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203匹目 秘密基地

気づいたら6000文字超えてたので二分割しまーす。

後半は日付が変わるぐらいに。寝落ちしてなければね!

 

「えっと……本当にここであってるのか?」

「少なくともおばあちゃんが地図に付けた印はここを指してるわね……」

「コーン!」


 第五層の隅っこ。町以外はどこまでも畑の広がる第五層においては珍しい外にある建造物。ポツンと1つだけ建つ古い風車小屋へと俺達はやってきていた。


「風車小屋て……隠れる場所殆ど無いと思うんだが、本当にこんなところがアジトなのか?どちらかと言えば子供の秘密基地って言われた方が納得するぞ」

「あら、よく分かったわね?あたしも小さい頃よく忍び込んで怒られたのよ。懐かしいわね……」


 満点の星空の下。オンボロの風車を懐かしそうに目を細めて見るクレア。

 いや、小さい頃って……クレアは今も十分小さいと思うんですが?


「あたしよりも小さいあんたに言われたく無いわよ!あたしはもう立派なレディーなんだから!噛み殺すわよ!」

「……立派なレディーは人を噛み殺そうとしないと思うんですがそれは……」


 それに俺とクレアの身長の差なんてちょびっとじゃんか。

 やれやれ、そんな小さい事ばっか気にしてるから大きくなれないんだぞ?


「だから!あんたには!言われたく!ないわよ!がぶぅ!!」

「あいたたたたたいたいたいたいたいッ!」


 両手を持ち上げてアメリカンな感じでやれやれのポーズをしたら、”!”1回につき1地団駄を踏んでいたクレアに、ずり下がった着物の袖から覗く腕へとがぶりとイかれてしまった。

 ふーふー!と興奮するクレアをなんとか宥めて引き剥がすと、色白なアバターの腕にくっきりと赤い歯型が付いていて……ちょっと見ている間にすぅ~と消えてった。証拠隠滅もバッチリか!完全犯罪だっ!


「ふんっ!その痛みはあんたにバカにされたあたしの心の痛みよ!」

「いや、クレアに噛まれた痛みだと思うんですが……」


 ボソッと突っ込んだらちょっと涙目のクレアにギンッ!と睨まれたのでそっぽを向いて吹けない口笛を吹いて誤魔化しておく。

 うん。とりあえずクレアに身長の話は禁句だって事は覚えた。次に弄るときは噛み殺される覚悟をしてからにしよう。そうしよう。


 さて、潜入任務だって言うのに目標のまん前で「弄るのをやめなさいよ!噛み殺すわよ!」とか叫んでる非常識なクレアは置いておいてさっそく侵入開始だ。

 メンバーは俺とクレアの他にボーパルとミズキの暗殺&索敵担当と、隠形&荷物(クレア)運び担当のイナリ。鍵開け担当のノゾミだ。隠形の対象にするためにクレアもパーティに入れているから召喚モンスターは4体だな。ティーニャはまたお留守番で拗ねてるかもだから後で構ってあげないと。

 安全エリアという性質上アイギスが居なくても何とかなると思うんだが……見つかったからといって相手を始末してOK!とはならないのが地味にキツイな……狭いっていうのも触れられて隠形が解ける可能性を考えたらあんまり嬉しくない。


「屋根の上にボスフラワーが居るような大風車だったら潜入楽チンなのになぁ……中身すっからかんだし」

「ちょっと何言ってるか分からないわ」

「にゃ~」

「ホー!」

「きゅい!」

「コ~ン……」


 クレアと心温まる歓談をしている間にノゾミがちゃちゃっと鍵を開けて、微妙にしか開かなかった扉の隙間からミズキが風刃を差込み閂を切断して、更にちょこっと開いた隙間からボーパルがむりむり侵入し、チェーンを引きちぎって扉を開けてくれた。あとイナリは役に立てなくてしょんぼりしてるが、隠形を掛け続けてくれてるからね?めっちゃ仕事してるよ?

 にしても3重鍵とは……やはり誘拐犯のアジトだけあって防犯はしっかりしてるのかな?

 ……犯罪者が防犯対策か……なんだろう。おかしくはないんだが、変な違和感があるよな。自分を捕縛するのかな?


「そういえばこんな鍵もあったわねぇ。何回言ってもあたし達が遊び場にするのを止めないからって大人たちに付けられた鍵よ?これ」

「って、クレア対策の鍵かよ!」


 プレイヤーの関係無い所でクエストの難易度を上げるのは止めてもらえませんかねぇ!?

 というか、3重ロックを掛けられるまで言う事を聞かないって流石にお転婆が過ぎるんじゃ……そりゃあウツロおばあちゃんも育て方間違えたかもって悩む訳だよ。


「失礼しちゃうわね!よく言うじゃない。子供は遊ぶのが仕事だって。それに町の大人達もあたし達が風車の壁をよじ登って窓から侵入するようになったら風車で遊ぶのを認めてくれるようになったわ!」

「それって諦められただけじゃね?」


「イモリか!」「イモリじゃなくてヤモリよ!……あたしはヤモリじゃなくてオオカミよ!」とクレアと叫び合いつつ風車にひっそり潜入ナウ。隠形を使ってるんだから疑いようもなく潜入なんだよ?みたいな?

 あ~あ~。中に入って改めて分かったけど閂もチェーンもすっぱり切れてるな。

 3種の防御が急に1種になって防犯能力ガタ落ちだが、もともと10秒で解錠する程度の鍵だしいっか。窓からも侵入できるらしいし。

 それより重要なのは閂とチェーンが内側から掛かっていたという事実だ。これはつまり中に誰か居ると言う事を示す決定的な証拠と言えるだろう。


「いや、そこの鍵は常に掛かりっぱなしよ?鍵を掛けた大人も窓から出てたもの」


 ……もうヤダこの種族。なんで窓から出入りするん?そこは出入り口じゃないよ……?


「オオカミだからよ!」

「だからなに!?」


 まだニャンコなら分からんでも無いけどオオカミだからなに!?ドヤ顔で偉そうにぺったんこの胸を張られても何の説明にもなってないよ?えへんと逸らされたセーラー服の胸元のリボンがひらひらしててかわいいけれども。

 って、ノゾミダメ。ネコパンチしないの。万が一解けたら何故か俺が噛み殺されそうな気がするもん。


 はぁ……なんだろう。まだ建物に入っただけなのにすっごい疲れた気がする……こんな調子で本当に大丈夫なのかねぇ……?

もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。

VRMMOでサモナー始めましたの1巻が9月23日に発売予定!お楽しみに!


・・・なんで鍵開けるのに10秒しかかからないのに、建物に入るのに1話使うんですかねぇ・・・?

まぁクレアの所為もたぶんにあるけれども、傍観者ぶってるユウの所為なのも多いからね?同伴者と怒鳴り合いながらする潜入とはいったい・・・

そして誘拐犯のザル警備よ。あるあるだけどね。正面から突入してるのに見張りも居ないって言う・・・ま、まぁゲームですし・・・安全エリアですし・・・ねぇ?

というかボーパル達のこなれた潜入がちょっと怖いんだけど。プロの怪盗団か。怪盗ボーパルか。追っ手を全て殺すから正体が一切謎と言う・・・怖っ!もはやただの強盗殺人!まぁ、教会で復活するんですけどね。

とまぁ。今回はこれぐらいにしておいて、また数時間後に会いましょう!ではでは~。

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