202匹目 なんでもは知らぬ。知っている事だけじゃ
本編に入れれなかったネタをタイトルに入れていくスタイル。
私そういうの嫌いじゃないわ!
「ヒャッハー!!血祭じゃー!行くぜボーパルぅ!」
「きゅい!!」
幼気なもふもふっ子が俺の助けを待っているんだ!こんな所で油を売ってる場合じゃねえ!
「待ちんす。わっちの話はまだ終わっておりんせん」
「ぐぺっ!?」
「きゅい!?」
「ぷっ。くふ……」
スパーン!と襖を開けてウツロおばあちゃんに部屋から飛び出そうとした瞬間。スパーン!と襖が戻ってきて顔を挟まれた。
い、いひゃい……何この襖!自動ドアだったの!?にしても悪意ありすぎるだろ!安全装置どうなってんの!クレアにめっちゃ笑われてるじゃん!顔背けて肩ぷるぷるしてるよ!ほっぺにいったもん。ほっぺに!アッチョンブリケ状態だったよ!
「ほれほれ。いつまでも遊んでおらんと早よう戻りんす。曲者について詳しく聞きたく無いのかえ?」
「聞きます!」
「きゅい!」
襖の間から顔を引っこ抜き、へっこんだほっぺを膨らませながらクレアとウツロおばあちゃんの間で不満げな視線を行ったり来たりさせていたんだが、ウツロおばあちゃんが詳しい説明をすると言うのでスライディング正座で着席した。
よく考えたら俺、憎むべきもふもふっ子誘拐犯の拠点の場所すら知らないんだよね。危うく当て所も無く夜の町を駆け回るところだったぜ……
ちなみに俺の隣でボーパルもスライディングお座りしてる。もふもふのお尻でスライディングなんてしたら火がついちゃうよ?はっはっはー……
……冗談のつもりだったんだが、ボーパルなら本当に摩擦で着火できそう。しなくていいからね?むしろしないでね!?
「さて、何から話すべきかのう……正直なところ今回の事件についてわっちが知っている事はあまりないのじゃ」
「え~?」
呼び止められたから戻ったのに情報が無いとは何事や。いや、あまりって事は多少は知ってるんだろう。じゃなきゃ呼び止めないだろうし。
「え?おばあちゃんでも知らない事ってあるの!?」
「ふん。見くびるでないわ。わっちゃぁ”賢老”ウツロじゃぞ?この世の中にはわっちの知らない事が沢山ある事ぐらいは知っていんす」
無知の知ってやつだね。ソクラテスだね。それ以上の情報は知らないけど。そんだけわかってりゃテストで点は取れるからいいんだよ。
「じゃあ、抹殺対象の隠れ家は自力で探さなきゃなのか……」
「曲者の居場所なら第四層との境目辺りの廃墟じゃな。主のマップに印を付けておきんす」
「……というかあんた今犯人を変な言い方しなかった……?」
気のせい気のせい。ていうかウツロおばあちゃん犯人の居所知ってるじゃん!知ってる事があまりないとはいったいなんだったのか……
「……ちなみに誘拐の目的は?」
「うむ。どうやら奴らは邪神とやらの復活を目論んでおるようでのう。幼子の誘拐はその儀式の生贄にするためではないかとわっちは考えておる」
ウツロおばあちゃんめっちゃ知ってますやーん!もはやその無法者のアジトに踏み込んでもふもふ幼女を救出して邪神復活の儀式を潰せばハッピーエンドじゃん!大丈夫。うちのパーティ壊すのは得意だ。
「しかし解せぬな……この第五層はわっちの”神通力”の効果で一切の殺傷を禁じておる。幼子の誘拐自体は甘言を弄すなり、餌をチラつかせるなりすれば可能であろうが、その後に危害を加える事は出来ぬはずなのじゃ。奴らの儀式が生贄に危害を加えないものなのか、もしくはわっちの神通力を物ともしない何かがあるのか。あるいは単なる阿呆の集まりなのか……」
「ふん!この町に住んでておばあちゃんに喧嘩を売るような奴らなのよ!バカばっかりに決まってるわ!」
腰に手を当ててイヌ耳としっぽをピンと立てながらぷりぷり怒ってるクレアはかわいいが、それはさておき、もふもふ幼女の安全は一先ず確保されてるっと。むしろ犯人の安全も確保されてるのか?
しゃーなしだな……ボーパルロケットで壁に頭から突っ込ませた後建物ごと粉砕して生き埋めにして火をつけるぐらいで許してやるか……ロリコン死すべし。慈悲はない。あ、もちろん生贄にもふもふ幼女を要求する邪神も同罪ですがなにか?
「ともかく。この依頼は奴らの拠点への潜入工作じゃ。何が起きるか分からぬゆえ、気を付けて行ってくりゃれ?」
「りょーかい。ちゃちゃっと行ってぱぱっと助けてくるよ」
「きゅい!」
「ホー!」
もふもふ幼女が危害を受ける事が無いと知ったので、さっきよりは落ち着いているが、こうしている今も1人で不安に震えているに違いない!お兄ちゃんがすぐに助けてあげるからねー!待っててねー!なーにお礼なんて気にしなくていいんだよ?ちょっとしっぽをもふもふさせてくれれば……ぐふふ。
「ちょっ!待ちなさい!なんとなくあんたに任せる流れになってたけど、よく考えたらあんたも変態じゃない!誘拐犯が攫った子供を変態が奪うってそれ何にも解決してないわよ!!」
「失敬な!俺は変態じゃないぞ!仮に変態だとしても変態と言う名の紳士だ!」
「その説明で何を安心しろって言うのよ!」
定番のツッコミをもらった所で部屋から出て行こうとした足をクルっと返して再び室内へ……なんか俺さっきからここら辺を行ったり来たりしてるな。
「そもそもこれは俺が受けたクエストだし、俺が助けに行くのは当然だろ?大丈夫だって。もふもふ幼女は俺が責任をもって家まで送り届けるから」
「……別に家に送り届けるのを疑ってる訳じゃないのよ。今日一日あんたの事見てたけど……まぁ、悪い奴じゃなかったもの。
でもね。絶対に送り届けるまでの間に無知で無垢な子供に変な事をしそうなのよ!今日一日あんたの事見てたけどまごうことなき変態だったもの!具体的には助けた恩を盾に子供の全身を撫でまわしてるあんたの姿がありありと浮かんだわっ!」
失敬な!もしそんな事になったらなでなでだけじゃなく頬ずりぐらいはするぞ!
「だからその説明で何を安心しろって言うのよ!!っ!決めた!あたしも行く!いいでしょおばあちゃん!」
「クレアがかや?わっちは依頼を達成してくれるのならどちらでも良いが……」
そう言ってスススーと俺に視線を移すウツロおばあちゃん。そして釣られて俺に視線を移すクレア。
えー。クレア連れて行くの?そりゃあ助けたもふもふ幼女に心を開いてもらうのにクレアが居た方が便利だろうけども……クレアが一緒じゃもふもふできないじゃん!それに、クレア完全に足手まといだろうしなぁ……まぁ。安全エリア内で戦闘は無いだろうから問題ないっちゃ無いのかもだが……うーむ……
「……一応敵対組織のアジトへの潜入任務だから危ないし危険だぞ?」
「それ意味同じじゃない!
……危ないのは分かってるわよ。あんたがあたしの事を本当に心配してくれてるのもね。でもね。それでも行きたいの。この町の子供が1人で寂しくて心細くて震えてるっていうのにあたしだけぬくぬくと待ってるだなんて耐えられない!あたしだっておばあちゃんの孫なんだから!
だからお願い。あたしを一緒に連れてって!」
そう言ってペコリと頭を下げるクレア。
いや、そんなスキーに連れてってみたいに言われてもなぁ……
「も、もし一緒に連れてってくれるなら……ちょ、ちょっとぐらいならあたしのしっぽを触っても……いいわ、よ?」
「よし行こう!すぐ行こう!善は急げで早起きは三文の得で早期解決はもふもふがダブルでもっふもふだ!」
「きゅい!」
「ホー!」
「きゃっ!きゅ、急に引っ張らないで……ってもふもふダブルって誰と誰の事よ!もし捕まっている子供の事を言ってるのなら、あたしの目が紅い内は絶対に許さないんだからね!!」
とかなんとか叫んでいるクレアの手を取ってウツロおばあちゃんの部屋から飛び出し、クレアの家からも飛び出す。
待ってろよもふもふしっぽーズ!今迎えに行くからねー!!
「……見せてもらいんす。初の到達者の実力とやらを。願わくば……託したメダルに恥じぬ者である事を……」
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。
VRMMOでサモナー始めましたの1巻が9月23日に発売予定!お楽しみに!
おや?ウツロの様子が・・・
テテテテン。テンテンテンテンテンテンテーン(進化のBGM)
まぁBキャンセルするんですけどね。レベル100で現人神なのにこれ以上進化されたら手に負えないよぅ!
さて、本編のお話は終了。テトメトこの前他の人の小説読んでて感想送ったらヤッベー!あのテトメトさんだ!ご本家だ!って驚かれたんですよー。めっちゃ嬉しかったね!向こうの方が遥かに人気なんだけどね!週に7回以上更新ってヤバすぎだから。テトメトなんて週に1回か2回なのに・・・いや、無理だからね?そんな目で見ないでね?
で、わー嬉しいなぁーってその人あての他の感想とかも見てて思ったこと~。
・・・うちの感想職人さんたち訓練されすぎでね?
いやね、他の人の感想って否定的な意見がチラホラあるんだよ。アレはおかしいとかコレはこうすべきとかっていう名人様がね?
でもうちほぼ居ないよね?こんな適当な思いつき内容なのに。
まぁ、200話を超える話のこんな後書きの隅っこまで読んでくれてる人には今更かもだけど、この小説適合者しかいないんだなーと改めて思いました。マル。
というわけで、これからも「ついてこれる奴だけついてこいッ!」の精神で続けていきますんで、よろしくお願いします。感想いつもありがとうねー!
と、前置きが長くなったけど今日のラフ投稿を・・・あれれ~?おかしいぞ~?手元のラフがリアさんしか残ってない。これは・・・まぁいいや。
表紙は正式公開まで待って・・・挿絵は書籍版を買ってね!
・・・活動報告のキャララフ見てて気づいたんだけど、今の所ボーパル達以外のキャララフって男女比半々なんだよね・・・とてもそうは見えないけど。男子1 女子3 男の娘2 だとしっくりくるけどね。なんだこの異様な偏り率・・・しかもここから幼女がガンガン増えていくっていうね。
・・・この小説はどこを目指しているのだろう・・・
と、いつものごとく後書きがめっちゃ長くなりましたが今日はここまで。また次回。怒号と悲鳴が鳴り響く戦場にてお会いしましょう。
・・・まぁクレアとイチャつくのに忙しくてそこまでいかないかもしれませんが。




