205匹目 捕らわれのアリス
突然ですが悲しいお知らせです。
テトメトがまた嘘をついたデス。
一巻の発売は9月の23日と告知していましたが。
なにやら延期しそうなのデスよ。
疲れてるのかなぁ・・・
気の毒デスよ・・・
「俺のもふもふセンサーによればもふもふ幼女がいるのはこの部屋だ!間違いない!」
「きゅい!」
「あんたどんなセンサー積んでるのよ……そんな無駄機能捨てて常識を積みなさいよ常識を……うっぷ」
むっ。失敬な。それだと俺に常識が無いみたいに聞こえるじゃんか。俺なんて精々邪神の宗教団体の地下拠点にキツネに乗りながら突っ込んで「全発全中!持ってけ全部だーー!」って叫びながら放火して回るだけのいたって常識的なキツネ耳改造和服女装少年だと言うのに。
「その説明で何を納得しろって言うのよ……うぷっ。まだ気持ち悪いんだから突っ込ませるんじゃないわよ……」
「コーン?」
今回は口に出して無いのに何かを感じ取ったのか義務的にツッコミを入れてきたクレアはイナリの背中でグロッキーだ。
お姫様抱っこされながら町の中を走り回っていたときは急にもふもふが飛び出してきても止まれるようにセーブして走ってたから大丈夫だったが、今回はどこまでも真っ直ぐな一本道だった上に、急にもふもふが飛び出してきても轢き殺すつもりだったからクレアが吹き飛ばないように覆い被さりつつ全力で疾走してもらった結果、クレアのおめめがバッテンになった。そしてクレアをぎゅって出来た俺はおめめがキラキラになった。むふぅ~。
まぁ、轢き殺すつもりだった敵も俺とイナリの狐火とミズキの風刃とボーパルの特攻で俺達とぶつかる前に消滅したけどね。
敵ももふもふだったんだが、おっさんばっかりだから罪悪感は0だ。むしろ積極的に燃やそう。汚物は消毒だー!!ヒャッハー!
第五層での特殊クエストだったからどんな強敵が出るのかと思ってたんだが、狐火がかすっただけで滅却するほどのザコしかいないんだよなぁ。
クレアと一緒でモンスターが居ない第五層で育ったからレベルが低いのかな?そしてレベルが低い所為でお隣の第四層でレベル上げが出来ないっと。
低レベルであのウサギエリアに突撃するのは無理だわなぁ……むしろレベル100のウツロおばあちゃんが異常なのであってクレア達は普通だと思うよ?うん。思う思う。
「……あんたの価値観で普通って言われても不安しかないわよ……よし。体調はだいぶ戻ったわ。待たせて悪かったわね」
「気にすることは無いよ。クレアのしんなりイヌしっぽも可愛かったしね!」
いつもはピンと尖っているクレアのイヌみみとしっぽも乗り物酔いしている間は、はんなりと垂れみみと垂れしっぽになっててラブリーだった。下に手を入れてたぷたぷしたい。まぁ、シャキンと復活したイヌみみをツンツンしたり、イヌしっぽをにぎにぎするのも捨てがたいけどね!
「あたしはオオカミだって言ってるでしょ!!それに……あたしが居なければもっと速くここまで来れたし、時間がないのに休憩する必要もなかったじゃない。あたしの我が儘のせいで、きゃっ!」
「それこそクレアが気にすることじゃない。クレアを連れてくる事を決めたのも、ここで休憩を挟んだのも俺の判断で俺の責任だ。これでクレアを責める様じゃ俺にクレアをもふる資格は無いってね」
何故かまたしょんぼりしだしたクレアの頭をなでなでしてみる。
サラサラの髪の中にもふもふのおみみ発見!長い髪の毛と短いおみみのコントラストがまた良し!ちょっと体温高めのおみみを押さえる様に撫でるのもいいね。むぎゅむぎゅもみもみしたくなっちゃう。
「もともとあんたにあたしをもふる権利は無いわよっ!……でも……その、ありがと……」
「ん。どういたしまして」
イヌみみもみもみマッサージをしようとしたらクレアにペシっと手をはたかれちゃった。残念。
地下通路が第四層に繋がっているのが分かった時点でクレアを帰しても良かったんだが、クレアがどうしても付いて行かないと行けない気がするって言うし、クレアを連れて行かないと褒美のしっぽもふもふ権をあげないって言われたからね。仕方ないね。
「後は打ち合わせ通りにヨロシク!じゃあ乗り込むぜ!たのたのの、たのもー!」
「きゅい!」
ボーパルと一緒に扉を室内にぶっ飛ばす勢いで蹴破って室内に突入する。ただ、扉が思ったより脆くて爆散して消滅しちゃったんだが……これ弁償を請求されたりしないよね?
悪人に人権は無いって言うし大丈夫か。もふもふ幼女誘拐犯とかまごうことなき重罪人だもん。俺のこの手で天誅をくだしちゃる!
「っ!アリス!?」
「コーン!」
蹴り砕いた扉を見て闘志を高めている間に部屋に入ってきたクレアが突然悲痛な叫び声を上げてイナリの背中から転がり落ち、部屋の中心へと走ろうとした所をイナリにセーラー服の後ろ襟を咥えられて止められている。
「いやっ!離して!アリス!アリスッ!!」
「コン!」
イナリに押さえられても少しでも前に進もうと限界まで手を伸ばすクレアの正面。ちょうど扉から入って真正面に位置する壁にその少女は居た。
黒いリボンで両手を縛られ、Yの字になるように天井から吊るされている少女はゆるいウェーブのかかったふわふわとした金髪をしており、気を失っているのか項垂れている頭の天辺からは銀の毛をした長いウサギのみみが生えている。
少女が身に着けている服はベースはエプロンドレスで、スカートがパニエでも入っている様にふんわりと丸く膨らんでいる。
白を基調とした清潔感と清楚さを感じさせる色合いでありながら、スカートには水色とピンクと白のひし形の模様が並ぶアーガイル柄を使い、スカートの端にはトランプのマークが並んでいる。全体的にフリルを多用したロリータファッションを彷彿とさせるそのドレスはまだまだ幼い子供である少女のかわいらしさを十全に引き出している。
この服を作った人はいい仕事してるな。趣味が合いそうだ。今度アリスちゃんに誰が作ったのか聞いて訪ねてみよう。そのためにもバッチリ救出しなきゃね!
「おんやぁ。お客さんですかなぁ?今は取り込み中なんですがねぇ?」
「っ!アンタがアリスを!今すぐアリスを放しなさい!噛み殺すわよ!」
宙づりのアリスへと目を奪われていた俺達へと横合いから声をかけてきたのは明らかに悪役ですと言わんばかりの全身真っ黒の神父服らしきものを着た1人の男だった。すっぽりと頭まで覆うローブで何獣人か分からないその服装は今まで消し炭にしてきたザコ教徒と一緒だが、扉を蹴り壊したとはいえイナリの隠形を見抜いたって事はイナリよりはレベルが高そうな奴だ。
「放せだなどとおかしな事を言うお嬢さんですねぇ。このアリス嬢は我が神に選ばれたのですよぉ?異教徒でありながらその穢れた魂を我らが神の居場所へ迎えていただけるぅ!そのことを誇りこそすれ、拒否するなどと、んん。ありえませんなぁ」
「っ!何を訳のわからない事を!いいからアリスを放しなさい!」
ゆっくりと俺達の周りを回る神父はイナリに押さえられているものの今にも飛びついて噛み殺してきそうなクレアに構う様子はなく神の素晴らしさを語り、クレアはアリスを放せと叫び返す。
「きゅい」
「ホー」
わーわー騒ぐクレアの叫びに紛れる様に俺の近くにいたボーパルとミズキが小さく鳴き、俺も小さく頷いて返す。
「黙ってないであんたも何か言いなさいよ!このままじゃアリスが……アリスがよく分かんない儀式の生贄にされちゃうのよ!?」
「……」
「ふふっ。そちらのキツネのお嬢さんは状況がよぉく分かっているようですねぇ?そう!アリス嬢とワタシは今も魔力で繋がっているのです。下手な動きを見せれば即座にアリス嬢を我らが神の元に差し出すこともできるのですよぉ?」
不自然に語尾を伸ばす粘っこい喋り方で話す神父は部屋の中央に祭られていた黒い短剣を手に取り、異様に長い舌でその刃を舐めながらそんな言葉を吐き出す。
生理的嫌悪を感じるその姿に流石のクレアも一瞬”うっ”と呻くも、使命感からか直ぐにギンッと神父を睨みつけた。
「っ!この卑怯者!」
「卑怯者ぉ?はっ!全ては我らが神のためにぃ!我らが神は神のためにワタシがしたことを全て許してくださるぅ!ウツロだとか言うおばはんを崇める異教徒共に卑怯者と罵られようともこれがぁ!これこそがワタシの正義ぃ!そう、このように!ねぇ!!」
神父の目がギラリと光ったかと思うと、神父がてに持つ黒い短剣が突如漆黒の極光を放ち、クレアへと迫った極光は呆然として避ける事も出来ないクレアを貫く……直前に割って入った俺へと直撃し、大爆発を起こした……
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。
VRMMOでサモナー始めましたの1巻が・・・じきに発売予定!お楽しみに!
やったぜ狂い咲きぃぃぃぃぃ!!(負けフラグ)
まぁ、そんなおっさんなんてどうでもいいんだよ。アリスがふんわりスカートで宙づりにされててパンツが見えそうだったり、クレアがアリスを助けて欲しいならば~って「くっころ」されそうになってるけどそれもいいんだよ。
いや、やっぱり良くない。そこらへんは録画しておいて後で見よう。そうしよう。
で、前書きでも書いたけど一巻の発売が伸びそうなんだよぉ。もうあちこちで予約も始まってるのにぃ!いや待て。希望を捨てるな。まだ延期の可能性だから!まだ、まだあわてる様な時間じゃない!発売中止になったわけじゃないし!
・・・違うよね?違うはず!違うと言ってよバ〇ニィ!




