184匹目 本当にちょびっとです。・・・本当ですよ?
復讐に行く前にフィアちゃん成分を補給~
「フィ~ア~ちゃ~ん!遊びましょ~!」
「きゅい!」
死に疲れてログアウトしたらそのまま寝落ちしちゃって、翌日。
第四層にトンボ返りして俺を殺した砦をぶっ壊そうとするボーパル達をなんとか宥めてアトリエに遊びに来た。
すぐに殴り込みをかけてもいいんだけど、アトリエでお買い物したいものがあったんだよね。
「……遊びに来たのなら帰ってください」
「え~?じゃあお買い物に来たよ!」
「~~~!」
「……じゃあってなんですか、じゃあって……」
言葉上は嫌そうにしながらも、フィアちゃんがアトリエの扉を開けて出迎えてくれた。
ひょっこりと開けた扉の隙間から顔を出して呆れたようなジト目で俺を見つめてくるフィアちゃんに、ボーパルとティーニャがやっ!て感じで手を上げて挨拶をするとちょこっと頬を緩めたフィアちゃんが小さく手を振ってる。
ボーパルとティーニャの癒し効果は凄いからね。分かる分かる。
「そんな事言って~。ほんとは寂しかったんでしょぅ~?って。エルが一緒なら寂しく思う暇もないか」
「ホー」
エルはシルフやタクに負けず劣らず賑やかだからな~。それに石化から復活したばかりだし構い倒されてるに違いない。
「……そう、ですね」
「え?」
「……あなたがいないとちょっと寂しいです。……本当にちょびっとですけど」
ススス……と扉の影に戻って行ったフィアちゃんが片目だけをちょこんと扉の影から出しつつそんな事を言ってくるんだが……
なんだよもぅ~。かわいいなぁフィアちゃんは!
「かわいいなぁフィアちゃんは!」
「っ~~~!ちっ、違います!ボーパルちゃんに!ボーパルちゃんたちに会いたかっただけで、別にあなたに会えなくて寂しかった訳じゃ……ひゃっ!や、やめてください。頭をなでなでしないでください!」
「~~!」
フィアちゃんが隠れてる扉をバーンと開けて、赤らめた顔の前でわたわたと手を振っているフィアちゃんの頭をなでなでして愛でていると、新しい遊びだと思ったのか近くを飛んできたティーニャもやってきてフィアちゃんの頭を一緒に撫でてる。
ちっちゃかわいいティーニャにまで子供の様になでなでされているフィアちゃんは、俯いてほっぺたをリンゴの様に真っ赤にしながらスカートの端を両手で握ってぷるぷるしてる。すっごくかわいいけどかわいそうになってきたからこれぐらいにしておこっかな。嫌われたら泣くし。
「え~っと、お買い物にきたのも本当だから中に入れてくれるかな?」
「……ユウさんに辱められました……」
なんて人聞きの悪い!?
と突っ込みたいところだったが、半分涙目になりながら上目遣いで睨んでくるフィアちゃんが微笑ましかったから黙ってた。ほほえま~。
「……むぅ。もういいです。入ってください」
「は~い。お邪魔しま~す」
「コ~ン!」
しばらく涙目上目遣いと微笑ましげな目でにらみ合いを続けていたんだが、フィアちゃんの方が先に折れたようで、まだちょっとピンク色のほっぺを膨らませて無言の抗議をした後、トコトコとアトリエの奥へと入って行った。
そして、そのフィアちゃんの後をテクテク付いて行くボーパル達。その様子はまるで親鳥の後をついて歩く雛か、リーダーに付き従うパーティメンバーのよう……あっれ~?ご主人様は……うん。まぁ、いいんだけどもさ……
「……そういえば、ボーパルちゃんはかわいいハンマーを持ってますね。新しい装備ですか」
「きゅい?」
「あー、うん。まぁ。そうだね。うん。かわいいよね。見た目は」
ボーパルの背中に新たに背負われているそのウサミミハンマーは、ボーパルが装備したことによりその大きさがボーパルの体長よりもちょっと小さいぐらいになっており、厳ついトゲトゲがちょっとしたアクセントぐらいに見える。大きさって大事。
「きゅい!きゅい!きゅい!」
「……ボーパルちゃん凄いです」
両手でハンマーを持ったボーパルが、剣道の素振りの様にブンブンと風を切る音を立ててハンマを振り回し、それを見ているフィアちゃんがお遊戯会を見ているような微笑ましげな表情でぽふぽふと拍手をしているんだが、俺にはちょっと笑えない……
ボーパルがうっかり手を滑らしてアトリエの壁や床を殴ったらアトリエ吹き飛ぶんじゃなかろうか……
「と、ところでフィアちゃん!俺欲しい物があるんだけども!ちょっといいかな!?」
「……?……ふふっ。大丈夫です。ユウさんの事も忘れていませんよ」
非常に俺の心臓に悪いボーパルの素振りを止めてもらおうとして、フィアちゃんに話しかけたんだが……これ俺がボーパルに嫉妬して止めたと思われてない?ま、まぁ結果的にボーパルも素振りを止めたからいいんだけども。フィアちゃんに年下を見てるような微笑ましい目で見られるのはなんか新鮮だな。
「……それで、何が欲しいのですか。アトリエにある物ならいいのですが……」
「あぁ。フィアちゃんが前に使ってたからあるとは思うんだが、俺が欲しいのは「~~!」「きゅいきゅい!」「ホー!」「にゃぁ~む」「コン~」だね」
「……それなら、錬金術の練習で作ったのが倉庫にいっぱいあるので持ってきます」
「お願いね~」
俺がフィアちゃんに買いたいものを伝えている途中で、ティーニャがボーパルのウサミミハンマーにちょっかいをかけ出して、ボーパルがウサミミハンマーをぶんぶん振ってティーニャと遊びだし、ウサミミハンマーの危険性を伝えられていたミズキが慌てて止めに入って、我関せずとイナリの尻尾の上でノゾミが大あくびをして、イナリがじゃれ合いに参加したいけど、ノゾミに尻尾を踏まれていて身動きが取れずに情けない鳴き声を上げると言ったことがほぼ同時に発生したのだが、フィアちゃんには俺が欲しい物がちゃんと聞こえていたらしく、倉庫に取りに行ってくれた。よかったよかった。
「……ふぅ。本当にいっぱいあるのですが、どれぐらい必要ですか?」
「え?う~ん。あればあるほどいいんだけど……それにしても限度はあるか。う~んと。ここにさっき余ってる狐さん装備をリアさんに売却したお金があるからこの半分ぐらいだとどれぐらい買える?」
実はアトリエに来る前にリアさんの所に寄ってたんだよね。
んで、今装備してるのしかない妖狐の蒼扇以外の狐さん装備を1つの予備を残して全部売っぱらってきた。
リアさんは今日中に準備して明日にはオークションを開いて販売するって言ってたんだけど、とりあえず手元にお金が欲しかったから普通に売却した分のお金だけもらった。
というかオークションを開いても妖狐の蒼扇は売ってないから買い占めてもセットスキルは使えないんだが売れるのかな?まぁ、リアさんが売れると思ったから開くんだろうし、普通に売った分のお金は手元にあるからいいんだけどね。
それに、俺みたいにあと1つ足りない!って人もいるから需要が無いって事はないはず。それでもそんなに高値は付かなそうだけども。
「……これだけあれば、強力なのから順番に100個ぐらいは買えそうですね」
「じゃあそれで。100個もあればなんとかなるさ。たぶん」
100って多いようであっさりなくなるからな~。ゼ〇ダの新作の矢で学んだ。
「……はい。確かに頂きました。それで……今日はこれからどうするんですか」
「ん?どうって?」
フィアちゃんのストレージから俺のストレージへと移ってきた商品を確認していると、フィアちゃんから意味深な質問をされた。
また一緒にお茶でもしたいのかな?そこそこお腹空いてきたから1回ログアウトしたかったんだけど、フィアちゃんがどうしても一緒に居たいって言うんなら仕方ない。もうちょっと一緒に居てあげよっかな~。
「……また何かおバカな事を考えていますね……忘れたのですか。あなたはフィアの弟子になったんですよ」
「……あ」
完全に忘れてたよ。そういえばそんな話にもなってたなぁ。
「……それでどうするのですか。あなたがどうしても教えて欲しいというなら、フィアが直々に手ほどきしてあげてもいいです」
胸の前でぎゅっと拳を握ってるフィアちゃんはとってもかわいいけども、セリフと相まってこれから格闘技でも叩き込まれる気分になってくるな。弟子だとか、手ほどきだとか。えっと、フィアちゃんって俺の錬金術の姉弟子だったよね?格闘技は習って無いし、ついでにフィアちゃんの弟子になった訳でも無いよね?
「あ~、ごめん。ちょっと最近忙しくってさ。闘技大会が終わったら時間取れると思うからその時に教えてね」
「きゅい~」
「……そう、ですか。分かりました。お待ちしていますね」
よっぽど俺の先生をしたかったのか、ちょっと残念そうにしてるフィアちゃんを見ているといつまでも付き合ってあげたくなるが、流石にそうも言ってられないので一杯だけお茶を貰って、2人でボーパル達をもふってバイバイした。お腹も空いたしね。
さて、いい時間だしお昼を食べたらもう1回第四層に行くかな。まだ残ってるデスペナで俺のステータスはちょこっと減ってるけど、なんとかなるさ。基本俺は戦わないしね。いけるいける。
もふもふ!
誤字脱字ありましたら感想の方へお願いします。
書籍化作業で最初の方の話呼んでるとやっぱりキャラの性格とか結構ちがうよね~。
シルフの一人称があたしだったり、タクに若干敬語つかってたり。・・・誰だコイツ・・・俺の知ってるシルフじゃない・・・
あとフィアちゃんがかわいい。やっぱりツンツンのフィアちゃんもかわいいなぁ!でも今ぐらいのツンデレデレぐらいも好き。というかもうイチャイチャしてるよねこの2人。爆ぜればいいのに。
あ、あとここまで読んでから小タイトルももう一度見るとちょっとほっこりします。行き過ぎたツンデレは身を滅ぼすけど、フィアちゃんぐらいのツンデレは大好物です。この微妙な違いが分かるかなぁ?まぁ、分かる人に分かればいいです。
そしてウサミミハンマーで荒れてるであろう掲示板に更なる燃料を投下~。ユウが持ってた狐さん装備が数量限定でオークションに出るんですって。これは買わなきゃね!(ただし全部落札してもセット効果は出ないもよう)
そして今後にも掲示板どころかFWO全体が震撼するようなイベントが控えてるというね。内容はまだ内緒だけども・・・恐らくアレが発動したら今FWOをプレイしているアバターの殆どが消えてなくなるはず・・・なんて恐ろしいんだ・・・((;゜Д゜))ガクブル
そしてそれが発動したらただでさえも遠のいてる闘技大会がさらに遠のくもよう。ひぇ~!((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル‼




