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211匹目 もふもふラブリー仔オオカミちゃん

何故か話が進まない。なんでだろ?アリスはいつになったら目覚めるのか・・・

 

「グ……グルァァァ!!」

「にゃ~あ˝!?」


 謎のもふもふオオカミっ子の活躍で半分凍結しているグリフォンの爪が、ステージの上で高々と聖歌(アニソン)を歌い上げるノゾミの喉を貫き……ノゾミの姿が霞の様に消失した。


「グァァァァアアアア!!」


 ノゾミの聖歌が途切れ、闇を祓われる事が無くなったグリフォンが力任せにプリチーオオカミっ子の氷を破壊しようと闇を吹き出し、半身を拘束する氷に次々と罅が入っていく。翼を捥がれたとはいえ飛行能力に遜色は無く、闇は削られようともHPはまだ半分ちょい残っているグリフォンが氷の枷を突破してしまえば再び戦況は膠着……いや。消耗戦でこちらが不利になるだろう。


 まぁ、普通に考えて……あんな目立つところ(ステージ)最大の弱点(ノゾミ)を配置しておくわけが無いんだがな。


「にゃにゃにゃぁ~♪」

「グルァ!?!?」


 いきなりネコミミの間を掠めて伸びていったグリフォンの闇の爪にビックリして歌うのを止めてしまっていたノゾミが聖歌を再開すると同時に、氷を破ろうと踏ん張っていたグリフォンの四肢から力が抜け、驚愕と苦痛と絶望がミックスされた悲鳴をあげた。


「すり替えておいたのさ。こんな事もあろうかとね」

「コーン!」


 普通に考えればわざわざ目立つところに弱点を配置したりはしない。

 ならばどんな時ならばそんな事をするのか?簡単だ。本命を隠すための囮だったんだよ。あのノゾミはな。

 タネは単純。俺とイナリの背にノゾミを隠した時にイナリの幻術とノゾミをすり替えたんだ。

 イナリの幻術で騙せるのは視覚だけで、幻術が出せるのは本物の近くのみ。出た幻術は本物と同じ動きをし、体は若干透き通っていて影は本物の位置に出るという、視覚以外の索敵手段を持っていたりちょっと冷静だったら簡単にバレてしまう、無いよりはマシ程度の保険だな。

 だが……マヌケは見つかったようだな?


「にゃっにぃ♪にゃっぁ~ん♪」

「グ、グルァ……」


 ステージ代わりにしていた祭壇の裏からノゾミが這い出てくるが、もはやグリフォンにはノゾミを追撃する力も残っていない。

 これは勝ったな。結果を見届けるまでもないぜ。


「という訳で後は任せた!俺には何よりも優先しなくちゃならない事があるんだッ!」

「きゅい?」


 ノゾミを援護して部屋の隅っこへと退避させているボーパルが俺の叫びに小首を傾げているが、今はボーパルに構っていられない。

 しょうがないだろう?だって……だって……仔オオカミちゃんだぞ!?ヌイグルミサイズの丸っこいオオカミちゃんなんだぞ!?これでもふりに行かなきゃ俺じゃない!!むしろ仔オオカミちゃんをもふりに行くのを我慢して、今の今までグリフォンを見届けてた俺偉いな!自制心の塊じゃないか!すごくね!?


「オオカミちゃ~ん!出ておいで~!怖くないよ~!あ、お肉食べるぅ~?」


 部屋の片隅に山の様に積まれているウサギ肉を1つ手に取って塩コショウでサッと下味を付けをし、ストレージから出した焚火セットに火を付けて、いつの間にかストレージに入っていたフライパンにこれまた何故か入っていたイノシシのラードをたっぷりと入れて十分熱した後、小麦粉をぱふぱふしたウサギの肉を投入にして半分揚げながら焼いていく。

 材料全てが目分量のこんな適当調理でもちゃんとした料理として完成するんだからゲームって便利だよな。まぁ、美味しい料理を作るには料理スキルが必須だけど、美味しい料理の匂いを出すにはこれで十分だ。

 クックック。俺のもふもふセンサーでも見つけられない程巧妙に隠れてるみたいだが、この美味しそうなお肉の匂いの中いつまで隠れていられるかな?


「上手に焼けましたー!っとね。食べたい人は手上げてー!」

「きゅい!」

「ホー!」

「コーン!」

「にゃ~♪にゃにゃ~♪」


 あえて後ろを振り返らずに壁を向いて料理をして、ぽふんと言う気の抜ける効果音と共に振り返ると、ボーパルとミズキとイナリとノゾミが仲良くお座りして待ってた。律儀にみんな右手(右翼)を上げてる。かわいい。

 かわいい……けれどもそうじゃないんだよー!ラブリーオオカミちゃんが居ないぃ!

 はぁ……このゲームで仔イヌとか仔ネコって貴重なんだよ……?大体みんな大人の姿で産まれてくるからね。しかも仔オオカミ!超レア!まだそんなに口が伸びてなくって、ちっちゃい体に不釣り合いなおっきなあんよと肉球を持った丸っこい仔オオカミちゃんだったね。俺が言うんだから間違いない。


「え~と……とりあえずお食べ~。仲良くね?」

「きゅい!」

「ホー!」

「コーン!」

「にゃぁ」


 居なくなっちゃったオオカミちゃんは本当に残念だったけど、それはともかく家の肉食獣達がお肉を待ちわびてるので深めの木皿にウサギステーキを移して渡す。うんうん。みんなよく食べておっきくなるんだよ~。

 ……あれ?みんな肉食獣でいいんだよね?なんか微妙に違和感があるんだが……ま、まぁ。カット野菜も一緒に添えておけばいっか。


 それにしてもオオカミちゃんは残念だったよ……是非一度あの銀の毛並みをもふりたかったな。一瞬しか見えなかったけど毛並みがサラサラのふわふわで……どことなくクレアっぽい子だったな。

 あれ?そういえばあの子が現れたのってクレアが居た場所からだった気が……はっ!まさかあのオオカミちゃんがクレアの本体なのか!?なんかよくみたらクレアが地面に倒れてるし!アリスちゃんと一緒に!


「プレイヤーよ。小さきものが食しておる料理はワタシの分もあるのだろうか?」

「今忙しいんだよ!黙ってて!!」


「む。申し訳ない……」


 えっと、鑑定結果は……うん。2人とも気絶してるだけだな。ほっとけばその内起きるだろうけど、さすがに床に直で転がしておくのはかわいそう過ぎるし……あ、ウサギの毛皮が大量に入ってた。これを敷いてその上に寝かせておこう。起きたらちょっとウサギ臭くなってるかもだけどね。今度毛布も買っておかなきゃな。もちろんもっふもふなやつをね!


「娘達にも随分と迷惑をかけた。目を覚ましたら礼をせねばな」

「まったく。この低レベルで頑張り過ぎだ。早くお家に帰してあげないとな」


 気絶して、毛皮に包まりながらも繋いだ手と手を絶対に放そうとしないオオカミ少女とウサギ少女の頭をなでなでする。

 むふふ。役得役得。でもまぁ、これぐらいにしておくか。あんまりなでなでしてるとクレアを起こしちゃって噛み殺されちゃうしな。今ぐらいはゆっくり休ませてあげよう。


「優しいのだな、おぬしは。故にこそワタシはこうしてこの場に立っていられる。礼を言おうプレイヤーよ。ワタシを解放してもらい感謝する」

「いや、俺はそんな崇高な人間じゃねーぞ?やりたい事をやりたいようにやってる……だ……け……」


 クレアとアリスの寝顔を微笑ま~と見てたら、首筋あたりがむず痒くなる事を言われたので肩をすくめて振り返ったら……でっかい鷹の顔が目の前にあった。


「む?どうしたのだ?ワタシの顔に何か付いておるか?」

「キェェェアァァァシャァベッタァァァァ!!」


 俺の雄たけびにビクンッ!とする見覚えの無い鷹さん。

 いやいや、目の前に俺よりもおっきい鷹が急に現れて嘴をパカッと開けたと思ったら人の言葉を喋りだすとかビックリして当然だからね!!俺は悪くねぇ!!


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。

VRMMOでサモナー始めましたの1巻が・・・じきに発売予定!お楽しみに!


おかしい。戦闘はまだ終了してない筈なのに中盤から戦闘描写が一切なくなり、料理ともふもふだけになってる。お腹へった。

つまりいつも通りってことだな。え?シリアスさん?あ~知ってる知ってる。この前コンビニで298円で売ってたよ。美味しかったね。だからなにか?

アリスだけでも早く起こしたいんだが、謎の鷹さんがいるからな~あんまり沢山のキャラで喋られたらテトメトのキャパをあっさり越えちゃうしね。鷹さんがどっかいったら目覚めるはず。たぶん。

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