が誤作動しちゃうから!!

 ……じゃなくって!えっと順番に説明するとボク達も今度の闘技大会に生産職連盟として出ようと思ってるんだけど、人数が足りないから誰か作って戦える生産職に知り合いが居ないかな~と思ってね」

「ロマン武器の試し撃ちするの!」「ネタ武器の人体実験するの!」


 人体実験やめーや。

 まぁ、でも言いたいことは分かった。だからと言って協力できるわけじゃないが。

 生産職のプレイヤーの知り合いなんてレン君かミヤヒナかリアさんぐらいで……それ以外であと2人?絶対レン君達の方が知り合い多いと思うよ?

 そもそもこの街で俺がまともに話したことがある人なんて他には……あっ。


「いや、それはさすがに……あれ?レン君レン君。次の闘技大会のエントリー方法ってどんなのだったっけ?」

「え?えーと……闘技大会に出場するメンバーでパーティーを組んで、誰か代表が申請すればエントリー完了だったと思うけど……」


 ……あれ?いけそうじゃね?ボーパル達でも無事にエントリー出来たもんな。うん。なんかいける気がしてきた。


「ちょこっと心当たりがあるからあたってみる。あんまり期待せずに待っててよ」

「杖の方はまっかせて!超特急で面白く仕上げるよ!」

「素敵に愉快に作っちゃうよ!」「強く楽しく鍛えちゃうよ!」


 ……どうにもひと言余計なのが不安なんだよなぁ。

 まぁ、腕は確かだしネタに走ったとしてもそれはそれで強い装備はできそうだからいいんだけどね……


 えっと。大丈夫だよね?頼んだからね?ね?

もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。

VRMMOでサモナー始めましたの1巻が1月10日に発売予定!お楽しみに!


凄惨職組がネタ装備の人体実験に乗り出すそうですよ・・・そしてさらっとリアさんまで。闘技大会のカオス度がまた上がってしまう・・・

じゃあ次ぐらいに掲示板挟むよ~。よろしく~。

あと、クゥかわいい。

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