224匹目 ベビーグリフォン召喚
「俺がママって……いや、別に害がある訳じゃないしいいんだけどさ」
リーンちゃんに「お前がママなんだよ」って言われたけども、だからと言ってどうという事は無いので置いておこう。
それよりも気になる事があるしな。
「ねぇ、リーンちゃん。折角枝を分けて貰った直後に言うのも何なんだけどさ。このヤドリギの種も使いたいんだよね……」
「むむ?ちょっと貸してみるのじゃ!」
完全にタイミングを逃しちゃったヤドリギの種をリーンちゃんに見せると、聖魔霊樹の枝と一緒に取り上げられちゃった。
聖魔霊樹の方へと近づいたリーンちゃんが、幹からニョキって生えてきたドリアード的な子と何か話してるけどよく聞こえないから聞く必要も無いんだろう。
そんな事よりもイナリ構って~!やっぱり1日の始まりはもふもふしないとね。1日の計はもふもふにありとも言うし!
言わない?だとしても、もふるから問題なし!むしろ一日中もふもふだけでもいいのよ?引きこもりだ!部屋に引きこもってゲームして、ゲーム内でも引きこもりだ!筋金入りだな?
「出来たのじゃ~!」
「「「~~~!!」」」
イナリのしっぽを賭けてフェアリー達とくすぐり合戦を行い、圧倒的物量で全身に群がるフェアリーをカウンターで迎え撃つために奥義を使用してボーパルと共鳴する直前に、リーンちゃんがあげたどこかの錬金術師みたいな声が割って入った。
ちっ。命拾いしたな。だが、次こそは勝つ!もふもふには譲歩しない、これは国際常識だ!
「「「~~~!」」」
「で、リーンちゃんどんな感じになった~?」
「また遊ぼうね~!」と手を振るフェアリー達にバイバイしてリーンちゃんの所に戻ってきた。
フェアリー達の遊びは常に全力だから大変だわ……これはウィアナちゃんもかなり苦労してそうだなぁ。次はお小遣いアップしておこうっと。
「うむ!バッチリなのじゃ!」
「「「~~~~!」」」
「お~!」
リーンちゃんが差し出した聖魔霊樹の枝には、さっきまで無かった蔦がヘビの様に螺旋状に巻き付いていた。
この蔦がヤドリギなのかな?って、あれ?枝にヤドリギを植えたの?本体に植えなくて大丈夫?
「むしろ種でしかないヤドリギが自力で精霊樹に寄生するのは余程弱ってなければ無理なのじゃ。精霊樹は葉の一枚一枚にまで生命と精霊が宿っておるからのう。そもそも根が張れずに枯れゆくのじゃ」
「ダメじゃん!」
それってたぶんエルダートレントも同じだよね?それどころか高位の樹木全てに共通してるかも!
どうりでウツロおばあちゃんが簡単にくれたワケダ。
実はちょこっと不思議だったんだよ。報酬として渡せるリソースの殆どを星空のドレスに使っちゃって途方に暮れていた割には武器の強化アイテムなんていう超強いアイテムをくれたな~って。
さては俺が枯らす前提で渡したな?ヤドリギの種が芽吹けない強い木に植える様に誘導していた気もするし。ウツロおばあちゃん汚い!女狐だ!狼なのに女狐だ!なにそれもふもふしてそう!素敵!
「安心するのじゃ!自力で寄生するのは確かに無理じゃが、精霊樹が協力してくれるのならば話は別なのじゃ!
ユウが使うこの枝だけお願いして寄生させてもらったのじゃ!ついでにわらわとドリアードの魔法で成長もさせておいたからこれでいつでも杖の材料として使えるのじゃ!
あ、もちろん成長に必要な養分はドリアードの魔力で代替したのじゃ。依り代である精霊樹の枝の力は殆ど喰らっておらぬからそっちも心配いらないのじゃ!」
「「「~~~!」」」
そう言ってドヤ顔をするリーンちゃんとドリアード達。
至れり尽くせりか!ありがとう!
そしてさらりと聞き捨てならない言葉が……そっかぁ~。ヤドリギだもんねぇ。宿主から養分を吸いとるのは当然だよねぇ~。
……つまりなんだ?ヤドリギの種は本来、強い木には寄生出来ず、弱い木に寄生したら木の持つ力を喰らっちゃう、と。
使いづらいわ!!そりゃウツロおばあちゃんもポンと渡すよ!殆ど在庫処分じゃん!
今度ウツロおばあちゃんに会ったら文句言っちゃる!いや、この完璧な枝で作った杖を眼前に突き付けてビックリさせてやろう!ハッハッハー!報酬をあげすぎだと運営に怒られるといいわ!
「ありがとうな~みんな。すっごい助かっちゃった」
「のじゃ~!」
「「「~~~♪」」」
ドヤ顔をしたままチラチラと物欲しげな目で見てくるリーンちゃんとドリアード達1人1人に頭なでなでしながらお礼を言って回る。
ウツロおばあちゃんがどういうつもりだったのかは良く分かんないが、結果的にリーンちゃん達のおかげで最善の結果になれたしな。お礼は大事。
あ、もちろん聖魔霊樹も忘れてないよ?お礼のお水おかわりとなでなで~。うん。今回のわさわさは何か分かるぞ?嬉しいんでしょ?意外とかわいいな~この木。今度ウィアナちゃんにお世話手伝わせてもらおうっと。
「さて、これでヤドリギ関係は終了っと。それじゃあフェアリーガーデンでのメインイベントと行きますか!」
「のじゃ?なにかするのじゃ?」
「きゅい~」
「ホー!」
「コーン?」
「「「「~~~?」」」」
ふっふっふ~。なんか予想の3倍ぐらい時間かかってるけど、本来ヤドリギの種は前座でしかないのだ。というか思い付きだね。フェアリーガーデンに来たらでっかい木が生えてたからついでにやっただけ。本来フェアリーガーデンに。というか、ホームに帰ってきた理由はあの子との約束を果たす為だ。
丁度みんな集まってきた事だし、いっちょやりますか!
『サモン・モンスター』
『サモン・ベビーグリフォン』
《 》 ベビーグリフォン
Lv1
体力10
筋力5
敏捷15
器用10
魔力15
精神10
スキル
飛行 爪撃 風魔法
「クルルゥ!」
「久しぶり~!元気だった?」
召喚したと同時に俺の胸へと飛び込んできて「クルゥ♪」と上機嫌に顔を擦り付けてくるこの子は、風の聖獣であるエルダーグリフォンの眷属であるベビーグリフォンだ。
家に帰ったら召喚するって約束だったからな。正確にはまだ家には入ってないけども、家の敷地内には入ったし同じようなものだろう。
「お前の名前はクゥ。空の羽と書いて空羽だ。よろしくなクゥ」
「クルゥ♪」
クゥ ベビーグリフォン
Lv1
体力10
筋力5
敏捷15
器用10
魔力15
精神10
スキル
飛行 爪撃 風魔法
やっぱり2文字の名前ってかわいいよな~。まぁ、クゥにはこれから俺を乗せて飛べるほどおっきくなってもらわなきゃいけないんだけどな。でも、あえてかわいい名前を付けるのもいいだろう?クゥちゃんマジかわゆす!
「新しい家族なのじゃ!わらわはリーンなのじゃ!よろしくなのじゃ!」
「きゅい!きゅいきゅい!」
「ホー!」
「コーン!!」
「「「「「~~~~~!!!」」」」」
「クルゥ!」
次から次へと挨拶に来るフェアリーガーデンの住人達に、ちっちゃな羽根を一生懸命パタパタさせてふらふらと滞空しているクゥが、それでも元気に挨拶を返してる。
あ~んもぅ!ちっちゃくて健気で一生懸命でかわいい!!ウェヒヒ。この後は街に行く予定だったけど、ちょっとぐらいなら遊んで行ってもいいよね?むしろクゥの歓迎会で盛大に遊ぶべきだよね!
よし!大義名分発見!みんなで遊ぶぞぉ!わ~い!!
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。
VRMMOでサモナー始めましたの1巻が1月10日に発売予定!お楽しみに!
ヤドリギの種に仕込まれた罠をあっさり回避していくスタイル・・・そりゃ、ただの種が聖魔霊樹に勝てる訳が無いし、たぶん植えてもウィアナちゃんにむぎゅって踏まれてグリグリされて終わっちゃうよ。寄生ダメ。普通は。
そして本人が居ない時にばかり評価が上がるウィアナちゃん・・・もう裏方に徹した方が給料上がるんじゃないかな?縁の下の力持ちだね(違)
ベビーグリフォンちゃんの名前はクゥちゃんに決まりました~!
・・・正直鳴き声につられた感はある。でもかわいいから良し。きっと人化したら口癖はハムだね。いや、この小説ではモンスター達は人化したり人の言葉を喋ったりはしないけども。これだけは絶対って決めてるからね。喋るのはNPCか、絶対に仲間にならないイベントモンスターだけ。外伝だとまた別だけども。
それでは今回はこの辺で。次回こそ街に行って波乱を巻き起こすはず!たぶん!
 




