21匹目 ボーパルのクラスチェンジ①
《野犬の封印率が100%になりました》
《野犬が封印完了しました》
《スキル:召喚魔法がレベルアップしました》
違うお前らじゃない。
なんでまだ夜時間なのに野犬ばっかりでるんだよ!猫を出せ!ニャンコを我に!
「「「ホー!」」」
「お前らでもねえええええええええええ!!」
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「……落着け俺。クールになれよ。森の表層にはフクロウしか出ないことは分かっているんだ。つまニャンコが居るのはは森の奥だ。もっと奥へ……奥へ向かわないと……」
「きゅい……」
「ホー……」
散開していたはずのボーパルとミズキが何故か近くにいるが丁度いい。ここらの散策はやめて一気に森の奥を目指す。
奥へ……もっと奥へ……
「「「「ガアアアアアアアアア!!」」」」
モンスター 野犬 Lv8
状態 アクティブ
「邪魔を……」
木陰から飛び出してきた野犬共のうち俺のほうに来た一体を、直前に察知していた俺は口内へと手にする杖を突き出して止める。
「するなぁあああああああああああ!!」
「きゅいぃ!」
「ホー!ホー!」
そのまま更に口に刺した杖を捻り込みながらぶん回し、もう一体の野犬にぶつけて牽制する。
ボーパルは地を這うように飛び出し、飛び掛る野犬の下へと入り込むと地面を踏み切り跳躍し空中で反転。両足揃えての真上へのドロップキックを野犬の土手っ腹に食らわせ、更に反転し地面に着地。もう一度踏み切りドロップキックの衝撃で重力に逆らい滞空している野犬を真横に蹴り抜いた。
ミズキは最初の不意打ちを回避して以降、野犬共の攻撃の届かない上空を旋回しながら鳴き続けており、野犬共もしきりに目線や耳を上空のミズキへと向けており迂闊な攻撃ができないようで数が多いのに攻めあぐねている。
「時間が惜しい。全員いっぺんにかかって来い!5分で片付けてやる!」
「きゅい!」
「ホー!」
「「「「ガアアアアアアアアアアアア!!」」」」
果たして俺の言葉が理解できたのか否か、野犬共が一斉に地を駆けて来る。飛び掛りはしないらしい。威力が出る代わりに来ると分かっていれば回避も反撃もやりやすいからな。
「うおおおおおおおおおお!!」
「きゅいーーーーーー!」
「ホーーーーーーー!」
そんな野犬の攻撃を律儀に待っててやる理由も無い。俺達も一気に野犬へと駆け寄り、杖を、脚を、嘴を振りかぶった……
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「ぜー……、ぜー……、ぜー……」
「きゅ、きゅい~」
「ホ……ゥ……」
5分後、野犬は全滅し俺達は勝った。……陽は昇ってしまったが。
俺のバカ!5分じゃ無くて3分で片付けなくちゃダメだろう!それなら間に合ったのにぃ!
……にしても今回の野犬共は他のよりもかなり強かった気がする。死んでこそいないものの全員少なくないダメージを負ったし、やっぱ奥地に来たから敵も強くなってきているのか?
《召喚モンスター:ボーパルがレベルアップしました任意のステータスを上昇してください》
ん、了解。
ボーパル ウサギ
Lv9 → 10
体力 10
筋力 12 → 13
敏捷 18
器用 12
魔力 4
精神 7
スキル
索敵 気配察知 跳躍 ダッシュ
《召喚モンスター:ボーパルがクラスチェンジ条件を満たしました。クラスチェンジ先を選択してください》
《クラスチェンジ候補:大兎
蹴りウサギ》
《大兎
耐久力の低さを補うために大型化した兎。
素早さを犠牲にする代わりに体力と耐久力が大幅に上昇した。
重量を生かした体当たりやのしかかりが得意だが小回りが利きにくくなった。
地上で活動し、主な攻撃手段は体当たり、のしかかり等》
《蹴りウサギ
速度と攻撃力に特化した兎。
見た目はウサギと殆ど変わらないが強化された脚から繰り出される蹴りは岩をも砕く威力がある。
地上で活動し、主な攻撃手段は体当たり、蹴り等》
なん……だと……
え?なに?クラスチェンジ?
え?進化みたいなもんか?ボーパルが進化……候補は大兎と蹴りウサギ。
むむむ、これは難題だ。大兎は大型化した兎……つまり抱き心地がさらに上がるわけだ!それにサイズによってはもしかしたら……上に乗って走ったりとか出来ちゃったりするんだろうか!?
でもでも、蹴りウサギは今のボーパルと殆ど見た目が変わらない。つまり今のちっちゃ可愛い姿のボーパルのままって訳だろ?これも非常に捨てがたい……うーん。どうしたもんかなぁ……。
ボーパル ウサギ → 蹴りウサギ
Lv10
体力 10
筋力 13 → 16
敏捷 18 → 20
器用 12
魔力 4
精神 7
スキル
索敵 気配察知 跳躍 ダッシュ 蹴り(NEW) 溜め蹴り(NEW)
《召喚モンスター:ボーパルが蹴りウサギにクラスチェンジしました》
「きゅい?」
ボーパルハ ケリウサギニ シンカシタ
やっぱり俺の中のボーパルはちっちゃ可愛いで登録されているからな。大型化したボーパルにむぎゅぅ~っと抱きつくのも魅力的だがやっぱり蹴りウサギにした。
さて、無事クラスチェンジいたボーパルはというと、見た目はウサギと殆ど変わらない……いや、後ろ脚がちょっと逞しくなったかな?
ステータス的には大分強くなってるのは分かるけど、どれぐらい強くなったのかちょっと戦って確かめてみたいな。
さて、近くに敵はっと……んー、一体いるな。ちょっと行って戦ってみようか。
「きゅい!きゅいい!!」
「ホー!ホー!!」
敵の反応がある方に歩いていくと、クラスチェンジしたばっかりのボーパルが俺の足に纏わりついてきて、ミズキも襟を咥えて引っ張ってくる。
かまって欲しいのかな?かわいい奴め。でも、もうちょっと待っててな。街まで戻ったらいくらでもかまってあげるから。
とりあえず今は、もう目の前まで迫ったこのモンスターを、倒す事に、集中……しない……と……
モンスター エリアボス ラースベアー Lv20
状態 アクティブ
「ぎ、ぎにゃああああああああああああああああああああああああ!!!???」
草木を掻き分け俺達の前に現れたのは赤く巨大な熊だった。
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