212匹目 けんぞくぅ~ゲットだぜ!
昨日書籍化した時に書いてた内容の整理をしてたらあとがきにこんな事が書いてあったんだ・・・
「……もっとも、これを書いている時点ではまだ発売されてはいないんですけどね。もしかしたら「やっぱり面白くないから書籍化無しで」って言う話が突然降ってくる可能性も0では無いんだよなぁ……ひぇっ!
ま、まぁ。そんなことは99.9%ありえないので気にしたら負けです。きっとこの本は無事に書店に並んでそれをニヨニヨ眺めているテトメトもその場に居るはずです。」
・・・誰だこんなあからさまなフラグを立てた奴は!!そりゃこんな事書いてあれば発売中止になるわ!
まったく。世の中には困った人もいるもんだよ。ぷんぷん(全力で目逸らし中)
「キェェェアァァァシャァベッタァァァァ!!」
「ん。んぅ……うるさいわよ……人が寝てるんだから静かに……あれ?あたしなんで寝て……きゃっ!」
俺の悲鳴の後になんかかわいい悲鳴が後ろから聞こえたんだが……
どうやら気絶してたクレアが起きたみたいだな。んで、俺の目の前で何故か俺よりもビックリした様子で声も無く目を見開いて口をパクパクしてる鷹さん……いや、鷹の頭を持つグリフォンにビックリして悲鳴をあげたと。
いや、クレアの気持ちは分かるよ?さっきまでしのぎを削り合った相手が起きた瞬間目の前にいて、俺を捕食するみたいに、口をパクパクさせてたんだから悲鳴の1つもあげるさ。
でもなグリフォン。なんでお前が一番驚いてるんだよ!おかしいだろ!ビックリしたいのはこっちだわ!
「ちょ、ちょっとあんた!だ、大丈夫なの……?」
「お、おぅ。ボーパル達も平気みたいだし大丈夫なんじゃないか……?」
いつの間にかノゾミが歌うの止めてるし、グリフォンの体も闇が剥がれてるしな。
だとしても俺をミンチにし掛けた闇の爪と狂気に染まった闇の瞳の恐怖はまだ体に残っていて、思わずグリフォンから後ずさりして上半身だけ起こして俺へと伸ばしたクレアの手を握りしめて、2人でカタカタ震えてる。
いや、大丈夫だとは思うんだよ……?大丈夫。大丈夫なはず。ぼ。ボーパルさん!大丈夫だよね!?
「もきゅもきゅ。もきゅい?きゅい!」
イナリに出してもらった狐火でニンジンスティックを炙ってステーキのソースを絡めてほお張っていたボーパルが、大丈夫なの!と言う様に俺にお手手をグッと突き出してきた。
あ、ボーパルが言うなら大丈夫だな。ふぅ~一安心だぜ。
「ほら。クレアもしっかり。グリフォンはもう敵じゃないみたいだよ。いつまでも怯えてたら話が進まないしね」
「偉そうな事言って、あんただって直前まで震えてたじゃない!この一瞬で何があったのよ!
……はぁ。まぁいいわ。確かにあの聖獣……グリフォンもあたし達に襲い掛かる様子はないものね。それに……
もし、あたしが襲われてもその……あ、あんたが守ってくれるんでしょ?」
「当然だろう?最悪でもクレアとアリスだけは逃がすさ」
そういうクエストだしね。最悪俺が死んでも護衛対象と保護対象が安全エリアまで逃げ延びられればクエスト達成みたいなもんだもん。
「くぎゅぅ~。あ、あんたはまたそういう事言う!!」
「言わせたのはクレアじゃん」
わざわざクエスト内容の念押ししなくても分かってるって。心配すんな。と言うかクエストはもう殆ど終わってるしね。死のウサミミみたいに自爆しなければだけど。
……しないよね?悠長に話してても大丈夫だよね!?
「おほん。すまぬがそろそろワタシの話を聞いてもらえぬだろうか?」
「あ、ごめんごめん。お腹空いてるんだっけ?今すぐ用意するからちょっと待っててね~」
ウサギの肉は大量にあるからな。グリフォンがお腹いっぱいになるまで食べさせてガッチリ胃袋を掴んでやるぜ!クックック。俺無しでは居られない体にしてやる……
「あんた……さっきまでのグリフォンよりよっぽどヤバイオーラ出てるわよ?」
クレアはちょっと黙ってて!ボーパルが食べなかったステーキを口に突っ込んじゃる!ボクのお肉をお食べ!(強制)
「いや、それはもうよい。現界できる時間も残り少ないのでな」
な、なんだってー!?お、俺の必勝餌付け作戦が破られただとぉ!?
くそっ!次の作戦を急いで考えねば!
「ワタシが消える前におぬしの願いを聞いておきたい。そこにおるワタシの巫女と氷狼の巫女には後に礼ができるが、おぬしと言葉を交わせるのはこれが最後であろうからな。
なんでもとはとても言えぬが、ワタシに叶えられる願いならば全力で叶えると誓おう。それだけの物をワタシはおぬしから貰ったのだからな。時間はそれほど無いが存分に悩み―――」
「俺はあんたが欲しい」
悩む必要なんかねーよ!グリフォンの方から願いを叶えてくれるって言うんなら願ったりだ!もふもふをこの手に!空飛ぶもふもふゲットだぜ!
「え、えっと……そ、それはワタシの聖獣としての力を欲するという事か?すまぬが聖獣の力を人間に譲渡することは―――」
「そんな力に興味なんて無い。俺が欲しいのはありのままのあんただけだ」
強力なボスモンスターを仲間にしたら弱体化しちゃうのなんてあるあるだしな。というか召喚モンスターになったらレベルが1になるし。そんな相手に力を求めるのは酷ってもんだろう。
「俺の手を取ってくれ。一緒に世界を見よう。一緒においしい物を食べよう。一緒に笑い合おう。一緒に……生きよう。
これでさよならなんて俺にはとても耐えられない。これは俺の我が儘だ。もしあんたが俺になにかを返したいと言うのなら……これから先。あんたの隣に俺が立つ事を許してくれないかな?」
「おぬし……」
俺が差し出す手に握る兎の結魔魂書へとグリフォンがゆっくりと手を伸ばしてくる。
よっし!弱みに付け込んで情に訴えて場の流れに流す作戦大成功!ヘイカモーン!もうちょっと!こいこい!もふもふをゲッt
バチィ!
「ぬおぅ!?」
しかし、グリフォンの爪が兎の結魔魂書にちょこっと触れた瞬間。特大の静電気が起きたみたいな音と共に、兎の結魔魂書を握る腕ごと大きく弾かれた。な、なにごとぉ!?
「うぬぅ……やはりこうなってしまったか……この地を守護する役目を持つワタシはプレイヤーの下に付くことは出来ぬのだ……そう神より役割づけられておる故にな」
神?神って事は……メト達か!?くそぅ!余計なことしやがって!もうちょっと!もうちょっとでグリフォンを!もふもふをこの手にできたのに!くそぉぉぉぉ!この世界に神なんているものかぁぁぁぁ!!
「おぬしは……ワタシの為に涙を流してくれるのか……ワタシはおぬしの旅に付いて行くことは出来ぬ。だが、代わりにこやつを遣わそう」
「クルゥ!」
俺が世の不条理を嘆き世界に慟哭をあげていると、何かが俺の流す涙を舐めた。
俺が目を開けるとそこにはヌイグルミサイズのちっちゃいグリフォンが!この世界に神はいた!!
「こやつはワタシの眷属のベビーグリフォンだ。聖獣としての力もエルダーグリフォンの力も持っておらぬ。こやつならばおぬしの旅にも付いて行けよう」
「ありがとうなグリフォン!!」
最ッ高のプレゼントだぜ!ヤッター!グリフォンゲットだー!わぁーい!
「ふふっ。やはり別れは涙よりも笑顔の方が嬉しいものよ。ではワタシはこれでゆく。さらばだ。我が友よ」
「おう。またな~!」
なんかニッコリ微笑んでいる気がするグリフォンにおざなりに手を振って別れの挨拶をする。
そんな事より胸に抱くベビーグリフォンの方が大事だ!ウェヘヘ。名前何にしよっかな~。首筋のもふもふがふかふかだぜ!でゅふふふふ……
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。
VRMMOでサモナー始めましたの1巻が・・・じきに発売予定!お楽しみに!
いや~、今回もシリアスだったな~・・・セリフだけを抜き出したなら。
どうしてもサモナー書いてるとシリアスになれないんだよね。まぁ、主人公がユウだしね。仕方ないね。クレアの時はシリアスしてたから全部ユウが悪いんだよ。テトメトは悪くねぇ。
でもこのままじゃ、あまりにもシリアスさんがかわいそう・・・
という訳で。
シリアスさんの難民キャンプを作ってみました~。ページはこちら。
↓
https://ncode.syosetu.com/n5809eh/
全10話ぐらいの短い奴だから暇だったら読んでね~。まぁ、まだ5話までしか書いてないから、先は未定だけども。




