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185匹目 進撃のボーパル

なんか気づいたら2話分ぐらいの分量があったのでとりあえず前半を投稿~。

後半はタイミングを見て投稿しまっす。具体的にはタイトルを思いついたら・・・サブタイって難しい!

 

「きゅぅ~……きゅぅ~……」


 モンスター 兵隊ウサギ Lv30

 状態 パッシブ 睡眠


 FWO内は今日も変わらずうららかな日和で、さわやかな風の通る高台の上では気持ちよさそうにお昼寝をしているウサギの姿が確認できる。

 その長閑(のどか)で穏やかな風景を切り取り名前(タイトル)を付けるとしたら『平和』かな~、と柄にも無く詩的な事を考えてもみたり。


 ……まぁ、俺達はその平和をぶち壊しに来たわけなんだが。


「きゅいきゅいきゅいきゅいきゅい、きゅ~~~~い!!」


 バガァァァァァァン!!


「ヒャッハー!ダイナミックエントリーじゃオラァ!」

「コーン!!」


「「「きゅい!?」」」


 ボーパルが盛大にかました(……・)反撃の号令に合わせて俺とイナリが砦内に突っ込む。

 本来侵入者を防ぐために設置されている筈の巨大な鉄の門はボーパルの渾身の一撃で大きくひしゃげながら内側に吹っ飛び、轟音を立てて砦に激突したところで光の粒になって消滅した。


 いくらボーパルがうちのエースだとしても流石に一撃で門を吹き飛ばすなんてことは今までは出来なかった。この超破壊力の原因は当然というかなんというか、今もガシャコンガシャコンと謎の金属音を立てつつ元の大きさに縮んでいっているウサミミハンマーだな。


 ……そう。このウサミミハンマー。実は巨大化するのだ。

 スキル”キャッスルクラッシュ”の正体というか真価はハンマー本体の巨大化にある。

 ハンマー投げの様に持ち手を掴んでグルグルと一周回る毎に倍々にハンマーの頭が巨大化し柄が伸びるのだ。ボーパルは今回5周して叩き付けたから2倍の2倍の2倍の2倍の2倍……つまり32倍ウサミミハンマーで門をぶったたいた訳だな。そら門も吹き飛ぶわ。


 さて、このスキル。これだけ聞いたら砦を叩き潰せるまで巨大化させればいいんじゃね?というか無敵じゃね?と思いそうだが、そんなに甘くはない。

 まず回転が非常に難しい。一周ごとに唐突に、しかも加速度的に体積が増えるハンマーをずっと回転させ続けるのは至難の業だ。もちろんハンマーを離したり回転を止めたらスキルはキャンセル。そこそこのMPを無駄に消費して終了だ。

 次に間合いが測りにくい。止まっている建物ならともかく、動き続ける敵を回転しながら捕捉し続け、グングン伸びるハンマーの柄の長さを調整して当てるのは至難の業だ。回転(チャージ)中に何かにぶつかってもチャンセルされちゃうし、仮に当てても物理以外には特効が無いしな。


 以上の事から”キャッスルクラッシュ”は周りになんにも無い平原に建っている砦の門を一撃粉砕する事ぐらいにしか使えない。

 ……まぁ、それだけでも十分凄いんだけども。


「「「「きゅい!!」」」」

「おっじゃましま~す!」

「コーン!」


 隠密なんぞクソ喰らえとばかりに堂々と正面から乗り込んだ俺達を出迎えるように聞き覚えのあるアラームが鳴り響きわらわらと槍を持ったウサギ達が何処からともなく湧いてくる。

 え?この砦の正攻法はスニーキングだって?……だから何?

 ぶっちゃけボスを倒せりゃそれでいいんだよ。正攻法なんぞ犬にでも喰わせろ!勝った方が正義なんだよ!


「うっし!やるぞイナリ!」

「コン!」


 だからと言って俺もなんにも考えずに突撃している訳では無い。そんなのただのバカだし。

 ボーパルがぶっ飛ばした門の内側で陣取った俺とイナリだが、その周辺……というか俺の左右にはこんもりと様々なアイテムが積みあがっている。

 それらはパイナップルだったり雪だるまだったり赤い筒だったり雷型の石だったりと一見纏まりが無いが、その実全てがあるカテゴリーに属するアイテムだ。

 ストレージから纏めて取り出し、積みあがったそれらを1つずつ両手に持った俺は、新しく取った投擲スキルの力を借りてウサギ達がわらわらと出てきている防壁の出入り口へとパイナップルと雪だるまをぶん投げ……


「コン!!」


 ドガァァン!


「「「きゅい!?」」」


 イナリが誘導狐火で着火したパイナップルが盛大に炸裂し、その実のトゲトゲを全方位に撒き散らしている。

 更にパイナップルのトゲトゲに襲われた雪だるまも遅れて爆発。パイナップルの爆風を押し戻す様に冷気の暴風が吹き荒れ、パイナップルの残骸も爆風に煽られて飛んできたウサギも付近にあった防壁も纏めて凍りつかせた。


 そう。ここに積んである100個のアイテム。ついさっきフィアちゃんの所で買ってきた全部が爆弾だ。

 パイナップルが炸裂手榴弾。雪だるま、赤い筒、雷型の石がそれぞれ氷、炎、雷の属性爆弾だな。

 それなりに高価な使い捨てアイテムだけあって効果は高いが、それでも四層のボスエリアに出る敵を一撃で殺すほどの威力は無い。現に今も氷漬けになっていたウサギが自力で氷を砕いて脱出してるし。

 まぁ、一撃必殺の特性はバグ性能だからね。仕方ないね。


「「「「きゅい!!」」」」


 ウサギ達だって一方的にやられるほどバカじゃない。10個も爆弾を投げた頃には全羽揃って手持ちの槍を俺の左右に積んである爆弾の山にぶん投げてきやがった。

 まぁ、そう来るよね。俺だってそうするし。でも、それが分かっててもいちいちストレージから爆弾を出すのは面倒なんだよね。あと余所見したら危ないし。脇見ダメ絶対。

 という訳で任せたアイギス!


「メェエエ!」

「コーン!」


 俺の前でおっきく尻尾を膨らませて威嚇しているイナリの更に前へと躍り出たアイギスが高々と吼えると、空中を駆けていたた手槍の悉くが空中で進路を曲げてアイギスに殺到し、もこもこのひつじさん鎧に無数の槍が突き刺さってハリネズミみたいになっている。

 イナリも狐火で援護していくらかの手槍を撃ち落してはいるものの、刺さってはウサギの手元に戻り、すぐに刺さりに来る槍の物量の前では焼け石に水だ。

 ちぇ~、槍をぶん投げたら獲物が無くなるかと思ってたのに残念だ。そういえば装備している武器はいつでも手元に召喚出来るもんな。すっかり忘れてたぜ。


 ……さて、そろそろいいかな?


「よし撤退!ミズキ!」

「ホー!」


 増え続けるウサギを前に爆弾での攻撃など焼け石に水。直ぐに中庭一杯に埋まっていくもふもふを見て即座に山積みにした爆弾をストレージに仕舞って踵を返す。

 ウサギ達に追いつかれないうちに急いで門から飛び出て防壁の陰へと身を隠した俺達の上空。音も影も無く滞空していたミズキの瞳がキラリと光った。


「ぎゅ……ぃ……」


「うし、反転!突撃!」


 ミズキの魔眼もモロに喰らったのだろう。背後で呻きを上げるウサギ達の声を聞いて急速反転。地面に転がり呻きを上げているウサギ絨毯をゴリゴリ蹂躙していく。

 分かる分かる。初めて麻痺を喰らったときって立つのも難しいよね。なんか+αで視界と平衡感覚を奪っても突撃してきたウサギが居た気がするけどそっちが異常だよね!でも安心して!大半のウサギさんは今後立つ必要なんてなくなるから!


「う~、りゃりゃりゃりゃりゃ!」

「コーン!」

「ホー!」

「にゃ~♪」


 俺は禄に狙いも付けずに再び取り出した爆弾を手当たり次第に投げまくり、爆弾を狙って飛んでくるイナリの狐火と爆弾の影から飛び出し爆弾を貫くミズキの影の槍で次々と起爆した爆弾が、防壁と砦の間の中庭を抉り、凍らせ、燃やし、痺れさせる。

 ノゾミが歌い上げるMP回復と状態異常延長の美しい調べに混ざる多重の爆発音とウサギの断末魔は名前(タイトル)を付けるとしたら『地獄』かな~、と柄にも無く詩的な事を考えてもみたり。


 ……まぁ、俺達はその地獄を現在進行形で作り出しているわけだが。


「きゅいきゅいきゅぃ~~~!!」


 ドガァァァァァァン!!


「「「「ぎゅぃ~~~~!?」」」」


 爆弾のダメージを負っているのは当然ウサギ達だけでは無い。むしろ爆弾の特性上対象が大きい防壁の方がダメージは激しいだろう。ダメージを喰らう面積的に。

 そして耐久値の削れた防壁を全力でぶっ壊して回っているのがボーパルだ。


 ……え?ボーパルさん?何していらっしゃるの?なんか防壁の外にチラッと巨大なハンマーの先っぽらしきものが見えたな~と思ったら内側に向けて壁がぶっ飛んできてなんとか起き上がり始めたウサギ達を纏めて引き潰しながら要塞の壁に激突して諸共に消え去ったんですけど……

 というか何その壁の壊れ方。ダルマ落としみたいに綺麗に直方体で防壁が抜き取られて飛んできたんだけど。その防壁ってもしかしてブロック構造だったの?いや、ブロック構造だとしても径の小さい内側には飛んでこれないと思うんですがそれは……

 いや、そもそも何故今になって壁破壊を?既に侵入はしている訳だしこれ以上壊す必要は無い気が……あ、楽しいから?さいですか……う、うん。ボーパルが楽しいならそれでいいんじゃないかな?今の所特に困った事はないしな。


 ……ボーパルが破壊の喜びを知ったこと以外はね……


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


破壊の喜びを知りやがって・・・

あ、ちなみにウサミミハンマーの元ネタって程じゃないけど参考はヴィータちゃんのアイゼンです。「轟天爆砕!」とボーパルも叫んでるに違いない。やっぱり、なの〇はA'sが最高やなって。ヴィータちゃんかわいい。


・・・あと、どうでもいいけどこの前仕事サボってたらUFOらしき写真を撮ったのでTwitterに上げました。意外と居るもんだね。ビックリ。

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