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210匹目 ノゾミオンステージ

本日2匹目の更新です。お気をつけください。

まぁ、時系列一緒だからどっちから読んでも大丈夫だけどね。大丈夫シリアスを感じたい人は前話から読むことをオススメします。

 

「ん~。悩んでてもしゃーなし。やれることをやってみようか。ダメだったらまた考えればいいしな!当たって砕けの精神でGO!」


 クレアのヒントから聖と闇を分離する方法を考えてみたんだが……まったくわかんにゃいんだよね。

 せめて”聖と魔”とか”光と闇”なら何か思いつくかもなんだが聖と闇ってどんな組み合わせだよ。なんでそこクロスオーバーしちゃったの?異種格闘技戦なの?


「ようは闇を弱らせるか聖を強くすればいいワケダ。闇を弱らせるには……光?でもティーニャはお留守番だし、共鳴召喚は使っちゃったしなぁ……ランタンでも付けておく?」


 ユウはランタンに火を付けた!

 辺りが明るくなった!


「むぅ。何故かストレージに沢山あった光キノコも撒いたのに幻想的な雰囲気になっただけで終わってしまった……」


 頭上では未だにグリフォンVSボーパル&ミズキ&イナリの攻防が繰り広げられている中こっそりキノコを撒いてみたのに薄ぼんやり幻想的に光るだけで何にも起きなかった。光量不足かな?

 まぁ、夜目があるし無くてもそれなりに視界は利くからな。強い光源アイテムは家の中に設置してある明りぐらいしかないもん。しゃーなし。


「よし。闇を弱らせるのは諦めよう。俺に出来ることはやったとも。頑張った俺」


 キノコが散乱する部屋の片隅で汗を拭う仕草をしてやりきった感を出してみる。

 なんというかこう……浄化できそうな雰囲気作りは完璧だな!そうとも!俺は雰囲気作りをしていたのだ。形から……というか外側から入るのは大事だからな。うん。


 ……だからジト目を向けるのは止めようねノゾミ。違うよ?別に遊んでたわけでも散らかしてたわけでもないからな?雰囲気作りだから。雰囲気って大事なんだよマジで。


「というか、ノゾミ。クラスチェンジして聖歌とか覚えてたよね?もしかして聖歌って聖なる歌なんじゃない?」

「にゃぁ……」


 あ、ため息を吐いて呆れられた。2枚舌の効果で2曲を同時に歌ってるのに更にため息まで吐くとか器用だな。さすが器用値特化のノゾミ。

 ノゾミからジト目と呆れた目のハイブリット的な視線を浴びつつ聖歌の効果を確認。

 ふむふむ。聖歌の効果はHPリジェネと状態異常の回復。但し、不死と悪魔と妖には効果が反転。HPに継続ダメージと行動阻害が付くらしい。そして特殊効果に”聖なるチカラ”。効果は……なんか難しい事が書いてあるけど、要約すると悪いものを滅殺出来るらしい。ザックリした能力だけど歌ってみた結果グリフォンごと纏めて消し去らないよね?闇だけを殺せるよね?大丈夫だよね?ね?

 それともう1つ。聖歌は無差別発動の他の歌と違い、効果対象を選んで発動できるみたい。代わりに対象が増えれば増えるほど効果が下がって他の歌と同時に歌うことは出来ないみたいだけどね。

 効果も固定だし聖歌と歌唱のどっちがいいかと言われると……う~ん。微妙。とりあえずやってみるか!ダメだったらそん時に考えよう!やれば分かるさ!


「という訳でノゾミ先生お願いします!」

「にゃぁ……」


 しょうがないにゃぁと言わんばかりのやれやれ顔を浮かべたノゾミが部屋に備え付けられていた祭壇的な場所の上にちょこんと座り、ちっちゃなお口を開いた。


「にゃ~にゃにゃにゃぁ~♪」


 ノゾミが歌いだした瞬間。明確に空気が変わった。

 祭壇の……いや、ステージ(・・・・)の上にちょこんと座り、上半身と尻尾を左右ふりふりさせながら歌うノゾミの姿は可愛らしく、楽しげでありながらも神々しい。

 フロアを照らす光キノコの明りもノゾミの歌に合わせて明暗を繰り返しこの部屋自体がノゾミを中心とした1つの音楽へと完成していく。


「綺麗……」


 零れた感嘆のため息は俺の物だったのかクレアの物だったのか……いや、たぶんクレアだろう。

 何故なら俺の胸中に渦巻く思いは心に染みる聖歌に対する感嘆や感動だけではない。それよりも強い1つの思いが胸の中で膨らみ、暴れまわって、埋め尽くしていたのだから。

 そう。その思いこそが……


(なんで聖歌がアニソンメドレーなんだ!?)


 という驚愕である。

 えぇ……普通聖歌って讃美歌とかじゃないの……?ま、まぁ。一部ではアニソンは聖歌なのかもしれないけどさ……聖なるチカラさんはその歌に宿っていいの?般若心経ゴスペルとかじゃなくて大丈夫?いや、あれも大概だけども。


「コーン!?」


 あ、イナリさんが聖歌でダメージ喰らってらっしゃる。まぁ()狐だしなぁ……ノゾミせんせーい。イナリを対象から外してあげてー!むしろグリフォンだけに効果を絞って~!


「にゃ~にゃ~♪」

「グルゥゥゥゥゥ!?」


 お、効いてる効いてる。

 グリフォンが身を捩るたびに身の内から闇が吹き出し、噴き出た闇が端から削れていく。聖歌つおい(小並感)


「グルゥゥゥ!!」


 全身から闇を一気に噴出させ、狂気に染まった瞳にノゾミを映したグリフォンが全力で降下してくる。

 ノゾミの聖歌が唯一の勝機。それが分かっているのは俺達もグリフォンも同じだ。

 グリフォンが闇に打ち勝つまでどれぐらいかかるのかは誰にも分からない。5分後かもしれないし、1時間後かもしれないし、今この瞬間かもしれない。

 ただ分かるのは、グリフォンが闇に打ち勝つその瞬間までノゾミが歌い続けられればこちらの勝ちという事のみ。だが、それだけ分かれば十分だ!


「わりぃがこっから先は一方通行だ!」

「きゅい!」

「ホー!」

「コーン!」

「にゃ~♪」


「グルゥゥゥゥ!!!」


 目立つ祭壇の上に陣取り、軽やかにアニソンを歌うノゾミを庇う様にグリフォンとノゾミの間にキツネさん扇に換装した俺と、ボーパル達が割り込み、その背にノゾミを隠す。

 グリフォンには俺達を迂回する余裕すら無いのか、あるいは俺達を障害と感じすらしないほど余裕があるのか真正面から突破するつもりのようだ。

 ははっ。丁度いい。この突撃で決着をつけてやる。闇なんか捨ててかかってこい!


「グルゥ!」

「ホー!」


 俺の叫びをサックリ無視したグリフォンは錐揉み落下しながら片方しかない翼から無数の闇色の風の刃をランダムに放出し、回復したMPの全てを絞り出したミズキが風と影の刃で俺達に降ってくるもののみをはじき落とす。


「きゅい!」

「グルァ!」


 ミズキが闇色の風の刃を必死に打ち落としている間に脇をすり抜けたグリフォンを飛び上ったボーパルが迎え撃つ。

 両手両足に4つの刃を括り付けたボーパルに対し、片手に3本ずつ。両手で6本の闇の爪を長く伸ばしたグリフォンが急降下と錐揉み回転の勢いそのままにボーパルに力任せに爪を振り下ろす。

 躱しては意味が無い。突撃を止めなければならない。

 それが分かっていながらも、止められる筋力も体重も無いボーパルは躱すしかない。

 ボーパルに止める術がない事を分かっているからか速度を緩めるつもりが一切ないグリフォンは、ギリギリで闇の爪を躱したボーパルの横を素通りし……


「きゅい!」

「グルァ?!」


 素通りしようとした瞬間にボーパルに取りつかれ、反応が遅れたグリフォンは残ったもう片方の翼も切り落とされた。

 しかしそこはレベル50のネームドモンスター。切り落とされた翼の付け根から闇色のオーラを噴出してボーパルを体から弾き飛ばした。


「グッ、ルァァ!!」

「コーン!!」


 翼の根元から噴出した闇も伸ばした爪も聖歌に削られ、満身創痍となったグリフォンはそれでも瞳をギラギラと輝かせノゾミへと駆ける。

 死力を振り絞って駆けるグリフォンは狐火を当てても止まりはしないだろうと分かっているイナリはその身を狐火で燃やし、闇の魔力への捨て身の防御手段とし、殆ど使ったことのない爪術ともふもふの物理耐性を捨て身タックルをして……


「コーン!?」


 あっさりと跳ね飛ばされた。

 いや、体力も筋力も低いんだからそりゃそうなるよ……むしろ即死しなかったのが凄いレベル。

 ミズキが露払いをしてボーパルが勢いを削いだおかげだな。まぁ、イナリに死なれては困るから死なない様にお願いはしておいたんだけどね。


「よっしゃ来いやぁ!」

「グルルァ!!」


 ノゾミを守る盾として残ったのは俺一人。

 背中にノゾミを庇い、両手に扇を携えた俺はじっと腰を落として血走った目で狂った様に全速で駆けてくるグリフォンを見つめて……見つめて……見つめ、て……


「うおぉぉぉぉぉ!?」

「グルゥゥゥ!」


 グリフォンに挽肉にされる直前に横へ跳んで避けた。

 いやいやいあいあ。ムリムリ!あんなの受けられないから!軽くミンチになっちゃうよ!?てか怖い!目が怖い!ボーパル達全員を振り切るとか俺に止められるわけないじゃん!?たしかにノゾミが死んだら勝ち目が潰れるかもだけど、俺が死んだらその時点でゲームオーバーなんだからね!?

 ま、まぁ、なんとかなるさ。今の無茶な突進でだいぶん手傷を負わせられたしな。残りの闇をどうやって削ぐかをまた考えて……


「万象を凍てつかせて!『フェンリル』!」

『まかせて!こおらせるまかせて!』

「うぇぇ!?」

「グルゥ!?」


 障害物が全て無くなりグリフォンの凶刃がノゾミを切り裂く寸前。クレアの呼びかけに答えてポンッとちっちゃい白銀のオオカミが飛び出して、そのオオカミがぱかりと口を開くとグリフォンの半身ほどが一瞬で凍り付いて身動きを封じた。

 え、えぇ……すげぇ……レベル50のネームドだよ?その半身を一気に凍らせるって……グリフォンの魔法耐性が低いとも思えないんだがなぁ……あのちっこい銀狼つえぇ……つえぇけど……えっと、どちら様で?


「グ……グルァァァ!!」

「にゃ~あ˝!?」


 謎の強キャラが出現して、勝ったな完。次回エピローグって雰囲気が流れた次の瞬間。

 ノゾミへと手を伸ばした状態で固まっていたグリフォンの爪が闇を纏い。鋭く伸びてノゾミの喉を何の抵抗も無く貫き通した……



もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。

VRMMOでサモナー始めましたの1巻が・・・じきに発売予定!お楽しみに!


いやぁーめっちゃシリアスだったなー(棒)最近シンフォ〇ア見まくってる所為で熱血展開多いなー(棒)

ちなみにクレア視点とユウ視点だとちょこちょこ地の文の内容が食い違ってるけど間違いじゃないからね?主観の違いだからね?例えば・・・


《クレア視点》

力が漲るアップテンポな曲であり、しんみりと心に染みわたる優しい歌であり、泣けるほどに美しい不思議な歌。

《ユウ視点》

アニソンメドレーだコレ!?


《クレア視点》

伝わるはずがない。繋がるはずがない。なのにあいつは聖獣が目の前に迫った状況でいきなり横に大きく跳び避けた。

最後の守りなのに。あいつが抜かれたらおしまいなのに。言葉も無く、行動も無く、思いだけで通じ合い、信じて、託してくれたッ!

《ユウ視点》

いあいあムリムリ!怖い!グリフォンの目が怖い!


し、シリアスさぁん!返事をしてぇ!ひ、ひどい!こんなのあんまりだよぉ!

クレアの思い出もちょこちょこ現実と違うしなぁ・・・

なんかここまで来るとクレアがかわいそうな気にもなってくる・・誰だこんな酷い展開を考えた奴は!最低だな!


あ、ちなみに活動報告もこそっと投稿しました。見てくれると嬉しいカモ?

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