186匹目 勇兎ウサリンガル
「きゅいー!」
「「「「「きゅい!」」」」」
「……ん?ウサギ達が引上げていくな」
「コン?」
持ってきた爆弾を使いきり(やっぱり100個じゃ少なかった)ボーパルのMPが回復するたびにぶっ飛ばしていた防壁が所々虫食い状態になりその役目をほぼ無くした辺りで、やられた仲間を踏み台にしながらも果敢に攻めてきていたウサギ達が一斉に砦の中へと入っていった。
正直兵隊ウサギは単体ではそんなに強くないんだが、数が多くて多くて参ってたから助かった。ボーパルが定期的にHPが0になったウサギ達をお掃除してくれたからまだマシだったが、限られた中庭だけが戦場だった場合やられたウサギに押し潰されていた可能性まであるからな。さっすがボーパル!助かったぜ!
「きゅい~」
「っと。これで終わりって事は無いだろうからみんなしっかり回復しておけよ」
「コーン!」
「ホー!」
「んにゃぁ……」
一旦小休止と言う事で集まってきたみんなにアメちゃんを配ってMPを回復しておく。ノゾミは喉も酷使してるからな。のど飴大事。
ついでにHPもヒールクリームをぬりぬりして回復させたんだが……前使ったときよりかなり回復力が落ちてる気がするな。いや、みんな最大HPが上がったのか。そういえば最近クリームぬりぬりした記憶ないしなぁ……今度フィアちゃんにもっと回復効果の高いお薬用意してもらおっと。
「さて、準備が整ったなら行くぞ。恐らくここからが本番だしな」
「きゅい!!」
かなり長い間戦闘してたから忘れかかってたが、俺達まだこのエリアのボスの顔すら見て無いんだよな。
さっそくご対面と行きたい所なんだが……問題は外からボーパルのハンマーで砦ごと叩き潰すべきか、罠っぽい出入り口から突撃するべきかなんだよな……
安全をとるなら外からぶっ壊した方がいいんだが……まぁ、最後ぐらいは正攻法っぽいやり口っで行ってやるか。
「それじゃあみんなで砦に突げ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
「な、なんだぁ!?」
「きゅい!?」
俺達のボス戦はこれからだ!とばかりに全員集合して砦の唯一の出入り口に突撃しようとしたんだが、その直前に空中に擬音が表示されているような錯覚すら覚える轟音を立てて砦自体が揺れ始めた。
おどろきとまどっている俺達をよそに、覚醒の鼓動の如くその巨大な身を震わせていた砦が急に赤色のバリアの様な物を展開したと思ったら、ドッカンバッカンと大仰な音を立てながら動き出し、見る見るうちにその姿を変えていった。
おお!カッケー!変形合体だ!いや、合体はしてないけれども!レン君やミヤヒナに見せたら喜びそう!その前のウサギラッシュで死にそうだけれども!
ガシャン!ブシュー!ブォオオオオオ!
「すげぇ~」
「きゅい~」
俺達の前でガッシャンガッシャンと変形を続けていた砦は、もはや砦とは呼べないモノへとその姿を変貌させていった。
特に特徴も無い無骨な砦であったはずのソレは、ぴょこんと生えた2本のウサミミ型の尖塔がトレードマークの可愛らしいウサギさんへとフォルムチェンジしていたし、巨大ウサギさんの足元からは無限軌道が。デフォルメされたお口からは大砲の砲身の様な物が生えているのが見える。
その姿は既に砦ではなく、巨大な戦車……いや、あれは戦車と言うよりもむしろ……
「○車じゃねーか!」
「ホー?」
どう見ても勇兎ウサリンガルだった。いやいや、流石にその呼び方は危ないな。ウサギ戦車ぐらいにしておこう。うん。ビッ○バンとか撃たれたら蒸発しちゃうしね。仕方ないね。
さて、そんな勇……もといウサギ戦車は変形が完了したのか怪しげな機械音は止み、翼の生えたウサギさん達を次々と出撃させている。
すわ新種か!と思ったが、ウサギさん本体はさっきの兵隊ウサギみたいだな。あの翼は後付けの追加パーツらしい。兵隊ウサギ達が背負っている赤いランドセルから天使の様な翼が生えててそれで飛んでるみたいだな……いやいや、なぜに赤いランドセル?天使の羽だから?レッ○ブルだから?
ま、まぁ。運営の趣味にどうこう言うつもりは無いから別にいいんだが……追加パーツって事はアレは奪えるんだろうか?もし奪えるなら俺が装備すれば共鳴召喚の時間制限を気にせず自由に空を飛ぶ事も可能に……!
……いや、止めておこう。タクやシルフに指さして笑われる未来しか見えない。いくら俺が実用性重視とはいえ、そこまでプライドを捨てるのは流石にムリだ。
……はっ!まさか運営はこれを見越して赤いランドセル形にしたのか!?鹵獲出来ても羞恥心で装備するのを躊躇うように!くっ!汚いな。さすが運営きたない!
……一応1つだけキープしておこう。うん。
『ぎゅぃぃぃぃぃ!!』
「「「「きゅい!」」」」
ギェェェアァァァシャァベッタァァァァ!!
って、まぁ。ゴーレムも呻き声をあげてたし、戦車が喋っても不思議じゃないか。
とにかく、第2ラウンドの準備がやっと整ったのだろう。展開されていたバリアが音を立てて崩れ去り、ウサギ戦車の上になっがいHPバーが表示された。まぁ、HPバーの表記はパーセンテージだからどれだけ長かろうが=最大HPが多いってわけじゃ無いんだがな。
おっきいなぁ~と感想は抱くものの、エルダートレントに比べればちっちゃいウサギ戦車を見上げている俺達の前でこれも演出なのかウサギ戦車のHPがグングン補充されていく。
左端から順に色づいていくウサギ戦車のHPバーは1割を越え、2割を越え……5割を越え―――ずに、ピタリと止まった。
ドガン!!
『ぎゅぃぃぃぃぃ!!』
「「「「きゅ、きゅい!?」」」」
HPバーが止まるとほぼ同時にウサギ戦車の後方が突如爆発。黒い煙をモクモクと上げながら、どこか苦しげな声をあげるウサギ戦車に、空に展開した兵士ウサギwith赤ランドセルがあたふたしてる。
え、えっと……もったいぶりながらやっと出てきた真のボスが戦う前から軽く致命傷を負ってるんですが……
さてはまたボーパルか!?と思い足元を見るとボーパルも突然の事態にビックリしているようだし……ボーパルじゃ無いとしたら一体何事!?
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。
ついに現れたウサリンガル!元ネタを覚えている人はどれだけいるかな・・・あれも神ゲーだったよね!
だが、登場と同時に何故か致命傷を・・・イッタイダレノセイナンダー(棒)
きっと神獣からレーザーを飛ばされたんだな。間違いない。・・・そういえばウサリンガルの本体である砦に爆弾を投げまくったり大重量物をホームランしまくっていたウサギ達が居たような・・・うん!気のせいだね!(白目)




