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217匹目 輪廻合成

更新が止まるとはいったいなんだったのか・・・

なんだろう。止まるとか遅れるって言ってる方が更新速度が上がってる気がする・・・

き、気のせいだよね!

 

「お、戻ってきたの」

「おうじしゃまぁぁぁぁあああああ!!」


「うぇ!?なに!?敵襲!?」


 種族変更を終えてゲームに復帰した途端に押し倒されてマウント取られたんだけど何事!?襲撃!?

 ……と思ったらアリスか。

 床に押し倒された俺の上に同じ様に倒れこんだアリスが俺の胸に顔を押し付けてえぐえぐしてる。

 この時点でアリスから事情を聞きだす事を諦めて、隣でもらい泣きしたのか瞳を潤ませているクレアに何があったのか聞くと、クレア達視点だと突如発光した俺が消滅して、その事に動揺したアリスが王子様に見捨てられたと怯えだし、ちゃんと戻ってきた俺に感極まって押し倒した、と。

 迷子になった子供か!いや、アリスは子供だけども。俺はアリスの保護者になった覚えは無いんだけどなぁ……


「もぅっ!あ、あたしはともかくアリスが心配するのよ!消えるなら消えるって言いなさい!」

「いや、使ったら消えるなんて知らなかったし……」


「王子様は、わたくしと、ずっと一緒にいないと、ダメ、なのですわぁ……」

「いやぁ、ずっとは無理かなぁ……何も言わずに居なくなるのはもうしないから許して下さい」


 無茶振りする2人をなんとか宥めつつ、上に乗っているアリスを抱えて立ち上がった。

 なんかもう、手を離した瞬間どっかに飛んでいくんじゃないかと危惧している様で、アリスが全力でひっつき虫になっているんだけど……いくら俺でもそんなに何回も消滅したりしないよ?クレアも俺のワンピースを摘んでなくてもいいんだからね?まぁ、摘んでてもいいけどさぁ……


「ほぅ……?なにやら面白いことになっておるのう?」

「うん。ばっちりクレアと同じ種族になってきたよ」


 目を細めて愉快そうに口角を釣り上げるウツロおばあちゃんにVサインを返す。

 これでアリスの涙を止める事が出来る……ってその過程でアリスを更に泣かせてるから本末転倒な気が……き、気のせい気のせい。いまから挽回すればセーフ!


「ほら、アリスも泣き止んで。これでアリスに貰ったドレスを着る事が出来る。アリスのしたことは無駄なんかじゃなかった。アリスは絶対にダメな子なんかじゃない。きちんとお礼が出来る偉い子なんだって、笑って言えるだろう?」

「お、おぅじしゃま……わた、わたくしのため、に……?」


 まだちょっとぷるぷるしていたマナーモードのアリスの頭をぽんぽんして言うと、大きな瞳に涙を称えたアリスが更に目を見開いて俺の顔を見上げた。もう、そのまま下向いたら目が落ちちゃうんじゃないかってぐらいだ。

 もちろん俺はそんなスプラッターは求めてないから、慌ててアリスの小さな顎に指を添えて下を向かない様に支える。ふぅ。これで一安心。いや、流石にそんなR18も真っ青な展開にはならないとは思うけども、このゲームって意外と油断ならないからね。避けれる事は避けていかないと。


「まぁ、ね。アリスには泣いてるよりも笑っていて欲しいから。それに……」

「――――――」


 アリスのおめめ墜落事件を未然に防げてニンマリと笑いながらそう言うと、アリスがビックリしたように更に目を見開いてしまった。

 おっと、危ない危ない。かなり怪しい人になる所だった。


「それに……アリスとのペアルック。俺も楽しみにしてたんだよ?」

「うきゅぅっ!」


 ニヤニヤしてたのを誤魔化す様ににっこりと微笑んでアリスに笑いかけてみたら、何故か電流が走ったみたいにビクンビクンしたアリスが、急にくたっと全身の力を抜いて気絶してしまった。

 え?あれ?アリス?アリスぅー!!なんで!?俺の作り笑いは気絶するほどヤバかったの!?殺人級の笑顔(物理)とかなんの自慢にもならねぇよ!くそぅ……この笑顔は封印だな。今度鏡見て笑顔の練習しておこう。そうしよう。


「むぅ……」

「クレアよ。ぬしは行かなくていいのかえ?」


「は、ハァ?あ、あたしは別に……羨ましくなんかないし。あいつの事なんてどうでもいいもの。だってあたしは……アリスみたいにかわいくないから……」

「やれやれ。春はまだまだ遠そうじゃのう……」


 クレアとウツロおばあちゃんが何か話してるのを聞き流しつつ、部屋の隅っこに積んであった座布団で即席のベットを作って気を失ったアリスを寝かせる……って、2人共手伝ってよ!特にクレア!親友じゃなかったの!?


「さて、色々あって中断されたがぬしへと褒美を渡さねばの」

「んん?報酬はアリスのドレスじゃなかったの?」


 アリスがダウンしたことで落ち着きを取り戻した部屋で、ウツロおばあちゃんがどこかから取り出したお茶をありがたくすすって一服。

 ふぅ。緑茶はやっぱり淹れたてが一番だよな。冷たい緑茶は邪道。

 ……まぁ、暑い日には考えが変わる事もしばしばだけど。


「阿呆。それは風の巫女がぬしへと送った礼であろう。それをわっちからの褒美だなどと言うては賢老の名折れじゃ」

「ふ~ん。そんなもんかね?」


 まぁ、俺としては報酬が増えるのなら万々歳だからいいんだけどね。


「そんなもんじゃ。とりあえずぬしには蔵から杖を1振りやろう。好きなのを持っていくがよい。なんならわっちが選別してやっても良いぞ?玉石入り混じっておるからのう」

「じゃあ、お願いします」


 クレアのお家の蔵の探検もいいけど、ウツロおばあちゃんがわざわざ口に出すぐらいだからなぁ……相当カオスな状況になっているとみた。なんかこう……次元の魔女や茨の魔法使いの倉庫みたいな感じ。ウツロおばあちゃんって雰囲気的にそっちの同類っぽくね?


「うむ。では選別している間にもう1つの褒美を済ませてしまおうかの。ぬしよ。風の巫女に貰った衣を出してくりゃれ?」

「ん?りょーかい」


 なにやらよく分かんないけど、言われた通りにアリスに貰ったドレスを取り出して、机に置いた。

 あいかわらずピンクピンクしてんな~と、取り出したドレスを見てると、ウツロおばあちゃんが「小物も全部だしんす」って言うので、手袋や靴も並べてみた。


「やはりの。こやつらにはまだまだ内に秘めた力がありんす。わっちが仕上げをすればそれらを引き出す事も出来るが……どうするかや?」


 ウツロおばあちゃんがにやりと笑って俺に聞いてくるけど、それ断るって選択肢最初から無いじゃないですかー。やだー。


「くふっ。ではぬしの髪を少しばかり分けてくりゃれ?なに、他に必要なクレアと風の巫女の髪はぬしがどこかへ行っておる間に準備しておるからの。準備に時間は取らせぬよ」

「やっぱり選択肢なんて最初から無かったんじゃん……」


 ”いいえ”を選んでも戻されて最終的に”はい”しか選べなくなるアレでしょ?俺知ってるんだからね。


「悪い様にはせぬから安心してくりゃれ?」

「そこはあんまり心配してないんだけどな」


 クレアのおばあちゃんでレベル100の現人神。

 ウツロおばあちゃんが仕上げをした服がどうなるのかの方が気になるな。折角種族まで変えたんだし、キツネさん装備を越える性能の防具が欲しいんだが……

 まぁ、そこは大丈夫だろうと信じてるよ?本当だよ?ネタに走りすぎた結果メチャクチャ尖った装備になって逆に使いづらくなる未来とか幻視してないからね?ホントホント……信じてるよ?


「では始めるかや」


 俺の心配(しんらい)を他所に、ウツロおばあちゃんに借りた短刀で1房切り取った俺の髪を受け取ったウツロおばあちゃんが仕上げとやらを開始すると、アリスのドレス一式と、俺とクレアとアリスの髪がふわふわと宙を舞いだした。練成空間かな?

 ……本来切れるはずが無く、部位欠損し(切れ)ても直ぐにポリゴンに消えるはずの俺の髪が目の前でふわふわ浮いている事は突っ込まないほうがいいんだろうか……

 う、うん。イベントの都合や大人の都合って事で納得しておこう。そうしよう。


「”月”と”氷”を司る銀の”髪”」

「”星”と”風”を司る金の”髪”」

「”夜”と”闇”を司る黒の”髪”」


 ウツロおばあちゃんが髪の特徴を上げるたびに、それぞれの髪がポゥ……と淡い光を纏っていく。

 おぉ~。きれ~。

 なんとなく口を開くのが無粋な雰囲気なので心の中でだけ感嘆の声をあげる。これは期待できそうな気がするぞ?

 なんだか気絶してるアリスがかわいそうになってきた。起こしてあげようかな?


「それぞれの力をわっち……ウツロの”(うつろ)”と”(うつろ)”を司る現人”神”の力で纏める」


 ウツロおばあちゃんが宣言するようにそう言うと、風も無いのにウツロおばあちゃんの髪がふわりと広がり……直後。思わず身を引いてしまうほどのプレッシャーが駆け抜けた。

 お、おぉぅ。すげぇなぁ。座ってたから上半身を後ろに引くぐらいで済んだが、立ってたらひっくり返ってたかもしれない……クレアみたいに。

 いや、あまりに幻想てきな光に思わず腰を上げていたクレアが思いっきりひっくり返ってるんだよ。スカート全捲りで。

 でも大丈夫。あまりのプレッシャーにクレアの犬しっぽがクルンと丸まっててパンツを完璧ガードしてるからね!なにそれ逆にエロくない?ウツロおばあちゃんのプレッシャーが凄くて見る余裕が全くないけどね。

 なんだか気絶してるアリスが羨ましくなってきた。起こしてあげようかな?


「基礎は黒。何者をも受け入れ何者にも揺るがない混沌の象徴。そこを虚ろで区切り、金と銀を満たす」


 ウツロおばあちゃんのプレッシャーに押される様に、ふわふわと宙を漂っていた髪達がアリスのドレスへと押し込められ、ドレスの色が、形が変質していく。


「賢老の名のもとにウツロが命ずるッ!器に刻まれし四種の絵柄(♣♢♠♡)よ。わっちを受け入れ、新たな刻印として生まれ変われッ!『輪廻合成』ッッ!!」

「きゃっ!」


 パンッ!とウツロおばあちゃんが手を打つ音が響くと共に、漆黒の閃光が部屋を満たした。

 閃光は直ぐに収まり、視界が戻った部屋の中央には……輝く星空のドレスが浮かんでいた。


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。

VRMMOでサモナー始めましたの1巻が・・・じきに発売予定!お楽しみに!


ウツロおばあちゃん自重してぇ!

ユウ以外のプレイヤーが到達出来ていない第五層の素材で作られた服に、聖獣の巫女2人と神の名を持つ者2人の力を使って、プレイヤーの限界レベルの倍のレベルを持つ現人神のウツロおばあちゃんが、賢老の名のもとにノリノリで合成して新生させたドレス・・・


オーバーキル過ぎるよ!闘技大会がかわいそうな事になる未来しか見えない・・・

ま、まぁユウが直接戦う事なんてそうそう無いから大丈夫だと信じる。


・・・さて、ドレスの見た目と能力を決めなきゃ。何故か予定に無かった刻印が4つも発生しちゃったしね・・・

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